「マーラー選集」としては渋い選曲ですね。それに録音が古く曲によっては少し管弦楽が遠く感じるので、演奏にネガティヴな印象を持つ方にはそれが助長されるのかも。
「大地の歌」未聴といわず是非これを聴いてください。母親が若い時にレコード店の老店主に勧められ所蔵し、それゆえ私も子供のころは何もわからず「大地の歌」といえばこれしか知りませんでした(当時LP二枚で立派な箱入りだった)。自分でこの曲の古典的名盤を買うようになりそれらに聴き親しんだ今でも、若い時にクレツキ盤で甘ったるい厭世感に陶酔したころの印象は、この復刻でも何も変わらない。若きF=ディスカウのしなやかな美声にPOの木管群が室内楽的に絡む「告別」など、思わず引き込まれ絶品と思わずにいられません。
バーンスタイン以前、おそらくまだマーラー受容期の一演奏スタイルとして、私は大切に愛聴しております。
復刻ありがとうございました。クレツキの続編をぜひお願いします。