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インタビュー

New Found Glory

衝撃のファスト・ナンバーを合図にニュー・ファウンド・グローリーが新章に突入! キッズのためのリアルなサントラ=新作『Catalyst』が世界を揺るがす!!

結構時間が掛かるんだよね


「僕らはビッグになるためにやってきたんじゃない。たまたま運良くこういうことになっちゃったけど、もともとはロック・バンドをやりたくてやってたワケで、僕らのなかにポップ・バンドになりたいという気持ちはあまりないんだ」(チャド・ギルバート、 ギター:以下同)。

 わお~っ! ありがたきお言葉! アルバムのトータル・セールスは170万枚を突破、今年で10周年を迎える〈Warped Tour〉のメイン・ステージにも出演決定と、まさに破竹の勢いでアメリカを代表するニュー・ジェネレーションのパンク・バンドとなったフロリダ産タイフーン、ニュ-・ファウンド・グローリー(以下NFG)。約2年ぶりとなったニュ-・アルバム『Catalyst』をリリースし、世界的な大ブレイクはもはや目前!と来りゃあ、誰もが否が応にも浮かれまくるってのが普通なんだが。

「『Catalyst』とは変化を促す〈触媒〉のこと。この場合の変化は二つの意味を持っていて、一つは僕ら自身の変化。そしてもう一つは僕らの変化が引き金となって起こるかもしれない周囲の変化。僕らの変化が同じシーンにいる他のバンドたちになんらかの変化をもたらし、それがシーン全体の活性化に繋がれば……と思ってね」。

 いまや自分たちがオピニオン・リーダーとなったことで、周囲に与える二次的影響まで見越しているとは……。やっぱり単なるロック・スター気取りとは完全に次元が違いますなぁ。97年のバンド結成以来、やっとNFGの表面的な部分だけではなく、世間がNFGの音楽をシリアスに受け入れられる時期が来たんスかね!? おめでとう!

「ただのトレンドじゃなくて、マジメに音楽に取り組んでるんだってことがわかってもらえると思う。こういうことって、結構時間が掛かるんだよね。最初はどうしてもカテゴライズされちゃうでしょ? それはそれで仕方がないことだけど、メジャー3枚目にして、やっと僕らは便乗組じゃないってことがわかってもらえると思う」。

 ノー・ダウッ! 多くのバンドにとって、3枚目のアルバムとは転換期を迎えるにあたっての勝負作となる風潮が強いのだけれど、今回のNFGももちろん勝負に出てきた。しかも、1曲目の“Intro”から。予想を遥かに超えるブリブリなハーコー・ナンバーをブツけてきちゃって、みんな試聴機からヘッドフォンを外しちゃったりしないかな?

「“Intro”は1曲目しかありえない。そして1曲目だからこそ、これだけのインパクトを与えることができた。いろんな意味で意表を突くというか。多くの人は、僕らは前のアルバムと似たようなアルバムで、もしかするとよりポップな方向に行くと想像してたと思う。けど、〈僕たちが一番やりたいことをやるとこうなる〉ということを証明するためにも、アルバムの1曲目は最高にインパクトの強い曲にする必要があったんだ」。

 予想的中! だがニュー・アルバムに収録されている曲は、1曲目のファスト・ナンバーから、従来のようなアップ・ミドルのアゲアゲ・チューン、さらにはピアノや女性コーラスを導入したエモーショナルなスロウ・テンポの曲まで、どれもがヴァラエティーに富みながらも、実にNFGらしいキャッチーなメロディーを保ちながら共存している。それはまるで、曲間から曲順まですべて計算され尽くしたかのごとく完璧な仕上がりを見せている。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年06月03日 16:00

更新: 2004年06月17日 18:24

ソース: 『bounce』 254号(2004/5/25)

文/菅原 亮