
ライヴ・アット・ザ・マーキー 1969 / King Crimson
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名盤『宮殿』を創った69年のラインナップによるライヴを部分収録。音は終始割れ気味。そうはいうものの、スタジオ版にはない熱気にあふれた白熱したライヴは聴きもの。前身GGFの雰囲気を残す3、『宮殿』未収録の2、4-6など彼らのもうひとつの顔が覗けるのも本作の魅力だ。ボーナストラック7は後の楽曲(部分)も含む20分近い演奏。冒頭のコーラスは、KC史上最も美しく優しい。秀逸だ。残念だが本編より音質は劣る。
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よしくんさんが書いたメンバーズレビュー
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冒頭から不穏な空気が流れ、即座にアニメ『呪術廻戦』のエンディング・テーマ「more than words」(M2)へと流れていく。人気アニメとのタイアップ作品で、冒頭から聞く者の心をつかもうという戦略なのだろうか。しかしどうにも心がつかまれないまま、M3が始まる。曲調はどれも似ていて、凛として時雨とヨルシカを足して2で割ったようだ。オリジナルティはあまり感じられず、逆にどこかで聴いたことのあるような、親しみやすい音が続いてく。録音状態があまりよくないのか、ドラムの音が非常に悪い。ベースも同様で、もこもこしていて、正直、何を弾いているのすらよくわからない。ギターはバッキングが主だが、アクセントがない平坦な抑揚のフレーズを弾き続け、それがどうにも鼻についてならない。M8ではドラムが16音符を刻むが、それだけに歌のリズムの悪さが目立つ。こうやって書くとまるで良いところなしだが、それは逆に言えば彼女たちのこれからの成長を期待する楽しみがあるというものか。
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アルバ・ノトの作品の中でも特に重要な作品が、特定の人物/プロジェクトのために捧げられた「曲」を集めた『For』だ。これは『1』と『2』が存在するが、本作は長く廃盤になっていた『1』と最新作『2』をカップリングした何とも贅沢な日本独自企画盤だ。 先ほど「曲」とわざわざカギカッコでくくったのには、意味がある。ここで展開される「曲」は、それまでの既存の楽曲の概念を大きく覆すものだからだ。それまで、音を極限まで切り詰めた音楽として、1960年代にミニマル・ミュージックが生まれたが、しかしながら、そこでは楽器が使われており、従って、何らかの音程やリズムをもった「音」によって楽曲が編まれていた。この作品は、当時萌芽したばかりのデジタルによる音作りを突き詰め、音程すら取り払った。アナログ時代ならば一種の騒音として唾棄された細かいノイズやハム音を、デジタルの力を使い制御し、鳴らすことで、「曲」として成立せしめたのである。ここから、前世代とは大きく一線を画す、デジタル世代のミニマル・ミュージックが生まれたわけだ。このアルバムには、1999年から2008年というデジタル世代のミニマル・ミュージックもしくはエレクトロニカが最も変化した時代の「楽曲」を収録している。そのどれもが、ある特定の人/プロジェクトに向けた書かれたためか、会話する(実際には一方的に語りかけているだけだが)ノイズとなっている。その音は静かで、そして、とても優しい。このアルバムを聴いていたら、ノイズでのみ構成される宇宙の「音」が、よく聴くと楽曲のように聴こえてくるのを思い出した。傑作である。
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サウンド・アーティストryu furusawaの2ndフル・アルバム。どこを切り取っても、ひたすら聴きやすさを追及したかのような、日本人好みのアンビエント・ポップな作品だ。規則的だが軽く跳ねるアナログ・シンセを模した音、感傷的なオルゴールとピアノのアルペジオ、SEとして入る楽し気な笑い声、白玉のシンセにアクセントとしてのドラムなど、至るところで聴きやすい仕掛けが満載だ。まさにミューザックとして最適な音楽だ。 もしこれがタイトル通りの世界観を表しているならば(余談ながら、日本語と英語ではタイトルの意味に差異がある)、アニメや童話のような非現実的な遊園地の黄昏時こそが映像として相応しいだろう。 なお初回限定盤のみ、約20分の映像コンテンツを収録したDVDつき。ここではアルバムの音とは対照的な、描く対象を極限まで抽象化し、その焦点がぼやけてしまったような映像を伴う2曲が収録されている。
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PAN SONIC と伝説の男・灰野敬二による2007年10月15日、ベルリンで行われたセッション・ライヴの模様を収録。デジタルを駆使したミニマル・ミュージックを得意とし、時にその作品はノイズの嵐となるPAN SONICと、エレクトロニクスを否定していた灰野の組み合わせは、実際の音を聴くまで想像もできなかったが、タイトルにある「ブラックホール」を音で体現したかのようなその音に(思わず、クセナキスの「ボホール」を思い出した)圧倒される。PAN SONICが得意とするデジタルなビートではなく、ひたすら重低音のドローンで空間を彩る中、灰野が色を添えることで、唯一無二の音空間を導き出している。7-8は必聴。
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灰野啓二にジム・オルークが合流すれば、それだけでも向かうところ敵なしといった感じだが、更にオーレン・アンバーチが加わりトリオとなった。一触即発のようなこのメンツなら独自性の高い音楽が生まれることは保証されたようなものだが、実際、このアルバムでは唯一無二の音を作り出している。全曲ライヴ・インプロビゼーションで、確かに万人に受け入れられる音楽ではないが、この混沌とした音楽がCDとして市場に流通することに意義がある。ギター、ベース(ジム・オルークがベースに徹している!)、ドラムのトリオが織りなすノイズの応酬から、時に覗く呪術的な音が、魔力にも似た中毒性をもっている。
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NHK-BSで放送された海外ドキュメンタリーで、ノルウェー出身のオーロラの存在を知り、彼女の音楽に対する姿勢に非常に深い興味を持った。実際に手に取ったこのアルバムは、期待を裏切らないばかりか、多くの驚きと興奮をもたらしてくれた。一聴すると明るいケイト・ブッシュかBjorkか、といった感じだが、その実、かなり力強い土着のビート(このビートが全てデジタルに起因することにも驚いた)に強烈なメッセージを載せてくる。例えばリード・シングルの「アニマル」では、「人」を「コンクリートジャングルを彷徨う動物」に準え、恋愛模様を「狩り」に例えている。またタイトル曲では実験的な音響とビートとともに、所謂ファースト・コンタクトを描いているが、実にこの曲の実験性と歌詞の雰囲気があっている。ラストを飾る「シード」では環境問題を歌い、「お金は食べられないのよ!」と繰り返す。日本ではまだ注目されていないようだが、オーロラの存在はこれから注目株となるはずだ。
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90125イエスと、もうひとつのイエスABWHが融合、ファンにとっては夢の大所帯で1991年にイエスはツアーに出た。その目玉の一つが、ドラムのビル・ブラフォードの復帰だろう。ブラフォードは72年名盤『危機』発表直後に脱退、その後の晴れやかな活躍は世に知れるところだが、同時にイエス・ファンはその活躍を羨望のまなざしで眺めてきた。そのブラフォードが復帰、しかもブラフォード脱退以降ドラムの座に座ってきたアラン・ホワイトとのダブル・ドラムとなれば、期待も高まるところだが、その実、互いにスタイルを譲らず、結果、ホワイトが大音量でアコースティック・ドラムを叩き、ブラフォードがその隙間をエレ・ドラで埋めていくという、デュオとしては破綻した演奏を繰り広げる結果となった。その様を如実に捉えたのが、本ライブ・アルバムだ。ただブラフォード・ファンには嬉しいことに、ブラフォードの音が前面に出ている。また、これまでどのサウンドボード音源からも省かれていたドラム・デュエットが、本作では収録されている。なお全体の音は中低音が抜けた、所謂、ドンシャリで、ビデオ・ソフトから直に落としてきたかのような音だ。
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2014年より年に1パッケージの割合でリリースされ、本作で4作目。今回の目玉は、何といっても、CD1 tr.2の“21st Century Schizoid Man”からグレッグ・レイクの声のみをファースト・バース抜き出した音源だ。これは1969年のスタジオ録音以来、長らく失われてきた(まさにマニアにとって「聖杯」だった)オリジナル・マスター・テープがヴァージン・レコードのアーカイヴから「発見」されたからこそできたもので、それを安易に2015年の演奏につなげるのはいかがなものだろうか。むしろ全3バースそれぞれを取り出して、72年、74年、96年の音源のプレリュードとしたほうがまとまりが出たように思う。また“Larks~” に特化したCD2で、その“Larks~”を part 1からpart 4まで並べる快挙に出たが、どうせなら2001年11月に数回だけ演奏した“Larks I-Level Five”も収録してほしかった。それにしてもこのCD2を聴くと、改めてpart 4のすごさが実感できる。また同梱の2016年版“Level Five”は、奇跡的にすごい演奏になっている。
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キング・クリムゾンのレア音源を集めたツアーのみのパッケージ(実際には、オンライン/店頭販売もしている)もついに7作目。一年に1作ずつのリリースで、7年間もよくも続いたものだと思う。その一方で、流石にネタ切れ感が否めない。以前はアーカイブから「発掘」されたレア音源が、収録曲の中心を占めていた。これを目当てに購入していた人も多いと思う。だがここ数年はファンにはお馴染みのライヴ音源や、最近の音源ばかりが目立つようになった。事実、今回の収録曲全31曲中11曲は、2014年以降のラインナップによる退屈な演奏だ。加えて、ライナーノーツも書くことがなくなったのか、並行宇宙理論に基づく(?)もうひとつの並行宇宙でのクリムゾンの活躍について語っている。これは平たく言えば、空想の限りを尽くした夢物語だ。これは御法度中の御法度。想像のみに基づく文章は、レビューを書く人間が、一番やってはいけないことだ。
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90125YESに、のちのYESサウンドを要ともなるビリー・シャーウィッドが参加した、6人編成でのライヴだ。時期としては、8人編成という大所帯(お祭り騒ぎ状態?)での活動が終結。ジョン・アンダーソン以外のABWH組が、それぞれの活動のために脱退。トレバー・ラヴィン主導のもと、初のデジタル録音で挑んだアルバム『トーク』が発売された時期だ。それに伴うツアーの様子をとらえたのが、本作だ。『トーク』の緩やかなリズムのイエス・サウンドは、高い評価を得なかったが、ここではライヴならではの生き生きとしたサウンドに生まれ変わっているだけでも一聴の価値あり。またイエス・サウンドといえば、コーラス・ワークの巧みさと非常に高度なバンド・アンサンブルを連想する人も多いと思う。その両者が、ここでは充実している。特にコーラスの素晴らしさは特筆に値する。リード・ヴォーカルもとれるラヴィンを筆頭に、スクワイアやシャーウィッドも加わった分厚いコーラスと、イエスの“声”ジョン・アンダーソンの絡まりはここに極まる。新曲に交じり演奏される、お馴染みの「ハート・オブ・サンライズ」「アンド・ユー・アンド・アイ」なども健在な一方で、ラヴィンがマルチ・プレイヤー張りの演奏を聴かせる『トーク』収録のハイライト「エンドレス・ドリーム」は、まさにイエス・サウンドの真骨頂だ。残念ながら複雑かつ美麗なこの曲は、ラヴィン脱退に伴い、以後、ライヴで演奏されることがなくなり、2020年10月現在、ライヴ音源が公式収録されているのもの本作だけとなる。全体としていいこと尽くめだが、若干の音揺れが残念だ。
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まさにピンク・フロイド・サウンドここに極まる。予てよりピンク・フロイドは、会場に豚のオブジェを飛ばし、光の洪水といったギミックで観客の度肝を抜く。またSEを駆使したサウンドで、人々を沸かせてきた。同時に、しかしながら、所謂プログレ5大バンドの中でも1、2を争う演奏力の低さが、玉に傷だった。しかしここではピンク・フロイドの頭脳と呼ばれ、バンドを脱退して早40年になろうというにも関わらず、ピンク・フロイド・サウンドを追及し続けてきたロジャー・ウォータースが、頭脳として君臨。腕達者で表現力豊かな若きミュージシャンらを迎え、全盛期の情熱を、全盛期には達しえなかった演奏力、そして、プロジェクションマッピングなども駆使した映像技術を用いて再燃する。これはまさに、ウォータースが夢見続けてきたであろう(もしくはそれを凌駕する)音と映像だ。実に完璧な形での、ピンク・フロイド・サウンドの結実である。 ここでのロジャー・ウォータースの役割は、総監督もしくは、自己啓発セミナーのアジテーターに等しい。本人はほぼ歌わず(ギター氏が担当)、ベースもおそらく弾いていない(ベース奏者を別に迎えている)。代わりに御年77歳のご本人は、観客の前に君臨する。身振り手振りを加えながら、口を大きく開いて歌真似をし、観客を煽るその姿はまさに先導者/扇動者だ。時にその扇動は過激なメッセージともなり、「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」に顕著だ。ここでステージに並んだ子供らに、「RESIST(抵抗せよ)」と書かれたシャツを着せて、ステージ前面に並ばせる。このような過激さにも関わらず、観客は世代間が広く、意外にも若い世代が目立つ。アジテーターとしてのロジャーの実力がいかに高いかがうかがえる。 『狂気』の抜粋に始まり、「ようこそマシーンへ」「あなたがここにいてほしい」(いずれも『炎』収録)で自身の最新ソロ・アルバムの曲を挟み、最終的に再び『狂気』へと戻っていく構成はまさにフロイド・サウンドのベスト。このメンバーで、この音像で、『狂気』や『炎』といったアルバムを再現してほしいと真に願うほどの完成度だ。 気づけばどのプログレバンドも先鋭的な音を忘れ、精神もその背中も丸くなった昨今、ロジャー・ウォータースだけは未だ前線で尖っている。そこが実に凄い。 なお音は是非とも5.1以上で聴いてほしい。
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所謂ベルリン三部作から『スケアリーモンスターズ』までのアルバムを収録した公式ボックスセット。デヴィッド・ボウイが最もアーティスティックな才能をブライアン・イーノとともに開花させたベルリン時代から、その経験を踏まえつつ、ポップなアプローチへと接近した『スケアリー~』が収録されているとあって、期待は高まるものの、実際にはその期待には応えてくれるものではない。日本では非常に評価が高い『ロウ』『ヒーローズ』だが、欧州では真逆の反応だったことが、その原因のひとつともいえる。だが、その元凶はプロデューサーのトニー・ビンスコッティにあるようだ。ビンスコッティによる同2作の評価は不当なまでに低く、『ロウ』『ヒーローズ』でイーノの力により自分の手が届かないところまで飛翔したボウイが気に食わないのか、この2作はリマスターのみで収録。代わりに自分がプロデュースしたジギーの楽曲を含むライヴ・アルバム『ステージ』と、イーノの力が弱まった『ロジャー』では、オリジナル・ミックスと2017ミックスの双方を収録する力の入れようだ。ボーナス・ディスクもシングル盤がほとんどで、目新しいものは何もない。EMI版CD『ロウ』『ヒーローズ』に収録された未発表音源や、後にWelcome To The Blackoutとして発売された78年アールズ・コート公演の音源など、収録すべきものはもっと沢山あったはずだ。
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以外に少ない、『ロウ』『ヒーローズ』期のISOLAR2ワールドツアー序盤からダラス公演を収録。熱狂的なアメリカの観客に応えるように、熱い演奏で応えるボウイの姿が、何とも健康的だ。しかしながら、このダラス公演の音源は1-5まで。あとは、ボウイの死後、オフィシャルでも何度もリリースされるようになった、NHKホールで行われたツアー最終日のライヴだ。明らかに後者は音質が落ちるが、こちらに収録されていない6曲(3.はSense of DoubtのあとにSpeed of Lifeが入っている)がライヴ全貌を補っていると思えば、お買いどくか。
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SerphとDÉ DÉ MOUSEによるポップエレクトロニカ最強コラボによるEP。1曲目から不可思議な言葉が飛び交う中、抜けの良いシンセと心地よくもヘヴィなリズムが飛び出す。その音に身を任せると、まさに夢見心地にさせてくれる。奇跡の1曲といってもいいだろう。続く2曲目はチープなアナログシンセらしき音も使うなど、泥臭くもありながら、やはり極上の世界を描き出す。完全なコラボはこの2曲のみ。あとの4曲はそれぞれの楽曲のリミックスや未発表バージョン。3や6も完全に「コラボの音」になっているから不思議だ。それにしても、EPなのにフル・アルバムを聴いたかのような充足感があるのは、収録楽曲全6曲の質の高さの証明だろう。
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ビョークはアルバムを出すごとに、大なり小なり、音やテーマを変化させていく。そのビョークが、通算10枚目となる記念的なアルバムの主題に選んだのは、「楽園(ユートピア)」。表題曲にある「原初の動物群(fauna)から聴こえてくる最初の横笛」に導かれるように、アルバム全体を通して牧神(faunaにはギリシャ神話のパーンに相当する、古代イタリア神話の女神ファウナの意味もある)が奏でる横笛を彷彿とさせる牧歌的な音世界が描かれている(このアルバムのために、女性12名編成のフルート・オーケストラが結成された)。ただ、そこはビョーク。空間を意識したエレクトロニクスが巧みに挿入され、エレクトロニカ時代の牧歌的な楽園像を描いている。ビョークの声は相変わらずの個性を保ち、12本のフルート(この編成だけでも特異だ)が時に変則的に入ってくるにも関わらず、この楽園像のおかげでかなり緩やかな作品に聞こえてくる。ただ、ジャケットの顔写真?が映画『ハンニバル』で自ら顔の皮膚をはいだ大富豪メイスン・ヴァージャーを彷彿とさせ、不気味だ。
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74年12月16日のカナダはトロント公演のラジオ放送用音源が、この度、リリースされた。本公演は幕開けから、PG時代の集大成であり当時最新作の『幻惑のブロードウェイ』物語全曲(2枚組LP)をライヴ演奏するという、所謂ロック・ミュージカル然とした内容で、シアトリカルなライヴを目指したPG時代のジェネシスが到着した、ある種の頂点とみていい。ライヴでは原作通りに複数の曲がメドレーでつなげて演奏されるのだが、このCDでは何ともご丁寧に全曲の曲間にプリギャップが入っており、楽曲の切れ目が明確になるものの、その反面、そのたびに盛り上がったテンションが下がる作りになっている。また曲順もこの通りではなく、断片しか収録されていない曲も4曲ほどある。演奏もツアー序盤のためか、ミスが目立つ。コレクター向けだ。
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ELP初の来日公演から、今はなき後楽園球場で行われた野外コンサートの公式版が、21世紀になってリリースされた。7月後半とあって高温多湿、加えて当日は雨の中、アナログ・シンセサイザーのチューニングが狂い、また、ステージと観客席の間に大きな隔たりがある万全とは言えない環境ながら、ELPは白熱した演奏を繰り広げている。この公演は現・テレビ東京が中継・再放送(モノラル)したが、ここで聴かれる音は何と驚くことにステレオになっている。
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この世にこれほどまで美しい音響が存在しえたのか。冒頭、共鳴しあうドローンの美しくも優美なその音響が、いつしか21世紀の交響曲として結実していく――2011年5月に行われたマーラー没後100年を記念したフェスティヴァルでフェネスが聴かせたライヴ演奏は、実に大胆にもマーラーの交響曲をサンプリング・加工した音に、ノイズや自身のギター演奏を加え、あまりにも美しい極上のサウンドスケイプを生み出した。マーラーの交響曲は原曲がわからないほど加工されているが、しかし、確実にマーラーを感じさせ、加えて、新しい響きさえも生み出している。19-20世紀のマーラーの交響曲が、フェネスの手によって、21世紀の交響曲として生まれ変わった。別の次元へと昇華したと言っても、過言ではないだろう。この美しさに、心が震えた。
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良質なポップス×ユーモア×(奇数拍子+複雑なハーモニー)=ハットフィールド?!伝聞でのみ知られた、70年代若きカンタベリーサウンドの雄のライヴ音源3セットが、ここに集約。セットはどれも既発の1stと、当時未発表の2ndの曲をメドレーでつなげていく音のタペストリーで、ファンですら意表を突く展開を時に見せ、リスナーを飽きさない。6-8は音質・演奏・楽曲・オリジナルティが揃った最高の出来だ。至宝なり。
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ディズニー法対策なのか、リリースより50年の時を経てCDにて復刻となった。オリジナルEPはアルバム未収録編集版と未収録曲ながら、どちらもコンピレーションで複数回収録されてきたお馴染みの音源で、音が鮮明に蘇った新ミックスと現行のラインナップによる、か細い音のライヴ演奏を追加収録。このライヴを収録するなら、近年YOUTUBEで公開されネットを騒がせたテレビ出演時の映像をDVDで収録してほしかった。
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英国ツアーを終えたUKは北米に渡る。そのツアー2日目を収録。ベースがオン気味だが、これは当時、ベース以外何も聞こえないとブラフォードに言わしめた当時のステージをリアルに再現しているかのようで、大変興味深い。特筆すべきはそのセットリストだ。3は後のバンド・ブラフォードの代表曲。4、5は編曲をかなり変えてUKの2枚目に収録された。7-9のメドレーは、現在、他のライヴアルバムでは聴かれない。実に貴重。
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まさに秘宝。本能剥き出しのセックス・ドラッグ・ロックンロールに、知性と理性が勝利した瞬間だ。単調なリズムとコード進行は過去の遺物と言わんばかりに、カンタベリーロックの巡礼者らによるリズムとハーモニーの飽くなき探求が続く。本作は演奏技術の高さ、収録内容の希少性(アルバム収録曲は2曲のみ)、そしてドラムに奇数拍子の申し子ブラフォードを迎えた幻のメンバー編成と、三拍子揃ったカンタベリーロックの秘宝だ。
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2010年にシーン復帰以来のOVALは、ノンジャンルな世界を作り続けてきた。生楽器を使った実験作『O』に始まり、『Popp』ではクラブミュージックに接近。そこに本作では初期のループが合わさる。結果、クールなループにヘヴィなリズムそして流麗なメロディが合さり、極上な唯一無二の音空間が生まれた。OVALの新次元到来を強く感じさせる一枚だ。日本盤はEP『Ekspio』全曲収録。こちらは初期の感覚に近い。
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ソロ活動6枚目。ビョークの音楽というと、アイスランドを象徴するかのような、ヨーロッパ的郷愁と電子音楽の融合した暗い音が連想されるが、ここでのビョークはひたすら明るい。躁状態とすら言ってもいいほど力強く、大胆かつオプティミズムな音を展開している。これがビョーク?と思うほどだ。彼女の作品の中では、正直、異端だと思う。しかしここから溢れる有り余るパワーが、本作を傑出した作品に昇華している。
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中古LP市場で10万円の値をつけた伝説的なアルバムが、発売45周年記念豪華版としてCD3枚組で再発された。メインは四人囃子=一触即発のイメージを確立した、“和”に根差した独自の世界観を堪能できる。音質はリマスターにより向上、細部が明確になった。ボーナスディスクはアマチュア時代/同窓会のライブを不完全収録。貴重な発掘音源を多く収録した昨今の再発CD市場を鑑みれば、再発Pとしては仕事の粗さが目立つ。
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89年の再結成公演の映像作品が、30年の時を経て渇望の初DVD化された。本編は同窓会的な再結成ブームを嫌い、先鋭的な音楽を作った佐久間正英の意図を反映した構成・編集がなされている。素晴らしい。反面、実際の公演の半分ほどしか収録されていない。ボーナストラックとして全3公演の全貌(できればブルーレイで)を入れてほしかった。なお音/映像ともにリマスターされておらず、何と映像は4:3でアナログ並の粗さだ。
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名盤『宮殿』を創った69年のラインナップによるライヴを部分収録。音は終始割れ気味。そうはいうものの、スタジオ版にはない熱気にあふれた白熱したライヴは聴きもの。前身GGFの雰囲気を残す3、『宮殿』未収録の2、4-6など彼らのもうひとつの顔が覗けるのも本作の魅力だ。ボーナストラック7は後の楽曲(部分)も含む20分近い演奏。冒頭のコーラスは、KC史上最も美しく優しい。秀逸だ。残念だが本編より音質は劣る。
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ベルリンでライヴ演奏した、未だ壁が健在だったかの地で、総帥ロバート・フリップをゲストに迎え制作されたデビッド・ボウイの名曲中の名曲「ヒーローズ」のカバーを、ボウイ追悼としてリリースしたのが本作だが、同じキング・クリムゾンの演奏としては2000年のエイドリアン・ブリュー版のほうが遥かに出来がよく、いかに現在のメンバーのジャッコが運の良い人間か分かる作品でもある。ドイツ語版? どこに入っている?
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イエス在籍中に出した初ソロ・アルバム。「ジョン・アンダーソンが急病のためレコーディングに参加できず、急遽、代わりにクリス・スクワイアがヴォーカルまでとったイエスの作品…」と言われても、スティーヴ・ハウの熱心な信者以外なら納得するのではないか。それほど完成度が高い。一方で3曲目ではスクワイアならではのベース・ソロが聴かれるなど、ベーシストのソロ・アルバムとしても興味深い。
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イーノ色濃厚。イーノでしか作ることができない、唯一無二で創造性の高い作品。もし“イーノ”という音楽ジャンルがあるならば、その境地といえよう。アンビエントでもなく、ポップスでもなく、かといって、教会音楽でもない。それらの境界線を幾度となく超えたところに、この作品のすばらしさがある。限定版には『77 Million Paintings』を彷彿させるカードつき。
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オフィシャルにしては、1、2曲目は特に音が悪い。中でもドラムは最悪。低音を欠いたカスカスの音になっている。その上、オルガンやギターの音は非常に小さく、バランスが悪い。また2曲目では途中で何度も音が小さくなり、その度にイライラする。このような音なので、高価なステレオよりも安価なラジカセで聴いたほうが自然に聴こえる。また演奏内容も、スタジオに比べパッとしない。日本盤コピーの勝ちだね。
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1998年のライヴ・コンサートを完全収録。「ホウダウン」やソロ・ピアノ各曲はスリリングだし、「タルカス」もほぼ全曲(「バトルフィールド」抜き)演奏。同年にはEL&Pでもフル・バージョンの「タルカス」を披露していますが、未リリースなのでこの「タルカス」は貴重です。何といっても、キース・エマーソンが生き生きとしている。それが嬉しい!
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中古レコード屋で何年も探し回り、大金を払って手に入れていたアイテムが、このボックスセットでは気軽に聴くことができます。フリップに大感謝です。また数々の未発表テイクの中でも、BBCでのスタジオライヴ「風に語りて」や、新たに発見されたオリジナル・マスター・テープから起こされたBBC版「21世紀~」は非常に貴重。
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モノラル録音のカセットテープ・デッキで録音された、ライブ音源です。ですので音はさほど良くありません。上物はさすがにちゃんと録音されていますが、全体的にレンジが狭く、ベースとドラムは後半、非常にしょぼい音になっています。演奏も最初の10分は“らしい”音ですが、後はジャムセッションといったありきたりの演奏です。参加メンバーに余程の思い入れがなければ、本CDは資料的価値から抜け出るのは難しいと思います。
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暗いイージーリスニングです。決して万人向けの作品ではありませんが、かといって、マニア向けの作品でもありません。40年前の若いころの作品の一部をとりあげ、展開していますが、ここから感じられるのは演奏技量の深まりではなく、過去の栄光へすがる姿勢です。同曲の「悪魔的」といわれたフレーズをとりあげていないことが、アーティストとしての技量の狭さを際立たせる結果になっています。
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歴史的名盤の歴史的再発です。ウェールズのみならず、ブリティッシュ・ロック・ファンならばマスト中のマスト。ただし残念ながら、ここで表記されている曲目リストは、再発元のDominoとは異なり、かつての日本盤のものです。 http://www.dominorecordco.com/uk/albums/23-02-15/mwng
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確かにGentle Giantについてよく言われるように、“複雑な楽曲をこなす”演奏技術は高いです。それは十分、楽しむことができます。しかし小手先の演奏技術の高さは、必ずしも作品の完成度や、音楽にもっとも大切な“感動”に直結するとは限りません。そのお手本のような作品です。特にヴォーカルの表現力が乏しく、楽曲の魅力が伝わってきません。
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