尾高忠明が遂にブルックナーの初期の交響曲0,1,2番を一気にリリースした。これらの初期交響曲群はブルックナーをこよなく愛する者にとって、後々の大作群とはまた違った意味において、逸することの出来ない魅惑の花々と言えよう。そのチャーミングな花園に、現在、世界的にも最も優れたブルックナー指揮者である尾高忠明が案内してくれるこのCDは特筆大書すべき名演なのだ。これらはいずれも大阪ザ・シンフォニーホールでのライヴ録音であるが、朝比奈時代のスケール雄大な剛毅さを残しつつも、アンサンブルの精度は比較にならないほど高い大フィルが、ブルックナーの音楽の魅惑を全てを知り尽くした尾高の棒の下、理想的な演奏を繰り広げており、聴いていて、胸がワクワクするのを禁じ得ない。たった一例だけ挙げると、第1番のスケルツォ楽章の愉しいこと! この曲では、ヨッフム=ベルリン・フィルが過去最高の名演だったが、この尾高盤はそれから60年ぶりに現れた超名演で、その生命力の豊かさに、聴いていてうきうきと胸が弾んで仕方が無い。まことにブルックナーを聴く醍醐味がここにあり、この素晴らしいCDを世に出したメーカーに対しても、霊界に居る僕は、生前の確執を水に流し賛辞を送りたい(お布施は、もう要らない)。