15年ほど前になるだろうか?徳間=キングレコードの「シャルプラッテン リマスターシリーズ」によってクラシック音楽の面白さ、多様性に気付かされた聴き手として、今回のシリーズ発売はとても嬉しく期待しています。ただのロックファンでしかなかった私が「猟奇的」「破壊的」なコピーから手に取ったケーゲル「幻想交響曲」。そう、あの衝撃と来たら...そして当時のプロデューサーであった清勝也氏の敬意に満ちた東ドイツ音楽家達への思い出話。加えてジャケットも高品位で非常に丹念な仕事でありました。スイトナー、レーグナー、ザンデルリンクといったエースに加え、フレーミヒ、ポンマー、コッホ、素晴らしいオルガニストのヨハネス・ケーラー。そして日本にとってもかけがえのない指揮者ブロムシュテットの若き日の演奏。どれもが私にとってクラシックを教えてくれた先生のような存在です。もちろんタワー、エテルナの再発SACDによって知った演奏(コンヴィチュニーのブル5!)も多いが、なぜかレーゼルのラフマニノフ等、先発のキングリマスターCDの方が凄みを感じる演奏もあるのは確か。これはC・ティッケル氏の好みだろうか?本題に入って当キングSACDと、既発タワーのハイブリッドSACDを聴き比べてみても、その姿勢の違いが明らかで面白い。音を分離させない「かたまり」「柔らか」なキングと、一つ一つの音を引き出すタワー&エテルナ。私は後者にオーディオ的面白味を感じて軍配を上げたいが、一枚でゆったりと聴けるキング版も捨てがたいし、好みという方も多数居られると思う。このように、どうも一筋縄ではいかないマスター問題も当シリーズのライナー(力作です)で解明されたら面白いなと期待。さらに四方山話で清先生も登場したら言うことなし。最後に、ヴェルニヴェローデ合唱団なんかSACD化すべき素材だと思いますよ。独自性と資料性の為に如何でしょうか?