既存のCDフォーマットのものは音がやや痩せ気味ながら録音会場のアコースティックがうまくブレンドされて心地よい響きだった。枯れた鄙びた旧東側の雰囲気という事だろうか。それと比べて今回のリマスターSACD音源は音像が近くかなりONな印象。眼鏡をかけて見てみたらすべての奏者の顔がリアルに分かるようになったイメージというところか。ただその分音圧も増して迫力が出たため聴き応えがあり、実はズシッと重量感のあるオーケストラサウンドだったのを再発見した。それに加えて管楽器のソロや第九の声楽パートは音の肌理がさらに細かくなり臨場感が向上。これはやはりSACDの面目躍如ということだろう。聴後感としては既存盤も今回のものもどちらも捨てがたい感じ。それぞれ引き続き愛聴していこうと思う。