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インタビュー

さまざまなアーティストを強引に巻き込んで繰り広げられるエミネム・ショウ。その豪華な出演者たち

 「新たな犠牲者たちってのは、基本的には俺の気分次第で誰でもアリなんだけどさ。まずモービーだろ。あいつ、なにか俺のこと言ってたじゃん? あとクリス・カークパトリック(イン・シンク)かな」。

他にリンプ・ビズキット(の、特にDJリーサルが、エミネムと長らく交戦状態にあったエヴァーラストの肩をもったことから)なども加わるが、彼らは、早くも大人気の先行シングル“Without Me”でエミネムがディスっている音楽業界人だ。彼は基本的に子供だましのポップスが大嫌いとのことで、これまでにも、ブリトニー・スピアーズ(「カス同然」と言っていたが、ホントはますますオンナらしくなって大好きらしい!?)、クリスティーナ・アギレラ(「彼ってキュートね。でも、キムと結婚してるんでしょ」発言が命取りに)、バックストリート・ボーイズ、リッキー・マーティン、ヴァニラ・アイス(エミネム嫌いを公言しながら、髪を彼と同じ色に染めた!)、さらにフレッド・ダースト以下リンプ・ビズキット(〈Girls〉呼ばわり)たちを標的にしてきたのは、すでにお馴染みの話。モービーに関しては、「ドラッグをやめた今となってはテクノが嫌いで、彼がいくら優れていて頑張ろうが、自分の感覚を変えることができないから」だそうだ。もっとも、モービーは“Without Me”を聴く前の段階で早々と「光栄に思う、楽しませてもらった」とコメントを出し、反撃するつもりはないことを表明したが、同時に「彼が自作の曲で同性愛嫌悪や極端な女性嫌悪の思想を持ち上げているのは不快だ」とも話している。そっち関係の絡みだと、エミネムは“Business”で、〈俺とエルトン・ジョンは自分たちのキャリアをかけてロシアン・ルーレットをやった〉と冗談めかした言い方をしている(グラミー授賞式での共演のことを指しているのだろうか)。「俺がジャブを繰り出すときにはユーモアは決して忘れないんだぜ、ちょっと下品なジョークだよ」とエミネム。なお、この曲や“Say What You Say”を制作/共演しているドクター・ドレーまでも、彼に触発されたのか、雑誌でのジャーメイン・デュプリの発言に反応し、激しくディス(デュプリは早くも反撃済み)。

エミネムもこの2人の場合と同様に、〈俺とキャニバスを混同する奴はいないよな〉と、アルバム『C-True Hollywood Story』で〈実はスタンは生きていた、俺たちが救ってやったのさ〉と、スタン・ザ・ファンなる白人ラッパーまで登場させたキャニバスに言及し、他の曲でもキャナビッチ呼ばわりだ。次なる標的としては、最新シングル“The Night I Fell in Love”で、〈スタンとエミネムの関係はアヤしい〉と歌っているペット・ショップ・ボーイズだろうか? そんな輩に対するエミネムからの忠告は以下のとおりだ。

「俺にはツッコミのネタにされるようなもんはどっさりあるわけよ。けど俺より頭のイイ奴なんていやしないし、この世界で、この音楽で、俺を出し抜けるような奴もどこにもいないだろう。以上。もし俺に攻撃を仕掛けてくる奴がいたとして、そん時はおもしろいつもりでやってるのかも知れねえけど、それは絶対そいつの身に返ってくるからな、用心したほうがいいぜ。俺にこの口がある限り、必ずきっちりお返ししてやるからさ」。


関連(!?)作品を紹介。左から、モービー『18』(V2)、リンプ・ビズキット『Chocolate St★rfish And The Hot Dog Flavored Water』(Flip/Interscope)、キャニバス『C-True Hollywood Story』(Archives)、ペット・ショップ・ボーイズ『Release』(EMI)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月30日 15:00

更新: 2003年03月03日 22:08

ソース: 『bounce』 232号(2002/5/25)

文/小林 雅明

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