90125イエスと、もうひとつのイエスABWHが融合、ファンにとっては夢の大所帯で1991年にイエスはツアーに出た。その目玉の一つが、ドラムのビル・ブラフォードの復帰だろう。ブラフォードは72年名盤『危機』発表直後に脱退、その後の晴れやかな活躍は世に知れるところだが、同時にイエス・ファンはその活躍を羨望のまなざしで眺めてきた。そのブラフォードが復帰、しかもブラフォード脱退以降ドラムの座に座ってきたアラン・ホワイトとのダブル・ドラムとなれば、期待も高まるところだが、その実、互いにスタイルを譲らず、結果、ホワイトが大音量でアコースティック・ドラムを叩き、ブラフォードがその隙間をエレ・ドラで埋めていくという、デュオとしては破綻した演奏を繰り広げる結果となった。その様を如実に捉えたのが、本ライブ・アルバムだ。ただブラフォード・ファンには嬉しいことに、ブラフォードの音が前面に出ている。また、これまでどのサウンドボード音源からも省かれていたドラム・デュエットが、本作では収録されている。なお全体の音は中低音が抜けた、所謂、ドンシャリで、ビデオ・ソフトから直に落としてきたかのような音だ。