巨匠ハイティンクが引き出す極上のひびき
楽団の看板レパートリー、シュトラウスの「英雄の生涯」
巨匠ハイティンクが最強の手兵CSOを率いて、楽団の看板レパートリーであるシュトラウスの「英雄の生涯」をレコーディング。カップリングはCSO楽団初演にして初録音となるヴェーベルンの「夏風のなかで」という対照的なプログラムです。
■CSOによる「英雄の生涯」アメリカ合衆国初演
1891年に創設されたCSOは、シュトラウスが自作自演をおこなったことでも知られ、1899年3月3日の作曲者自身によるフランクフルト世界初演の翌年、1900年3月9日と10日にオーディトリアム・シアターで、初代音楽監督セオドア・トーマス指揮のもと「英雄の生涯」のアメリカ初演をおこなっています。
■CSOによる「英雄の生涯」のレコーディング
シュトラウス作品の録音に関しては、第4代音楽監督ロジンスキーが積極的な役割を果たしたともいわれていますが、なんといってもやはりCSOの今日に至るシュトラウス演奏の礎を築いたのは、ステレオ期に数多くのシュトラウス作品を録音して絶大な人気を博し、楽団に第1期黄金時代を到来させた第6代音楽監督ライナーといえるでしょう。CSOは「英雄の生涯」を、1954年にライナー指揮でセッション録音、1990年に第9代音楽監督バレンボイム指揮でセッション録音しています。ちなみに、第2次黄金期の第8代音楽監督ショルティは「英雄の生涯」こそウィーン・フィルとの録音でしたが、1973年に「ドン・ファン」を、1975年に「ツァラ」と「ティル」をそれぞれCSOとセッションで録音しています。
■38年ぶりの再録音となるハイティンクの「英雄の生涯」
ハイティンクは、「英雄の生涯」を献呈された名門ロイヤル・コンセルトへボウ管(RCO)の首席指揮者在任中に、1970年の「英雄の生涯」を皮切りに、シュトラウスの主要な管弦楽作品をセッションでレコーディングしています。ハイティンクのシュトラウスに対する取り組みといえば先頃も、本録音より半年前の2008年6月ライヴで、LSOとの「アルプス交響曲」における充実の内容が記憶にあたらしいところです。この「アルプス交響曲」より1週間後、ハイティンクはLSOとの顔合わせでも「英雄の生涯」を、2008年6月15日と17日にバービカンで指揮していましたし、よほど自信のあるプログラムということなのでしょう。2008年12月に行なわれたシカゴでの本公演を経て、ハイティンクはCSOと2009年2月の来日公演でも「英雄の生涯」を取り上げていました。ついでながら、CSOも本ライヴに先がけてマンフレート・ホーネックの指揮で2008年3月13日、14日、15日に「英雄の生涯」を演奏しています。このように38年ぶりにライヴで再録音となるハイティンクはもちろんのこと、前作より18年を経過しているCSOにしても、あらたな「英雄の生涯」のレコーディングに臨む環境は十分に整えられていたといえるのではないでしょうか。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2010/04/06)
■ハイティンクが引き出すCSOのあらたな魅力
「ハイティンクは静かに演奏するところで、このオーケストラがまさにどれだけ美しく演奏するかをわかっていますし、ほかのだれでもない流儀で静かに演奏させます。(中略)ブラスと木管は、きっと作曲家をニンマリとさせたであろうふうに結びつけられます。」(シカゴ・サンタイムズ紙アンドルー・パトナー)
「英雄の生涯」公演初日の模様が「ハイティンクはシカゴ響の輝きと美とを引き出す」(シカゴ・サンタイムズ紙アンドルー・パトナー)と高く評されたように、ここでハイティンクはCSOのパワフルな持ち味を活かしつつも、かつてCSOが繰り広げてきた名演奏のいずれとも異なるなにかを聴かせてくれるとおもうとおおいに期待が膨らみます。
■CSO楽団初演&初録音のヴェーベルン「夏風のなかで」
カップリングは、シェーンベルクに師事する以前の1904年に、ヴェーベルンが作曲した大管弦楽のための牧歌「夏風のなかで」。ヴェーベルン初期の平易な作風からレパートリーに取り入れるオーケストラが多いなか、また、CSOは新ウィーン楽派の実演ならびに録音を幾度も経験してきたにもかかわらず、意外にもこのたびが初のレパートリーとなります。いっぽうで、「夏風のなかで」はハイティンクが実演で好んで取り上げてきた作品として知られ、録音が行なわれた2009年4月同様、マーラーの「復活」にも起用されていたメッツォ、ストーティンがリュッケルト歌曲集を歌った2005年9月のRCOの公演でも、偶然にもハイティンクは本作をプログラムに組んでいました。この作品はヴェーベルンが初期にワーグナーに傾倒していたことを証明すると同時に、シェーンベルクの「淨夜」をごく直近に初めて聴き、当時20歳の作曲家がどれだけ激しくその新しい音楽に惹きつけられたのかを示唆しているといわれます。ハイティンクで定評あるマーラーのアダージョ楽章にも通じる濃厚なロマンティシズムが滴る美曲は、本来CSOがもっとも得意とする部分でもあることから、こちらの出来ばえにも相乗効果が期待されるところです。
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発売・販売元 提供資料(2010/04/06)