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第187回 ─ 壮大なゴング宇宙を飛び交う音楽の彗星を探しに、いざ出発だ!

宇宙ディスクガイド(その2)

連載
360°
公開
2009/09/16   18:00
ソース
『bounce』 314号(2009/9/25)
テキスト
文/北爪 啓之、桜井 誠

THE PHENOMENAL HANDCLAP BAND
『The Phenomenal Handclap Band』
 Friendly Fire/KSR(2009)
NYの雑食大人数バンド。DJハーヴィが好みそうなトリッピーなディスコやファンクをやったり、トム・トム・クラブ“Wordy Rappinghood”みたいな曲をやったり、ゴング好きの耳にも馴染むソフトなサイケ・ロックをやったりとなかなかおもしろいです。*櫻井

FONTAN
『Winterwila』
 Information(2009)
マウンテン・オブ・ワンとも仲良しなスタジオの主宰レーベルからリリースされた作品。バレアリックというよりはエクスペリメンタルなサイケ~プログレですが、ゴングの新作からファンキーさを引いて北欧らしい耽美で陰鬱な雰囲気をプラスしたような曲もあったりします。*櫻井

ALTZ
『Escape』
 em(2009)
ローランドP・ヤングの作品を解体/再構築した作品。パーカッションやビートを追加してダンス・ミュージックに仕立ててはいますが、素材自体がトリッピーな宇宙的フリージャズだけに70年代後半の空気感はビシビシと伝わってきます。*櫻井

SYSTEM 7
『Phoenix』
 A-Wave(2007)
スティーヴ・ヒレッジが嫁といっしょに始めたユニット。オーブが自分の曲をかけているのを聴いて〈ピンときた〉というのが結成の理由だそうで、90年以降ずっとテクノ~アンビエント、トランスを作り続けています。こちらは手塚治虫「火の鳥」にインパイアされた最新作。*櫻井

LITMUS
『Aurora』
 Metal Blade(2009)
21世紀のヘヴィー・ロック・シーンに突如飛来した親愛なる宇宙バカ。猛烈な轟音を撒き散らかしながら強引に大気圏を突破するというホークウィンド的な方法論を継承(てかそのまんま!)。宙を駆ける闇雲な疾走感と無鉄砲なシンセのトビ具合に、呆れるほどのコズミック・ラヴを感じる。*北爪

コーネリアス
『SENSUOUS』
 ワーナー(2006)
目下の最新作である本盤から響くのは、エレクトロニカやアンビエントとも通底する、一聴してシンプルで穏やかなサウンド。その点で超絶演奏で大宇宙へと精神を飛散する『You』とは正反対に位置する作品だが、聴けば聴くほど音の隙間に深遠な小宇宙が凝縮されていることに気付くだろう。スカスカなギターのカッティングなどにゴングの影が!? *北爪