カスタマーズボイス一覧

バッハ以前のドイツ室内楽集<タワーレコード限定> / ムジカ・アンティクヮ・ケルン

ラインケンは初めて聞いたが、情感の表現にとても優れたものがあり、衒いない心情の吐露に、バロック時代の日常が感じられるような気がする。
CD2にあるカノンとジークは、有名な『パッヘルベルのカノン』。この演奏が超高速カノンとして有名らしいですが(解説に書いてあった)、うん、まあ、べつだん攻撃的なわけでもなく、パッヘルベルらしくかわいらしい演奏になっていると思います。

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ヤマノートさんが書いたカスタマーズボイス

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確かに、これはリファレンス盤になります。自分もチェコフィルだしということで買ったのですが、大正解。チェロはなめらかな語り口で、フレッシュかつ丁寧に曲を紡ぐ。たいするオケは、明らかに共演を楽しんでいる。その喜びが、チェコフィルにいつも以上の、深みと活気をあたえていて、チェコフィルとしても最高のレベル。録音も含めて満点。この素晴らしい盤を掘り出してくれたタワーレコード様に、拍手。

シャイーの三番は、期待以上に素晴らしい。全体にメリハリのある表現で、ドラマチックに曲を駆け抜けていく。二楽章では、やわらかな管楽器と力強い弦が、ともにノリノリで、せわしなくなる個所もあるが、とにかく楽しい。三楽章も積極的な表現だが、ここはもう少し陰影がほしい。終楽章の切迫感は、このころならでは。若きシャイーははつらつとして、その瑞々しい才能を振りまいている。

ブリュッヘンのバッハのユニークさは、真摯な姿勢にもかかわらず教会音楽として聞こえないところにある。ここでもいかめしい教会のゴシック模様はかけらも見当たらず、市井の人々の素朴な信仰心が歌われているかのよう。オケの軽快なテンポに、純朴といっていいような飾り気のない声楽陣があわさり、喜びの自然な発露が好ましい。サンクトゥスなど速すぎる気もするけど、仰ぎ見るバッハを、身近なバッハへと変えてくれる。

ラヴェルのト長調。一楽章のピアノは繊細、それでいてきちんと語るべきことを語りきれるのは、さすが。二楽章はモノローグ風で、音色の美しさを競うピアニストが多いこの楽章で、繊細ぶらずに、沈み込むような表現をつらぬくのはとてもユニークで、見事な表現だとおもう。三楽章はよくシェイプされ、力強く進む。最後の一発で、現実世界に連れ戻してくれるものの、前二楽章が素晴らしすぎて、目を覚ましたくない。

これいいですね。とくにCD1。バロックの様々な曲を、ベルリンフィルの金管群が、余裕をもって落ちついた音色で彩っていく。古雅で、のどかで、そして晴れやかな、金管群。舞曲から発展したバロック組曲は、清廉で活気があり、両者が交わって中世の石畳の街にひびく祭囃子のような趣がある。休みの日にかけると、その祝祭的ムードが、心をそわそわと浮きたたせてくれる。

アマデウスにはカーゾンとの素晴らしい演奏もあるが、ここではなんといっても、ピアノと弦楽の組み合わせが絶妙。クールで端正なクリーンのピアノに、どこまでも暖かでロマンチックなアマデウスの音色。これが交互にあらわれ、しょっぱい、甘い、しょっぱい、甘い、みたいな無限ループが出来上がる。モーツァルトの傑作室内楽における、この最高においしい組み合わせの妙味を、ぜひご賞味あれ。

一曲目のブゾーニのおもちゃ箱の世界から、暗く激しいラフマニノフの鐘の音まで、はるかな距離をリサイタルは進んでいく。そのすべてが振り返るとウゴルスキの心象風景のように見えてくる。すべては現実に起こったこと、その思い出、そんなふうに響いてくる。不遇の半生を送ったこのピアニストの心の歌。そしてウェーバーの舞踏の勧誘。ここで、たどたどしく踊っているのは、きっと愛娘のウゴルスカヤ(ピアニスト)ちゃん。

ラインケンは初めて聞いたが、情感の表現にとても優れたものがあり、衒いない心情の吐露に、バロック時代の日常が感じられるような気がする。
CD2にあるカノンとジークは、有名な『パッヘルベルのカノン』。この演奏が超高速カノンとして有名らしいですが(解説に書いてあった)、うん、まあ、べつだん攻撃的なわけでもなく、パッヘルベルらしくかわいらしい演奏になっていると思います。

クラシックを聴いていると、テンポ、音色、表現で、これしかないと思ってしまうことあると思う。ドヴォルザークの8番でとか、コンドラシンの振る「仮面舞踏会」など。自分にとって、このパレーの「スペイン」はそういう演奏。完全にはまって、しばらくこればっかり聞いていましたよ、ええ。そういうわけで、あなたにはまるかどうかはわかりませんが、未聴の方にはお勧めしておきます。はまれ、はまれーー。

最初のバッハ=ブゾーニが一番集中力あるかも。次のモーツァルトは気まぐれにしか思えない箇所も。あとはお得意のショーピース。リラックスした多彩な弱音の表現で耳を奪い、かと思えば飽きたのか流し気味にテンポが速まったり。
ラフマニノフのプレリュードで、途端に音色が憂いを帯び、曲想を完ぺきにとらえる。そこから後半に行くにしたがい乗ってきて、最後のモシュコフスキーの茶目っ気は、ここでも素敵。

この演奏の主役は録音場所であるキングスウェイホールだ。このホールの細やかで奥深い残響が、ちょっとしたフレーズも美しく響かせてくれる。特にワルツが素晴らしい。チャイコフスキーの流麗なワルツは、ほんのり優しい残響の中で、ろうそくの揺らめくような夢幻的なワルツとして響くし、一方のドヴォルザークでは民俗調の懐かしい調べが、ホールに尾を引いて、こだまのように呼び交わし思わず悲しい気持ちにさせられてしまう。

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