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インタビュー

Eminem(2)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月30日 15:00

更新: 2003年03月03日 22:08

ソース: 『bounce』 232号(2002/5/25)

文/小林 雅明

プライベートをぶちまけたショウですか?

 事件発生日と発売日の一致は単なる偶然なのかもしれないが、アルバムのスキット“Kiss”では、裁判では一貫してキムとグエラの〈キス〉シーンの目撃が事の起こりだと主張し、弾を装填していない銃で浮気者のキムを脅してやろうと張り込んでいると、案の定キムが男にキスし、ムカついたエミネムが現場に駆け込むという場面が〈再現〉されている。この“Kiss”に続く“Soldiers”“Sayin' Goodbye Hollywood”では、聞き入られることのなかった事件の真相、余波が打ち明けられているし、マネージャーのポール・ローゼンバーグが〈出かけるときは家に銃を置いていけ〉と忠告するスキットに続く“Sing For The Moment”(ジョー・ペリーのギターを直々にフィーチャーして、エアロスミスの“Dream On”を大胆に引用!!)では、件のグエラに〈おめえに喰らわしたのは、俺の拳だ〉と言い放つラインさえある。

と書いていけば、次に続くエミネム本人による説明を待つまでもなく、『The Eminem Show』の出し物が頭のなかに浮かんでくることだろう。

「この2年の間に、俺はD12の仲間たちとレコードを出して、逮捕されて、離婚して、また逮捕されて、解放されて、ズラかった。で、今回のアルバムのコンセプトは俺の人生をフル・ヴォリュームでぶちまけるっていう、要するにショウみたいなもんだよ。俺の人生はショウなのさ。で、俺の私生活の終わりがそのまんまパブリック・ライフの始まりってわけだ。それがいっしょくたにブレンドされてて、今回のタイトルになった。 俺自身、それがいちばんピッタリだと思ったからさ。俺は書かなかったものに関しては自分じゃ何もしようがないと思ってるわけよ、少なくとも俺の人生のこの時点ではね」。

もちろん、エミネムが曲中に私生活を持ち出すこと自体は珍しくない。前作『The Marshall Mathers LP』では、1曲目から母親のデビーを罵倒しまくっていた。この曲、そして、それ以後の彼の言動がもととなり、実の母が息子を訴えるという自体にまで進展したのだが、この訴訟騒ぎが落ち着いたからか、今回の“Cleaning Out My Closet”では母親に対する謝罪の言葉がそのままサビになっている。

  ということで、母デビーの出番は今回で終わりそうだが、キムとの離婚により新たに派生するのは、現在6歳の娘、ヘイリーちゃんの今後の養育問題だ。“Cleaning Out My Closet”でも、〈彼女のためなら、キムを憎んでいても、どうにか我慢してやっていける〉とまで口走っているが、タイトルどおり愛娘に捧げた“Hailie's Song”では、あのエミネムが曲の大半をほんわかムードで歌っていて(当初はビートルズの“While My Guitar Gently Weeps”をサンプリングして作ったが、作者ジョージ・ハリスンの未亡人からOKが出なかったという)、曲の最後では〈チュッ〉とキスまでしている。もうひとつの〈キス〉! さらに、アルバムのラストを飾る“My Dad's Gone Crazy”では、コカイン吸入中のエミネム父さんのもとに「何やってるの?」とヘイリちゃん本人が姿を現し、サビで〈お父さん、アタマがイカれちゃったのね〉と繰り返し歌い続けるのだ。彼女でさえ、この父親(=エミネム)だけはどうにも救いようがないとオチをつけているわけだ。それにしても、もはや、前作とは別次元で〈……よう、やるわ〉というレべルに達している!

「要はオリジナルでいることと、俺にはなにも隠し立てするものなんかない、って知らしめるってことなのさ。で、そいつをやるなかで、たぶん、ちょっと多過ぎるくらいに俺の個人的な生活が露出されることになっちまってると思うんだよな。いまは、〈もう知るかよ、いまさら止めるわけにはいかねえんだから、なるようになれ!〉って思ってる。俺は自分が知ってることを書いてるだけで……さて、いよいよ幕が開いてショウの本番が始まるぜ、って感じだ」。

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