CPO レーベル~2025年11月発売新譜情報(8タイトル)

CD(8タイトル)
■作品詳細
知られざる名曲の発掘、古楽から現代まで幅広く揃えたコレクション、高品質の録音で人気を誇るドイツのCPOレーベル。知られざる名曲の発掘、古楽から現代まで幅広く揃えたコレクション、高品質の録音で人気を誇るドイツのCPOレーベル。
今回はトゥーレ・ラングストレムの交響曲と室内楽を収録したCD4枚組の新装ボックスセットに、ソプラノ、谷口まりやが出演しているメアリー・スマイスの“歌劇《森》”、フランクのオルガン曲“交響的大曲”、ライネッケの“オラトリオ『ベルシャザール』”シュテルツェルのミサ曲集、ロベルト・カーン:ピアノ四重奏曲全集など、CD8タイトルがリリースされます。
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テューレ・ラングストレム(1884-1947):交響曲全集、管弦楽作品集、室内楽作品集(4枚組)
ミハイル・ユロフスキ(指揮)ノールショピング交響楽団、他
【テューレ・・ラングストレムの交響曲と室内楽を収録したCD4枚組の新装ボックスセット登場!】
20世紀初頭のスウェーデンで独自の作風を築き音楽史に名を残したのがテューレ・ラングストレムです。ストックホルム生まれの彼はベルリンとミュンヘンで学び、ハンス・プフィッツナーに師事しました。作曲家であると同時に評論家、指揮者としても活動し、1922年から1925年にはエーテボリ交響楽団の首席指揮者を務め、1924年にはスウェーデン作曲家協会を創設するなど母国の音楽界に多大な貢献を果たしました。初期には交響詩「酒神礼賛」で成功を収め、その後4つの交響曲を完成させています。1914年作曲の第1番は彼が敬愛した劇作家ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ追憶の作品。プフィッツナーを思わせる濃厚な後期ロマン派の響きの中に北欧の情感が漂います。1919年の第2番はニ短調、3楽章構成で、明快な構成に漂う怜悧な響きが特徴です。1928年の第3番は変ニ長調ですが、調性感は希薄。単一楽章ですが、移り変わる曲想の中で雄大な北欧的風景を描き、シベリウスやニールセンを思わせる曲調です。1936年の第4番はニ短調を基調としながらも、調性を離れ、5楽章形式で重厚に始まり、第3楽章では無調も試みられるなどの意欲作。彼の交響曲の到達点となりました。
指揮はミハイル・ユロフスキ(1945-2022)。ウラディーミル・ユロフスキの父で、ショスタコーヴィチを得意とした彼ならではのメリハリのある演奏が、ラングストレムの重厚な響きを際立たせています。
ラングストレムの室内楽作品は文学との結びつきが強く、「メーラレン湖の伝説」はストリンドベリ、弦楽四重奏曲「夜曲」はE.T.A.ホフマンに着想を得ました。後者はニールセンに献呈された、多声的な論理構造と感情的な表現が入り混じるコラージュ的な手法が特徴です。彼はシェイクスピア作品も好んでおり「アリオーソ」は舞台音楽『ハムレット』からの派生作品であり、「インプロヴィサータ」は『テンペスト』に着想を得ています。他、ヴァイオリンとピアノのための2つの組曲など劇音楽を先取りするかのような個性的な作品も収録されています。
※2000年発売の交響曲全集(999748)に室内楽(999689)を加えた新装BOXです。
(ナクソス・ジャパン)
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エセル・スマイス(1858-1944):歌劇《森》
パトリック・ハーン(指揮)ヴッパータール交響楽団
イギリスの作曲家エセル・メアリー・スマイスは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した女性音楽家の先駆者であり、同時に女性解放運動の闘士としても知られる人物です。強い意志と行動力でサフラジェット運動(女性参政権運動)に加わり、先駆的なフェミニストとしての姿勢を貫きました。晩年は聴力を失いましたが、作曲家としての歩みや体験を自伝やエッセイに記し、文学的活動に力を注ぎました。歌劇《森》はスマイスの代表作で、精霊たちが棲む神秘的な森で起きる、魔女と噂される女性に翻弄される若い恋人たちの悲劇。自らドイツ語で台本を書き上げており、精霊の合唱や抑えきれない情熱、揺るぎない忠誠、死を超える愛といった要素が盛り込まれています。しかし音楽自体は陰鬱ではなく、シューマンやワーグナーの影響を受けながらも、序幕にはアール・ヌーヴォー的な上品な香気が漂うものです。1902年にベルリン宮廷歌劇場で初演され、翌年ロンドンで上演。1903年にはニューヨーク・メトロポリタン歌劇場において大成功を収め、これは歌劇場の歴史上初の、女性作曲家による作品上演という快挙でした。
レヒェンを歌う谷口まりやは、鹿児島国際大とザルツブルク・モーツァルテウムで学び、リリー・レーマン賞と、レナータ・テバルディ国際コンクールでオペラ部門第1位を受賞。ゼンパーオーパーで研鑽を積み、現在はドイツを拠点にオペラ歌手として精力的な活動を展開しています。第83回選抜高校野球大会の開会式で、君が代を独唱したことでも知られます。
(ナクソス・ジャパン)
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セザール・フランク:交響的大曲、シャルル=マリー・ヴィドール:ヴァルプルギスの夜
ファビアン・ガベル(指揮)バンベルク交響楽団、クリスティアン・シュミット(オルガン)
フランクの「交響的大曲」は、交響曲を志向した約30分のオルガン曲で、終盤に壮麗な大フーガを含む切れ目ない構成で書かれています。オルガニスト、クリスティアン・シュミットは、オルガンとオーケストラの協奏的レパートリーの不足を嘆き、この名作の編曲をジグモンド・サットマリーに依頼しました。サットマリーは、ヴィドールやヴィエルヌの交響曲以上に形式的に興味深い「道を切り開く作品」として敬意を払い、オルガンとオーケストラに響きを分担させて色彩とニュアンスを広げることで、フランク作品のもつ交響的なインパクトを一層際立たせています。
ヴィドールは、フランクの後任としてパリ音楽院で教鞭を執り、多くの優れた弟子を育てました。作曲家としてもオルガン曲に限らず交響曲や室内楽など幅広い作品を残しています。1876年のバイロイト訪問でワーグナーに強く影響を受け、1879年には荘厳な詩篇112編を発表。初演の成功により、ロンドン・フィルハ-モニー協会からゲーテの『ファウスト』に基づく交響詩を委嘱され、『ヴァルプルギスの夜』を作曲しました。作品は1883年に初演。独自の色彩感が評価されましたが、既存のゲーテ作品の影響もあり反響は思わしくなかったため、ヴィドールは1888年に大幅な改訂を行っています。
アルバムにはフランクの「アイオロスの人々」も収録。
(ナクソス・ジャパン)
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カール・ライネッケ(1824-1910):ベルシャザール、ある夏の日の情景(2枚組)
グレゴール・マイヤー(指揮)カメラータ・リプシエンシス、他
カール・ライネッケは2024年に生誕200年を迎えた作曲家・ピアニスト・教育者。ライプツィヒ音楽院教授やゲヴァントハウス管弦楽団指揮者として大きな足跡を残しました。1859年に初演されたオラトリオ『ベルシャザール』は、神を畏れるイスラエル人と冒涜的なバビロニア人の対立を壮大に描いた力作で、ブレスラウで初演され成功を収めました。その後彼はオラトリオを作曲することはありませんでしたが、約20年後に『合唱と管弦楽のための演奏会用小品 Sommertagsbilder ある夏の日の情景』を発表しました。この作品は声楽をもちいた楽章と器楽のみの間奏を組み合わせ、移ろう感情の風景を描き出す詩的かつ実験的な連作です。1881年に初演、出版され、ゲヴァントハウス管弦楽団と合唱協会に献呈されました。この美しい作品からは、前任の指揮者ニルス・W・ゲーゼ(ガーデ)の《田舎の夏の日》からの影響も感じられます。
献辞が捧げられた団体のうちの一つ、ゲヴァントハウス合唱団が、ライネッケ200歳の誕生日に合わせて、この大規模な作品に再び新しい命を吹き込んでいます。
(ナクソス・ジャパン)
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ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル(1690-1749):5つのミサ曲
ベルンハルト・クラップロット(指揮&オルガン)カントゥス・チューリンギア、カペラ・チューリンギア
中央ドイツのバロック音楽の発掘に燃える気鋭の指揮者クラップロットが、ヨハン・ゼバスティアン・バッハとほぼ同時代を生きたドイツの作曲家シュテルツェルのミサ曲5編を録音!
1690年にザクセンに生まれたシュテルツェルは幼少期から音楽を学びました。1707年に神学を学ぶためライプツィヒへ移ると、同地でテレマンが結成したコレギウム・ムジクムや歌劇場で触れた同時代の音楽に触発されて作曲を始めます。その後、音楽教師を務めたのち、イタリア旅行でヴィヴァルディとの知遇を得、プラハを経て中央ドイツのゴータで宮廷音楽家の地位を得て死去するまでの約30年の間その地位にありました。彼はここで祝祭日のための協奏曲やサロン用の室内楽といった器楽曲をはじめ、王子の誕生日や聖名祝日のためのオペラ、聖木曜日と聖金曜日の礼拝のための受難曲やカンタータなど多岐にわたる作品を作曲しました。このアルバムにはそうしたシュテルツェルの作品の中から5つのミサ曲が収録されています。
これらは一般的なカトリックのミサ曲とは異なり、プロテスタントの典礼で用いられたキリエとグローリアだけから成るミサ・ブレヴィス(小ミサ、ルター派ミサとも)です。プラハ滞在時にフックスの対位法に深く触れたシュテルツェルは、フックスの「ミサ・カノニカ」を写譜し、生涯に渡り大切に手元に置いていました。彼が学んだ厳格な対位法はここに収録されたミサ曲にも生かされています。作曲期間は1722年から1745年までの20年以上にわたり、器楽パートは弦楽だけのアンサンブル、木管楽器を加えたもの、そしてトランペット、ホルン、ティンパニを含む壮麗な祝祭的オーケストラまで多岐にわたります。
5つのミサ曲それぞれの個性を描き分け、丁寧に演奏している指揮者のクラップロットは、「MUSIKERBE THÜRINGEN (チューリンゲンの音楽遺産)」というプロジェクトを立ち上げ、声楽アンサンブルのカントゥス・チューリンギアと古楽器アンサンブルのカペラ・チューリンギアを設立して、17-18世紀中央ドイツの音楽の発掘と研究・実践に努めています。鍵盤奏者としてはアスペレン、クリステンセン、ラドゥレスクに学び、ソロ録音もあります。ヴァイマールのフランツ・リスト音楽大学では30年に渡り後進の指導に当たっています。カペラ・チューリンギアのコンサートマスターは来日も多いウッラ・ブンディーズ。ドイツのベテラン古楽奏者たちが中心となった優秀な歌唱・演奏で、貴重な録音となるシュテルツェルのミサ曲をお楽しみください。
(ナクソス・ジャパン)
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ロベルト・カーン(1865-1951):ピアノ四重奏曲全集、セレナード(2枚組)
オリヴァー・トリンドル(ピアノ)、ジリアクス三重奏団
ロベルト・カーンにとって決定的な出会いは、1886年のブラームスとの邂逅でした。このときから、彼の創作の道は大きく開かれ、特に室内楽においてその成果が結実します。二重奏から五重奏に至る作品群は、しばしばブラームスを想起させる響きを帯びつつも、単なる模倣ではなく、豊麗な声部書法を自身の語法として確立、とりわけピアノ四重奏曲第1番から第3番までの3作は、交響的な響きの広がりを備えた壮大な作品群として重要な位置を占めています。その後、1933年のブラームス生誕100周年に際して作曲された「弦楽三重奏のためのセレナーデ」では、活気ある響きの中に「古き良き時代」への強いノスタルジーが漂うものです。カーンはこの作品を公式作品目録に含めなかったものの、「自分の楽しみのために」書いたと語り、この実直さが、彼の音楽への誠実さを表していると言えるでしょう。ロマン派の知られざるレパートリーを得意とするオリヴァー・トリンドルのピアノ、北欧のアンサンブル、ジリアクス三重奏団の親密な演奏で。
(ナクソス・ジャパン)
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ヤン・ファン・ヒルセ(1881-1944):カンタータ「ズラミート」、「生命の環」
スタニスラフ・コチャノフスキー(指揮)、ジェイムズ・ガフィガン(指揮)オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団、オランダ放送合唱団
オランダの作曲家ヤン・ファン・ヒルセは神学者の家庭に生まれ、幼い頃からピアノ演奏に才能を発揮。ケルン音楽院でフランツ・ヴュルナーに学び、ベルリンではエンゲルベルト・フンパーディンクに師事し作曲法の研鑽を積んでいます。数多くの賞を獲得するなど作品も評価されましたが、第一次世界大戦が勃発した頃から、オーケストラとの紛争などが原因でオランダでの地位を失い、その作品もほとんどがお蔵入りになってしまいました。『ズラミート』は旧約聖書の『雅歌』に登場する女性を題材にしたカンタータ。ケルン音楽院の卒業制作として構想されましたが、音楽院修了前に退学を余儀なくされ初演は中止となり、1904年にようやくアーネムで作曲者自身の指揮、約120名の管弦楽団奏者と400名を超える合唱団が参加し、壮大な規模で初演されました。テキストは原詩から大きく改変されていますが、当時の新聞批評では「女性の自己犠牲的な愛を描こうとする真摯な意図」が高く評価されました。一方、『生命の環』はリルケの詩に基づき、「生と死は一体で、生命は始まりと終わりが流動的な循環である」という概念を描いた交響的作品。1935年の初演当時は「ドイツ様式」と批判され不遇に終わりましたが、現在では正当な評価を受け、上演回数も増えてきています。
(ナクソス・ジャパン)
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メキシコ・バロックのクリスマス音楽
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指揮)ケルン・アカデミー(古楽器オーケストラ)
ドイツ古楽界の雄、ケルン・アカデミーがメキシコ・バロックのクリスマス音楽を録音!
バッハやヘンデルらが活躍していた18世紀前半、スペイン統治下のメキシコでは、ホセ・デ・ネブラやフランシスコ・コルセッリといったスペイン宮廷の作曲家の作品と並んで、メキシコ生まれのマヌエル・デ・スマヤやイグナシオ・ヘルサレムといった作曲家の作品も演奏されていました。
1713年から1738年までメキシコシティ大聖堂の楽長を務めたマヌエル・デ・スマヤのビリャンシーコは、メキシコの民俗音楽を取り入れた聖母マリア賛美やクリスマスのための音楽で、スペイン語で歌われ、独特のリズムや色彩感を持っています。スマヤの跡を継いでメキシコシティ大聖堂の楽長となったイグナシオ・ヘルサレムはヴァイオリンの名手としても知られたイタリア出身の作曲家で、当時のメキシコで最も成功した音楽家の一人でした。ヘルサレムの朝課(Matin, 早朝の礼拝で歌われる教会音楽)は、メキシコのグアダルーペで1531年に顕現した聖母、通称「グアダルーペの聖母」に捧げられた曲集で、メキシコ的な色合いに加えイタリア音楽の影響が色濃く表れており、時にオペラ・アリアを思わせる流麗さが特徴です。その音楽はバロックを超え、ハイドンと間違えられるほどの先進性を持っていました。
イタリア出身でスペインに移住し、マドリード王室礼拝堂の楽長を務めたフランシスコ・コルセッリの詩篇曲「主は言われた」は、短いながらも二本のトランペットを伴う祝祭的な音楽です。イタリア語のオペラやスペイン語のサルスエラといった劇場音楽の分野で活躍したスペイン人作曲家ホセ・デ・ネブラのポリコラール・ミサは、劇場音楽の要素をふんだんに取り入れた華麗なミサ曲で、クリスマスの祝祭的な雰囲気にふさわしい音楽となっています。
4人の独唱者を中心とする合計9人の声楽アンサンブルは、的確な歌唱技術に加え、音楽のリズミカルな部分も際立たせ、ラテンのノリも感じさせる歌唱を披露。ルネサンスからロマン派までの音楽を当時の楽器と演奏法で演奏し、HIP(歴史的知識に基づく演奏)をリードするケルン・アカデミーの古楽器オーケストラは、一部でスパニッシュ・ギターやスパニッシュ・ハープまで加え、鮮やかな色彩感でラテン・アメリカのバロック時代のクリスマスの雰囲気を盛り上げています。ヨーロッパとはまた趣を異にする18世紀メキシコのクリスマスを彩った音楽を、素晴らしい演奏でお楽しみください。
(ナクソス・ジャパン)
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カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2025年10月07日 15:30