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インタビュー

サカナクション(3)

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2009年01月08日 18:00

更新: 2009年01月08日 23:05

文/土田 真弓

「いままで自分たちが積み重ねて来たこだわりやプライドを一度真っ白にして、新しくまた積み重ねていこう、と」

――なるほど。では、バンドとしてひとつ突き抜けるきっかけとなった“セントレイ”を含め、今回のアルバムで全員にアレンジを担当してもらったのは何故ですか?

山口 さきほどの延長線上で話をすると、今回、ファースト、セカンドでやってきたこととは違う結果を求めようとしてるわけじゃないですか? エンターテイメント性に重心を置いたシングルを出して、アルバムではそれに寄り添うのか、はたまた違うことをするのか、“セントレイ”を引き立たせるのか、沈めるのか。どちらにしても、結果的にファースト、セカンドとは違うアプローチにしなければならない。僕は、同じことを繰り返して違う結果を求めようとするのはナンセンスだと思う人間で、それは絶対いやだと思ったんで、制作方法から丸っきり変えて、一番わかりやすい変化にしようと思ったんです。あと、エンターテイメント性を求めていくっていう部分で、いままで通り全員でスタジオで調整していくよりは、マンツーマンでやる方が僕的にもやりやすかったし、みんなもすんなり入り込めるんじゃないかな、っていう狙いもあって。だから今回は、自分の子供を他人に預けるじゃないけど、原曲をみんなに渡す方法にしました。

――そういう方法で制作します、って伝えた時の、皆さんの反応はどうでした?

山口 一番不安そうだったのは岡崎(英美、キーボード)で、彼女はパソコンも持ってなかったんですよ(笑)。だから、「私、どうしたらいいですか?」って言ってきたらiBookをあげようと思ってたんですけど、何にも言ってこないから、「ふざけるなコラァ! 出来ないなら出来ないって言え~~~!!」って怒って(笑)。結果的には、僕があげたiBookで作業してましたけどね。次に不安そうだったのは江島(啓一、ドラムス)で。彼はドラムだから、デモを作る上でもやれることは限られるじゃないですか。岩寺とか草刈は弦楽器を弾いてるぶん、ギターもベースも何となくこなせるし、ドラムだってサンプリングしたものをループすればいいから、デモを作る上では支障がない。

――ああ、そうですね。

山口 岡崎も、音のぶつかりとかコード進行とかはわかるからまだいいけど、江島はどうするんだろう?って思ってたんです。そしたらあいつ、実は「俺より弾けるんじゃないか?」っていうぐらい、ギターが弾けて(笑)。弾けないところは、みんなの手が空いたときに「これに合うシンセ、何パターンか弾いてみて」って弾いてもらったものをループしたりして、意外と上手くやってましたね。今回は、みんなの知らなかったところが、結構見えた気がします。一方で僕は、かなり悪役に徹しましたけどね。みんな、それぞれにやりたいことがあるけど、それがサカナクションにとってどういうことなのか、押さえつけて教えるんじゃなくて、やりながら説明していかなきゃならない。だから、否定するところは否定しなきゃダメで。草刈と岩寺は相当堪えたと思いますね。ケンカ腰になったりしたこともあったし(笑)。僕が各パートのバランスを取ろうとしてるってことは、最終的にはわかってくれたと思うんだけど。

――そんなやり取りのあいだに、山口さんは原曲も作ってたんですよね? こちらはすんなりと出来てたんですか?

山口 まずみんなに1曲ずつ、4曲パッと渡しますよね? 僕の担当曲もあるんですけど、まず自分のデモをバーッて作って、みんなのデモが上がる前に、ひたすら原曲を作るっていう(笑)。「やべぇ、あいつ、もう(デモが)出来そう。がんばれ、俺!」みたいな(笑)。ただ、セカンドのときは制作に没頭して頭痛が酷くなって倒れたりしたんですけど、そういう感じはなかったですね。今回は東京に引っ越してきてすぐレコーディング、ってことがわかっていたので、ある程度の準備はしてたんですよ。サビだけとかAメロだけとかの素材はあって、そういうのをくっつけたり、そこからイメージを膨らませたりとか、0を1にするっていう作業よりは、もう0.2ぐらいあって、そこからスタートするみたいな感じだから、結構楽だったかな。僕のなかでは、アルバムの全体像も見えていたし。あとは、時間との戦いだけでした。

――その、山口さんが想定していた全体像というのは?

山口 もっとカラフルになると思ってた。ニューウェイヴな感じの曲がどんどん出てくるライヴ・アルバムみたいになったらいいな、って。そこに向かって曲をグワーッて作ってアレンジもしてたけど、こっちに引っ越してきて制作の仕方を変えることにした時点で、一回真っ白になっちゃったんですよね。それからは、常にモヤモヤした煙のなかにいるような感じ。一生懸命に煙を払って、頭のなかでひとつひとつ輪郭を浮き立たせようとしていた感じです。実は、いまでも自分では、このアルバムがどういう作品なのか総括出来てないんですよね。作り方を変えたっていうのもあるんでしょうけど、こういう感覚って初めてで。だけど、不安はないですね。いまはライヴ・アレンジをしているところで、スタジオで合わせて行くなかで、曲の良さだったり、曲が持つ力だったりがわかってくると思うんですけど、頭のなかは〈シンシロ〉のまんまです。真っ白々ですね(笑)。

――『シンシロ』って、そういう意味なんですか? たとえば、シンクロとかけていたりとかは……。

山口 全然ないですね。……それ、もらっていいですか(笑)?

――どうぞ(笑)。

山口 (笑)。ホントは、新しい白で『シンシロ』です。このアルバムで、いままで自分たちが積み重ねて来たこだわりだったり、プライドだったり、モチベーションだったりを一度真っ白にして、ホントに真っ白な世界のなかで、新しくまた積み重ねていこう、と。だから、『シンシロ』は〈第一期サカナクション終了〉ぐらいのアルバムなんじゃないかな。

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