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インタビュー

サカナクション

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2009年01月08日 18:00

更新: 2009年01月08日 23:05

文/土田 真弓

 テクノを前面に押し出したバンド・サウンドとフォーキーなメロディー、情感豊かな言葉を掲げ、アンダーグラウンドとオーヴァーグラウンドのあいだを果敢に歩み続けるサカナクションが、サード・アルバム『シンシロ』を完成させた。自らのポップ感と対峙した先行シングル“セントレイ”を起点とした本作において、彼らは極彩色で縁取られた独自のニューウェイヴ解釈を披露。ロックとダンス・ミュージックの架け橋となる先鋭的なサウンドと人間味溢れる歌によって、頼もしいネクスト・ステップを踏んでいる。

 そんな彼らの最新作を、bounce.comでは3週に渡って大フィーチャー。その第一週目では、ソングライティングを一手に担う山口一郎(ヴォーカル/ギター)へのロング・インタヴューをとおして、サカナクション・サウンドの過去と現在、そして『シンシロ』から広がるであろう未来の展望へ迫る。

「自分たちはマスな音楽からもコアな音楽からも逸脱してた」

――新作のお話に入る前に、過去の2作品を少し振り返らせてください。まずファースト・アルバム『GO TO THE FUTURE』は、テクノやエレクトロニカのエッセンスが採り入れられているとは言え、どちらかというとフォーキーな質感が前に出ている作品だったと思うんです。これは意識的なものだったんですか?

山口一郎(以下、山口) 僕、ひとつ誤解していた点があったんですよね。ダンス・ミュージックって、僕のなかでは結構アンダーグラウンド寄りな意識があったんですよ。だから、ファースト・アルバムを作るときは、あまりミニマルにならないように気をつけてたんです。歌モノとダンス・ミュージックを混ぜたことで、逆に間口を狭めてしまうような気がして。それで、フォーキーなメロディーを枠組みとして、エッセンスのひとつとして電子音をプラスする、っていうところで新しさを出そうとしたんですね。当時はまだPerfumeもブレイクしてなかったし(笑)、中田ヤスタカさんも、いまみたいにシーンの一角を担う存在という感じではなかったから、結構ビビってたところがあって。

――ビビってたわりには(笑)、セカンド・アルバム『NIGHT FISHING』ではダンス・ロックにかなり寄ってきましたよね? 個人的におもしろいなと思ったのは、ダンスな要素としてディスコやハウスを採り入れるバンドが多いなかで、歌を中心にしつつもテクノ色を前面に出していたところで。ファーストからの変化にものすごくビックリしたんですよ。

山口 セカンドでは、ファーストで足りなかったこと、やれなかったことをやり切るっていうところに制作の基準を置いてたんですね。だから、僕らのなかではファーストの延長線上でしかないけど、外部からは、「お、変化したね」「ダンス色が強くなったね」っていう意見が出てきましたね。僕らとしては、「変えようぜ!」というよりは、「メジャーでも、結構好きなことやれんだね」みたいな感じだったんですけど(笑)。まだ北海道に住んでたし、宅録の延長みたいな感覚でした。

――レコーディングも北海道で行ったんですもんね。

山口 そうですね。外を意識せずに、ただ好きなことをやろうって。ライヴも「自分たちがアガればいいや」みたいな感じで、レコードの向こう側にいるお客さんしか意識してなかった。

――そんな意識のまま、実際にライヴで接したお客さんの反応はどうでした?

山口 “ナイトフィッシングイズグッド”っていう曲が、ホントに3曲を1曲にするぐらい大変な曲だったんですけど、ライヴで演ると、後半でお客さんがすごい盛り上がる。この曲で、自分たちがカッコいい、おもしろいって思ったものが、きちっとお客さんに伝わるんだ、って確信できた感はありましたね。

――後半の合唱コーラスは、ものすごい一体感を呼びますからね。

山口 そうですね。曲を知ってる人は楽しいし、知らない人はビックリする。“ナイトフィッシングイズグッド”には、僕らのすべてが凝縮されてるんですよ。フォーキーな部分も、ダンスな部分も、ポップな部分も。この曲が好きか嫌いかで、サカナクションが好きか嫌いかを語れるぐらい(笑)。だから、この曲が入っているセカンド・アルバムは、僕らにとって大きかったと思います。

――2作目でそれほどの達成感を得ていたにも関わらず、後に続くシングル“セントレイ”の取材のときには、「もっとエンターテイメント・ミュージック寄りにしないと、多くの人に届かないと思った」というお話をされてましたね。それは、周りの反応からですか?

山口 うーん、ぶっちゃけね、僕、こっち(東京)に引っ越してきてから感覚が違うんですよ。北海道にいた頃は、外側から見たシーンに対して自分たちはこうアプローチする、っていうのが僕らのすべてだった。だけど東京に来てみたら、自分たちの立ち位置がクリアに見えたんですよね。自分たちはマスの音楽からは逸脱してたし、コアな音楽からも逸脱してた。僕たちが狙ってるところはその中間なのに、実際は中間からさらに枝分かれした先の、ほんの一部でしかないっていうことがわかった。

――はい。ホントに潔くぶっちゃけてますね(笑)。

山口 (笑)。だから、エンターテイメント・ミュージックとアンダーグラウンド・ミュージックの真ん中――真ん中のなかでも一番にならなきゃいけないって思ったんです。そのために、エンターテイメント性がもっと必要だと思った。外へのアプローチをもっと柔軟にしないと、この先、音楽を続けていけなくなる気がして。音楽ができなくなるってことは、僕にとっては死を意味すること。そういう状況に追い込まれて、最終的に僕がくだした決断は“セントレイ”だった。エンターテイメント性に向けて、僕らなりに最大限に重心を傾けた楽曲ができたことで、どうにでも動けるようになった感じはありますね。

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