晩年のフルニエのバッハ無伴奏である。今まで未発表の演奏だ。録音日は1981年7月1日で、デジタル臭さは余りしない音質だ。ただし、はっきり言ってミスタッチは多い。フルニエ80歳の時の演奏だ。彼は1986年に85歳で逝去されているので実に貴重な演奏だ、しかもバッハの無伴奏だ!
確かにミスは多い。しかしバッハの音楽の真実が、ミスタッチの演奏から聴こえて来るのだ。ゾクッと総毛立つ表現を80歳で演ってしまう老フルニエ!しかし、星が一つも無く注目されていないのかなと思い、投稿した次第である。
何処かソルボンヌ大学でのカザルスのアンコールを彷彿させる。(その際カザルスもバッハの無伴奏第5番から「サラバンド」弾いた。幽玄の極みだった。このCDのフルニエにも、カザルスに近い表現を感じるのだ。バッハの音楽の懐の深さ、きちんと誠実に老いなければ、出せない表現の深み。はっきり言って、バッハの無伴奏が好きな人は、これを聴かないのはこれを聴かないのは、余りにも勿体ないよ。