スナイダー使用楽器がデルジェス1741年だそうだが、まず、音が出てこない。明らかに調整不足だ。ソリストは必死になって楽器と格闘しているかのように聞こえてくる。楽曲演奏以前楽器の問題が立ちふさがった。構えを大きく取り、下品に聞こえる寸前までたっぷりと歌いあげているスナイダーの力量は立派だ。
たとえば、クレーメルが以前使用していたデルジェス1730年を使い、再録しならば鳥肌ものになる気がする。サーコリンのバックが流石なだけに、スナイダーが思うがままにソロを務められたならば、オケの色合いはもっと深いエルガーへとサーコリンが引っ張って行けただろう。本当に惜しい録音だ。