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インタビュー

LONG REVIEW――DOES 『SINGLES』

 

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大抵は〈骨っぽい〉〈ストイック〉というのが、この3ピースを評する際の常套句なのだろう。確かに、このトライアングルが叩き付ける簡潔で強靭なサウンドには、冒頭の表現こそがしっくりくる。彼らのように、切れ味鋭いギターのリフとビートのコンビネーションだけで聴き手をノックアウトできるバンドはめっきり少なくなってしまったし、そんな状況でも音の刃を研ぎ澄ませ、気を吐く彼らの姿は、修練を重ねた侍のようにも見える。でも、そういうゴリゴリした力強さだけが彼らの魅力ではない。彼らは極端にロマンティストでもあるのだ。それは、季節の移ろいや街角の華やぎ、胸を穿つ感傷を詩情たっぷりに綴る、ちょっと古風な歌詞にも顕著だし、何よりラヴソングが多いのもその典型だろう。彼らの逞しさとロマンティシズムという二面性と、それを繋ぐキャッチーなメロディーの三位一体こそ彼らの武器であり、その魅力の粋を結集させたのが本作『SINGLES』だ。

“曇天”“バクチ・ダンサー”の大ヒットでもあきらかなように、彼らの楽曲が多くの人の耳に届きつつある現状において、本作はバンドが一段上のステージに上がるため、そしてこれまでのDOESを総括し、新たな地平を切り拓くための戦略的な布石とみた。新曲や初期楽曲の新録も交え、〈DOESのこれまでと現在〉をパッケージングした本作をきっかけに、彼らを取り巻く状況も、そして彼ら自身も変わっていくはずだ。彼らがめざす理想はまだ遥か先にあるのだろうけど、それでも、TVの音楽番組でKAT-TUNやPerfumeらと顔を並べながら、お茶の間に向けて“バクチ・ダンサー”を凶悪なディストーション・サウンドでブチかますような豪快さはずっと変わらないだろう。そういうところが信頼できるバンドなのだ。

 

掲載: 2010年07月14日 18:00

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