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インタビュー

LOVE PSYCHEDELICO(2)

〈歩み〉だと思ってるから、今回のアルバムは

「最近ねぇ……基本的には元気。ここ2、3日は、ちょっとお疲れなのかな? バイオリズムが乱れてる感じはするけど(微笑)。でも元気、うん。レコーディングが終わったのは、ひと月前だね。その日の朝8時半に“dry town”のトラックダウンを最後に終わって、午前中にもう最初の取材やって、午後にマスタリング、みたいな(笑)」と、ヴォーカルのKUMI。なかなかにすさまじいレコーディング・スケジュールだったことを窺わせる発言だが、目の前の彼女は、こともなげ。彼女はLOVE PSYCHEDELICOの顔であり……いや、正確に言うと、顔は、彼女の声。ブラウン管の中ではしゃいだ姿を見せずして、彼女の〈声〉が街中に流れている。その声に導かれて、架空の女性像のような〈LOVE PSYCHEDELICO像〉を、各人がもっているに違いない。その声の主は、というと、柔和な表情をたたえて、言葉を探しながら誠実に話してくれたり、相棒の発言にうなずいたり。

「基本的に曲作りするときっていうのは、『THE GREATEST HITS』も関係なければ、この先の俺たちにも興味ないから。〈曲vs俺たち〉みたいな感じになってるよね。〈曲vs俺たち〉のなかで、じゃあ何が変化するか?って言ったらさ、俺たちのエネルギーだったりすると思うのね。〈曲とLOVE PSYCHEDELICOの、1対1の一本勝負〉みたいな曲の作り方だよね、あいかわらず。作ってるときは、過去のことも未来のこともまったく関係ないものとして〈最初で最後の作品〉として作ってる。〈今〉しかない、みたいな。〈歩み〉だと思ってるから、今回のアルバムは。まだ自分たちも踏んだとことのない一歩を、ちゃんと自分たち2人で確認しながら踏んでる。作ってて、そういうのを実感した」と、ギターの直樹。客観的に自身の音楽やその背景について語ることのできる、クレバーでピュアなミュージシャン。その背後には、KUMIの声、そして自分たちの音楽に対する絶対的な信頼が窺える。オーケー、話を続けようじゃないか。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月16日 15:00

更新: 2003年03月06日 20:00

ソース: 『bounce』 228号(2001/12/25)

文/フミ・ヤマウチ