演奏活動からは引退されているとはいえ、ブレンデルさんの訃報には悲しみました。私はブレンデルさんの正確・明晰・知的な演奏を好んでいて、特に、壮年期の気力・テクニックの充実と旧フィリップスの録音技術の成熟が重なった1970~80年代の録音を愛聴しています。この全集は、ブラームスのピアノ協奏曲の旧盤など当時廃盤となっていた録音を多く含むため、初回発売時に迷うことなく購入しましたが、デッカが旧フィリップスの録音を再発した際に時おり感じた「以前と音質が違う」という違和感がなく、買って本当に良かったと思います。特にお勧めの録音は以下のとおりです。
・バッハ イタリア協奏曲、半音階幻想曲とフーガ
・モーツァルト ピアノ協奏曲集(5~27番)
・モーツァルト・ベートーヴェン ピアノと管楽のための五重奏曲
・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集旧盤
・ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集(ハイティンク盤、レヴァイン盤)
・シューベルト ピアノ五重奏曲「ます」新盤
・ブラームス ピアノ協奏曲全集旧盤
シューベルトのピアノ・ソナタの2種類の演奏は、私自身が十分聞きこなせていないので、評価が難しいですが名盤の誉れ高いところです。名盤満載の114枚の全集、ブレンデルさんにご興味をお持ちの方は、品切れにならないうちに是非購入されることをお勧めします。