正規盤の登場など予想しなかっただけに、一聴して感動が蘇ってきた。聴き直すことで、新鮮な記憶がよみがえってきた。チェリの演奏は響とテンポの織り成す調和が特徴であると思うが、この演奏は特に響が充実し、音符一つ一つが有機的につながり、層をなし、十分すぎるほど表情豊かに鳴り響く。100分を超えるという演奏時間だが、4楽章の後半以外は、長さを感じさせない勢いがある。それだけに4楽章のコーダは圧巻としか表現できない。この店舗でアンサンブルが乱れず、奥の深い響きを醸し出すミュンヘンフィルも最高である。演奏時間が響の美しさを表現するのに重要な要素であり、このテンポ以外に考えられないほど、身に染みる演奏である。至高の名演とはまさにこのような演奏を言うのであろう。