第三回『ロックな生き様』
ロックな人生とは?
世代によって表現の違いはあれど、ロックであるのか、ないのか、
それが生きてく上で、大事な場面の決断基準として、
ロックでなければ、と、ゆずれないことがあります。
たとえば歩いていて、どうしても道を譲りたくない、って気分の時はないですか?
ここでいうロックというのは、音楽のジャンルではなく精神。
つまり、常識に捉われず、“自由”を指向してるのか、ということ。
たいていの人は年齢とともに問題を起こさぬよう、無難な判断を下すようになります。
いわゆる、大人になる、というヤツですね。でも糞くらえ、って気持ちは忘れたくない。
人に媚びない。自分を貫いて人生を全うする。
今回はそんな “自分に嘘をつかない” “ロックな生き様” について、深く考えさせられる作品を紹介します!!
このコラムの題字・イラストを執筆してくれたイルリメが
本名の鴨田潤 名義でなんと弾き語りアルバムを2011年3月9日にカクバリズムからリリース!!
HIP-HOPではなく弾き語り、なんです!!
ジャケも彼が描いてます♪スンゲー才能です。
天才です。
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日々ロック 1巻 榎屋克優
ロックの神様に愛される方法って?!
いやあ、心が、魂が、揺さぶられる名作に久々出会いました!
後に世間をアッと驚かせる伝説のシンガー「日々ロック」が世に出るまでのアレコレを描いた本作。
主人公の日々沼拓郎(17歳)は、月に何回か小さなライブハウスで弾き語りをしているものの「人気は死ぬほどなく」、
学校では不良グループにいじめられ、気になる女子にライブのチケットを渡すも即、ゴミ箱行き…という、全くイケてない少年。
そんな彼の悶々とした自意識がイブの夜、楽しそうなカップルを見て爆発。
街でチン○を出して弾き語り&海辺で全裸で絶唱するくだりは、まさに「かっこ悪いことはなんてかっこいいんだろう」。
ああ、こんなヤツいるよなあ…と頷きつつ、心揺さぶられずにいられない!
天才と勘違い野郎は紙一重。
逆にいえば天才とは周りを気にせず、ただ自分を信じてがむしゃらに突っ走れる人のことなのかもしれません。
日々ロックの歌の歌詞がまたイイんですよ。
世界や政治を歌うのでなく、あくまで世間と自分との軋轢を生々しく叫び、歌う。
そのド直球ゆえのカッコよさは、ちょっと高橋敏幸なんかに通じる? 銀杏ボーイズ、峯田くんも大絶賛?!
決して巧いとはいえない、荒削りな画風もあいまって、紙面から声が聴こえてきそうだ~!!
ちなみに読み直してるうちに“沼”という字はカタカナの“ロック”でできていることに気がつきました!!
ツ | + | ク |
ロ |
つまり日々ロック→日々沼と命名?!これ暗号解読みたいでしょ(笑)
“営”という字も呂ツクで出来てますねん。ロ、ロツク。ちょっと違うか。
妄想と笑う奴は笑ってくれ~(笑)
僕はビートルズ 1~3巻 かわぐちかいじ 原作 藤井哲夫
SFの皮を被った『僕って何?』
ロックファンの妄想がまさかの漫画化?!
もうね、この作品に夢中な自分がいますよ! 続きが読みたくてしょーがない!!!
ビートルズを愛し、ビートルズのコピーバンドを結成しながらも、バンドの内紛から解散の危機を迎えた現代の若者たちが、
ひょんなことからビートルズがデビューする前の年にタイムスリップ。
ビートルズの曲を自らのオリジナルとしてデビューしてしまうという物語。
いや、ビートルズを侮辱するなと言いたくなるトンデモな話ですが、一方で、もしビートルズがここで○○していたら…
なんてのは、ロックファンなら誰もが妄想したことがあるはずの話でもあるわけで。
もしも、ビートルズより先にイエスタディや抱きしめたいを発表したら・・・?というストーリー。
ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ、それぞれの役がいて、ジョンとポールの対立などなど、
実際のエピソードを想起させる確執がスリリングに描かれてます。
ビートルズについてあまり詳しくない人でも楽しめるし、無論、知っていればいるだけ、
細かい描写や時代考証に深い感動を覚える作品でもある。
プロフィールは一切謎のまま自主制作盤でデビュー。ラジオでオンエアされるやいなや、これまで聴いたことのない不思議なサウンドに日本中が熱狂。問い合わせが殺到するといった流れ。過去にタイムスリップした彼らが楽器を見つけ出すくだり、
できすぎ!とツッコミながらも、ついつい興奮してしまいます。
彼らの出現が、世界からビートルズを奪ってしまうことになるのか、はたまた従来とは異なる、
新たなビートルズの歴史を引導することになるのか、今後の展開はまだまだ未知数だけに目が離せない!
デジタル・リマスター盤の発売!ステレオ&モノBOX発売、赤盤、青盤、ジョンのソロ作品のリマスター盤など、
いまもって世間の耳目を集め続ける唯一無比のバンド、ザ・ビートルズ。
偉大なる先人へのリスペクトとそれゆえの呪縛、オリジナリティとはなにか、
表現そのものや生き方を考える切っ掛けとなる深~い作品。
ビートルズの中に、この世のすべてのエッセンスが詰まっている、と思える人は一読を。
ちなみにSFロック小説 ルイス・シャイナーの『グリンプス』はご存知でしょうか?
主人公がタイムトリップして、ドアーズのジム・モリスン、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン、
ジミ・ヘンドリクスetc. の未完成アルバムを完成させるというもので、まさにロックマニア向けなSF小説。
SFファンよりロックファン向けの内容。
ブライアン・ウイルソンに『スマイル』を完成させるくだり!や
ビートルズ『ゲットバックセッション』を本人たちと完成させる描写はロックファンにはたまりません!
『僕はビートルズ』に影響を与えてるのでは、と推測してます。
この翻訳小説、できるならばタワレコで復刻して欲しいな~
定本 俺節 上中下 土田世紀
さすが太田出版、祝・復刻!
オリジナル全9巻が上中下3冊にまとまった!
バブル経済真っ只中のスピリッツに咲いた
“時代のあだ花”はふたたび咲き誇る!
ふだん演歌なんて見向きもしない、そんな人にこそ体験して欲しい。
漢(おとこ)が確かに、熱く熱く描かれている名作。
演歌の星を目指すため故郷・青森を飛び出してきた海鹿耕治(アシカコージ)が、
慣れない東京で切磋琢磨しながらもプロの歌手としてデビュー。
自らの歌のあるべき姿=俺節を見いだしてゆく様がを描く作品。
題材こそ演歌ですが、バブルに浮かれる周囲をよそ目に、ひたすら自分の道を貫くコージの姿は、まぎれもなくロック!
愚直でアガリ性のサエない田舎青年が、
いったん歌い始めると圧倒的な歌唱と気迫で野次馬をもクギヅケにしてしまう様は、まさに鳥肌モノ。
ロックから演歌の世界へ転身する羽田清次が、コージのライバルとして描かれているのも象徴的。
スタイルだけを模倣した今どきのロックバンドより、
魂(ソウル)の宿った演歌の方がだんぜんロックというわけ。
コージがデビューするにあたり、訛りを直せと迫られるエピソードもまたイイんです。
自信を喪失しかけるコージを奮い立たせるのは、かつて彼をバカにして振った同級生。
キラキラした都会でお坊ちゃん育ちの彼氏にあわせて背伸びをし、自分を偽り、
傷付けていた彼女がコージの歌によって本来の自分を取り戻したという告白に、
コージが訛ったまま歌ってゆく決意をするくだりには、猛烈に感動してしまった。
コージとオギナワとの言葉にせずとも…な友情、ドヤ街の仲間や興行師らとの泥臭くもあたたかな交流、
大物歌手・北野波平のドデカい山のような存在感。
一発当てようと業界入りした関西人、出っ歯マネージャーの唐名のキャラ。
コージと一心同体となって立ち向かう様。
ライバル羽田は?オギナワは?愛しのテレサとはどうなったのか?
個人的には意外な結末と感じましたが、どんな話だったのかと気になった人は読むべし!
今回の復刻には著者に対し、メールによるインタビュー上下編と
書き下ろし作品『俺の俺節』が掲載されています!!
最後に・・・
音楽漫画の中でも、ロックな生き様をテーマにした漫画はほかにもたくさんあります。
特に敬愛する漫☆画太郎の『ハデーヘンドリックス物語』は
新刊在庫がなかったため、今回取り上げることができなかったのが、
ちょっと心残り、でしたが、漫喫では読めるかも?!
興味ある方、探してみてくださいね!実写映画化もされてます!
ロック漫画で思いつく作品は次のタイトル!
ハデーヘンドリックス物語、デトロイトメタルシティ、BECK、ソラニン、
NANA、KISSxxxx、ファイヤー!、TO-Y、アイデン&ティティ、レコスケ君、
俺と悪魔のブルーズ、ジジメタル・ジャケット1&2、
無頼男、ブレーメン、ウッドストック、フール・オン・ザ・ロック、
爆麗音、中村メイ子をかき鳴らせ!!!、気分はグルービー、
ダイヤモンド・パラダイス、GO-ON、ぎぶそん、ネムルバカ、
デスペラード、GO AHEAD、レッド、おんなのこ物語、
けいおん!、短編ですがROCKS、などなど。
見事なことに実写化されてる作品、多いっすね~
あ~昔読んだな~というタイトルあればチェックしてみてください♪
ロックを聴き続けている人もロックな人生といえますよね!!
精神はロック。中心にあるのはロック。
ロックな生き方、でもはずさない人生(ここ大事!)を志し続けたいですね!