メンバーズレビュー一覧

溝口一太郎さんが書いたメンバーズレビュー

  • 1

(全10件)

 さぞや針音が盛大に入っていると思いきやそんなことはなく、すっきりとして、とても聴きやすい音になっている。最高傑作といえるほどの演奏かどうかは置いておいて、戦前のウィーン・フィルの演奏が比較的いい音で鑑賞できるようになったのは喜ばしい。この音で、90年代初めに出ていたウィーンフィル編と九大管弦楽団編(それぞれ14枚組)のセットを復活させてほしい。
(追記)「アイネクライネナハトムジーク」は、音がかなりひずんでおり、いただけない。90年代に出た、「ウィーンフィルによるモーツァルトの芸術」(新星堂・3枚組、制作は東芝EMI)や「ワルター/モーツァルトレコーディングス」(これも3枚組)のほうがずっとよい。

0

 「白鳥の湖のスペシャリスト」と言われていただけあって、実に見事な演奏。
 この曲の「完全全曲版」で現時点でベストと勝手に思っているのは、フィストラーリ、エルムレル、ランチベリー。次いでボニング、デュトワ。次にブレヴィン、ロジェストヴェンスキー。判断基準は、管弦楽曲として立派に演奏されているかではなく、バレエ音楽特有のリズム感、躍動感。そして、恥じらいを脱ぎ捨て、この曲特有のドラマが十分にあるかどうか。
 聴かせどころを一番わきまえているように思うのは、フィストラーリ。欠点はオーケストラが荒削りなところで、ソリストの妙技に聞き惚れてしまうような場面はほとんど無い。逆にそれが迫力や熱意を感じさせる面もある。オケの特性を生かした演奏を考えたのかもしれない。フィストラーリとしては三度目の、初の完全全曲録音で期するところがあったと思われるが、従来の伝統ある演奏団体があてがわれなかったのは、ボニングを食わないようにというレコード会社の策略だろうか。
 最初にK社からCD化されたときはLP同様に3枚組だったが、実にひどい音だった。曲数を減らさずに2枚になり、音質もかなり向上している。
 もっともエレガントなのは、最初のロンドン響盤で、録音も極上のモノラル。ここに聴かれる味わいはないが、別の魅力がある。

0

ミュンシュやクリュイタンスが初めてCD化されたときの期待感と、実際に音を聞いたときの失望感は今でも忘れられない。その後、音質向上をうたってHS2088だのアビーロードテクノロジーだの手を替え品を替え発売され多少ましになったと思ったことはあっても、到底満足できるものではなかった。最後に買ったのはSACD(シングルレイヤー)でブラームス「第一」と合わさったもの。これも音が干からびて、演奏も各パートが好き勝手にわめき散らしているだけに聞こえてきてしまう。しかも第3楽章にはLP時代の盤面返しのブランクが依然として当てつけがましく入っている。今回のオープンリール復刻では、音が非常にみずみずしく、演奏も見違えて聞こえる。レコードのための録音と言うことを考えて、ミュンシュとしては、特に第5楽章後半、むしろ抑制を効かせた演奏に聞こえる。私にとっては、モントゥー(1950年盤)やクリュイタンスの東京ライブを上回る、最高の「幻想」。

0

80年代半ばに買った3枚組(73DC248)の買い換え。音質向上が著しく、古さを全く感じさせない生々しい音になっている。

0

 確かにコンプリートではありません。「天体の音楽」については、元々2枚組だったものを1枚に押し込むために抜かれてしまったものと思われます。狩り(アンコール)は曲目からは抜けていますが、本番の演奏と続けて入っていました。モーツァルトの行進曲集もありません。私は12枚組のウィンナワルツ大全集の買い直しで購入しました。音質改善がめざましく満足しています。大全集のように1975ニューイヤーコンサートと合わせて2枚にすれば、1979ニューイヤーコンサートもすべて収録できたのに。

0

 演奏、録音ともにすばらしい。初めてこれらの曲を聴こうとする人たちに第一に薦められる。個人的にはワルター(ステレオとニューヨーク・フィルとのモノラルと両方)が今でももっとも感銘を受けるけれど、最初に聴くならこっちでしょう。

0

 ホロヴィッツのショパンを聴きたいと言うときに、誠にありがたいセット。当人はこのような聞かれ方はのぞんでいなかっただろうとは思う。なお、「ベルリン・コンサート1986」での演奏は含まれていない。

0

 クライバーンと言えば、東西冷戦下の1958年に一躍時代のヒーローとなり大いにもてはやされたものの、鳴かず飛ばずの状態となり、コンクール名にその痕跡を残すだけで消えていったピアニストというイメージ。初めてその演奏を聴いた。音が非常に輝かしく聴き映えがする。若手らしい威勢のいい羽目を外すような演奏を期待していたが、意外と堅実な演奏でこれはこれで聴き応えがあり、すばらしい。

0

著名なピアノ協奏曲を、比較的いい演奏・録音で聴くことができる。特にバレンボイムとのベートーヴェンがすばらしい。あと、ラフマニノフの第3番と、モーツァルトが何曲かあれば言うことなし。なお、ショパンの第2番は、ここに書かれているのと違い、ウォーレンスタインとの古い録音が収められていた。

0

この時の演奏会を聞きに行きました。「皇帝」のソリストは中村紘子でした。年齢を感じさせないエネルギッシュな指揮ぶりでした。25年ぶりに、あのときの演奏を聴けるのを、楽しみにしています。

0
  • 1

(全10件)