ブロンクス「よし、上ちょのニトロ関係で好きな曲べスト3は?」
上野「じゃ、“PINKY～だから、その手を離して～”と（笑）、“BAMBU”、あと“NITRO MICROPHONE UNDERGRUOND”ですかね」
ブロンクス「なんかストレートすぎてつまらないね（笑）。じゃあ、TAROは? ソロ・アルバムでベスト3を挙げると?」
TARO「1位は『THE FORCE』になってしまうかなぁ。あと、DELIさんの『DELTA EXPRESS LIKE ILLUSION』。あとは……SUIKENさんのファースト『SUIKEN PRESENTS SIXTEEN STARS』かなぁ」
上野「俺的な思い入れは、セカンドだっけ、サードかな。パッケージがナイキの箱になってるやつ（2004年作『STRAIGHT FROM THE UNDERGROUND』）。ディスクユニオンで働いてる時に、あれのダミーをカラーコピーして30個くらい作らなきゃいけなくて。〈俺もラップやってんのになー〉って思いながらやってた（笑）。逆にブロンクス君の好きな曲は何なんですか?」
ブロンクス「う～ん……MABOの“哀愁”でしょ。あと、本隊じゃないけどDELIの“オボレタ街 Pt.2”、MIKRISとMARS MANIEがフィーチャリングされているのが好きだった。あとNIPPS feat. K-BOMB、DEV LARGE、XBS、GORE-TEXの“God Bird”はPVもヤバいよね」
TARO「間違いない。DABOさんの“レクサスグッチ”の倍速ラップとか、当時のフロウ最前線ですよね」
ブロンクス「あれってリュダクリスの“What's Your Fantasy”とか流行ってた頃だよね。そういや、ああいうビートのことを〈バウンス〉じゃなくて〈チキチキ〉って言ってた（笑）」
TARO「言ってたなー（笑）。チキチキは、俺最初は駄目だったなぁ」
上野「俺も全然聴けなかった。チキチキしやがってみたいな（笑）」
ブロンクス「やっぱ早かったんだよね。さんピン世代のラッパーたちはみんな負けたくねえって思ってたでしょ」
TARO「俺は、DABOさんのセカンド（『HITMAN』）あたりがそういう感じで。でも実際に会って話してみたらこの人やっぱすげえって」
ブロンクス「それはわかる。俺は“REQUIEM”とかが入ってるやつが出た時、悔しいけど格好いいなって思って。その後ファーストが出た時に、乗り換えるならいまだなって思った（笑）」
上野「実は俺もPVを観てこれはヤバいぞって。地下駐車場をビッグスクーターで入るのを俺もマジェスティ*9で真似とかして。さすがに認めざるを得なかった（笑）」
*9 YAMAHAのビッグ・スクーター。
ブロンクス「否定するにはあのアルバムは格好良すぎたんだよね。隙がなかった。俺はDABO君の服のサイジングが小さくなった時は〈なんで?〉って思ったけど」
TARO「最近またサイズがデカいですからね」
ブロンクス「これからの合言葉は〈バック・トゥ・リアリティー〉でしょ! TAROは実際、DABOくんといっしょに作業しているわけじゃん。DABOくんが象徴するニトロ的な部分っていうのはある?」
TARO「DABOさんは、俺の持つニトロのイメージを覆した人ですね。ほかの人は、あんまり話す機会もなくて。ニトロって、集まるとカオスなんですよ。DABOさんの10周年だっけ、ベスト盤を出した時。STUDIO COASTでライヴをやって。3つくらいある楽屋のうち、一個がダンサーで、もう一個がジブ（ZEEBRA）さんとKREVAさんで。俺とSIMONが若手だってことで、ニトロと部屋がいっしょだったんです。いちばん話せるDABOさんはずっとステージだし。自由奔放すぎるんですよ、みんな。個別で挨拶をするといい人たちなんですけどね」
ブロンクス「ニトロは集まるとアウト・コントロールっていうのは昔から言うよね」
上野「でも本当にすごいっすよね。NIKEで靴作っちゃうもん」
ブロンクス「NITRAIDの総BUDSのカモフラとかヤバかったよね。チェックせざるを得ないっていうエッジは絶対出してくる。結局最終的に悔しいんだよね。話は変わるけど、DABOくんの“Tokyo Shit”と『DABO Presents B.M.W.-BABY MARIO WORLD-Vol.1』ってあれは2～3年前?」
TARO「3年前ですね」
ブロンクス「トレンド・セッター的な役割を進んで買ってでてたよね」
TARO「成功してましたね。“Tokyo Shit”があって、原点は『DABO Presents B.M.W.-BABY MARIO WORLD-Vol.1』みたいな」
ブロンクス「あと『DABO Presents B.M.W.-BABY MARIO WORLD-Vol.1』のジャケが246GRAPHIXなんだよね。あれはKANE君がペン&ピクセルみたいなダーティー・サウスのギャングスタ・ラップのギャングスタ・ラップのコンピのジャケを想定して描いてたんだけど、あそこまでコテコテの感じは早すぎて、会社ではすごい賛否両論を巻き起こしたらしいよ」
上野「みんな早すぎるんですね（笑）」
ブロンクス「DABOくんってCOMA-CHIとかTAROをすごいプッシュしてるよね」
TARO「そうですね。多分、あんまり繋がらなそうなところだったから、逆におもしろかったんじゃないですかね。いわゆるメインストリーム、ブエノス寄りの若手は、SIMONとか周りにいたかもしれないけど、ダメレコとかそっち側は繋がってなかった」
ブロンクス「DABONGZとか、TEAM 44 BLOXとか、身内を中心に広げてくのがニトロだと思ってたから、DABO君がそれをやるっていうのが新鮮だった」
TARO「それは、ニトロが日本語ラップをマジで聴かないらしくて。聴くのは友達がやってるやつくらいみたいで。だから『DABO Presents B.M.W.-BABY MARIO WORLD-Vol.1』は、ニトロのメンバーに聴いてほしいっていう気持ちがあったらしいです」
上野「いいことですね。うらやましかったです。俺参加できてないから。そういえばDABOさんって漫画も描いてましたよね」
ブロンクス「グラフィティも昔ちょっとだけやってたらしいよ。漫画上手いよね」
上野「RYUZOさんがブログで上げてた、DABOさんが描いていた小田原ドラゴンの〈チェリーナイツ〉のイラストがすげー似てて。〈ヒマだから描きました〉って」
ブロンクス「ヤンマガなセンスだよね。〈頭文字D〉とか」
上野「〈BE-BOPアジア選手権〉とか、そういうセンスも持ってそうな（笑）」
TARO「ニトロで意外な話が、誰もギャンブルをやらないっていう。マージャンとかも」
ニトロっぽい（?）謎のポーズを決める上野氏
ブロンクス「成功している理由ってそういうとこにあるのかもね」
TARO「昔はかなり、ガンダム意識が強くて。ネーミングとかも」
ブロンクス「ニュータイプって感じ?」
TARO「でも、フロウはいなたくないですか?」
ブロンクス「ラフ&ラグドな感じも残しつつ。さて、どうまとめようか。じゃあ今日誕生日のLOCK STOCKの福（福本）に締めてもらおうか」
LOCKSTOCK福本「いまニトロで検索してたんですけど、この動画（MITORO MICROPHONEUNDERGROUND“N.M.U”）おもしろいっすよ。素人がニトロに扮してPVを再現している（笑）」
（動画を観はじめる。みんなで笑いながら鑑賞）
ブロンクス「これYouTubeで日本語ラップのPV観てると出てくるよね。こいつら日本人なの? いま何やってるかが気になるね。そうだ、デモテープがあるんだったら、LOCKSTOCKまで送ってもらおうよ」
LOCKSTOCK福本「うす」
