8月9日(日)
13:55~
■THE QEMISTS @ MOUNTAIN STAGE

けたたましく鳴り続けるサイレンに沸き上がる怒号。“Stompbox”のぶっといリフが地響きのように轟くと、ジェナGが飛び跳ねながら登場し、ステージいっぱいに駆け回りながら叫ぶ。「トキオー!!」。相棒のMCブルーノも彼女と対になるように逆走しながら彼女の挑戦的な掛け合いに応じて叫ぶ。「トキオー!!」。続く“On The Run”では早くもMC2人が通路に降りて観客とアグレッシヴなスキンシップを図り、会場内の誰よりも暴れまくる。そんなパフォーマーに導かれ、観客たちもグイグイと尋常でないテンションへ。ここでジェナが、「ゲンキデス!」とニッコリ。〈ゲンキデスカ?〉じゃないんだ……と突っ込みたい気持ちにかられたのは筆者だけではないと思うが、それもすぐに払拭。腕をブンブンと振り回しながら踊り狂う彼女はたまらなくキュートだからそれでイイんです! ライヴにおける彼らのサウンドは音源よりもラフでハードコアな攻撃性が際立っていたが、ラスト直前に本メンバー3人のみでプレイした“The Perfect High”では緻密なロッキン・ドラムンベースを生バンドでバキバキに披露するなど、ダンス・ミュージック・ファンにもしっかりとアピール。その間、姿を消していたゲストMC両名はなぜかホテルの浴衣に着替えて再登場し、会場全体が大ジャンプを繰り広げるなか、ラストスパート2曲を畳み掛けてパフォーマンスは終了……したのだが、止まない歓声に応えて全員がまたステージ上に降臨。ミネラルウォーターやら何やらをフロアに次々と投げかけて、投げるものがなくなったところで本当のエンディングを迎えた。終演後は〈楽しかった~〉という声があちこちから聞こえてきたが、筆者も激しく同意。ハチャメチャぶりが最高なステージングだった。*土田
15:35~
■THE VASELINES @ SONIC STAGE

まさかの復活! 奇跡の来日! と個人的に盛り上がっていたものの、決して一般的に知名度があるとは言いがたいヴァセリンズ。果たしてどれくらいのお客さんが集まるのだろうかと勝手に心配してたが、フタを開けてみればまったくもって余計なお世話。〈SONIC STAGE〉は往年のファンから若きキッズまでが入り混じり満員御礼だった。そこに登場したユージン・ケリーとフランシス・マッギーらは「ハイ! ウィー・アー・ヴァセリンズ!」と力の抜けた挨拶をすると、ギターをガシャガシャとかき鳴らしはじめ……なんと一世一代の名曲“Son Of A Gun”をのっけから披露。興奮のあまり、歓声を上げるオーディエンスをかき分けて筆者も前方へ。ユージンはいささかおっさん化していた(頭髪とか)が、タイトなTシャツにロング・スカート姿のフランシスは少女っぽい雰囲気を漂わせており、なんともキュート。そんな二人が往時と変わらぬ歌声で掛け合いながら、古き良きポップス/ロックンロールをシューゲイザー化したかのような独自の楽曲を気負いなく奏でていく。ニルヴァーナもカヴァーした“Molly's Lips”での、自転車の警笛みたいなラッパをパフパフ鳴らす趣向も楽しい。代表曲(すべてが代表曲とも言えるけど)のほとんどを惜しげもなく繰り出すと、“Dum Dum”であっさりと締め。伝説として語られることが似合わないぶっきらぼうな佇まいと、人懐っこい音の手触りが印象に残ったし、それこそが彼らの魅力の根幹なのだと思わされた。*澤田
16:55~
■TEENAGE FANCLUB @ SONIC STAGE

仲良しバンドだし、両方を観るお客さんが多いだろうと思っていたけれど、ヴァセリンズの後は多少分が悪かったかも。大入りとは言い難い客席後方で、ぼんやりとそんなことを考えていたら始まったティーンエイジ・ファンクラブ。普通のいい曲を普通に演奏するおじさんたち、という説明は失礼かもしれないが、いまの彼らはその通りなんだから仕方がない。ライヴは非常にほのぼのしたムードで、お客さんもアーティストも、ゆっくりと肩を揺らしながら進んでいく。が、事態が一変したのは後半に差し掛かったタイミングで鳴らされた“Everything Flows”の印象的なギター・リフ。〈うおーー!〉のんびり観ていたおっさん(自分含む)も、つい立ち上がって声を上げる。彼らのデビュー曲にして、屈指の名曲だ。〈自分がこの先どこへ流れ着くのかはわからない〉と歌われる多少青臭い歌詞に、ある程度の年齢を経たいまでも共感できるのは、ティーンエイジ・ファンクラブのマジックだろうか。続いて“Sparky's Dream”“The Concept”と、90年代中盤の曲を続けて演奏してくれたことで涙腺が決壊、最後は笑いながら泣かされてしまった。*ヤング
17:15~
■ユニコーン @ MARINE STAGE

雨が降ったり止んだりの不安定な空模様のなか、蝉の鳴き声が〈MARINE STAGE〉に染み渡ると、背中にイニシャルが入ったお揃いのツナギを着た5人が姿を現した。“ひまわり”のオルガンが聴こえた途端、会場全体が一斉にハンドクラップをはじめる。「ソニ~~~ック!!」という民生のシャウトとともに“服部”に突入すると、雨脚はふたたび強まって……ここまでくると、豪雨にさらされているというより、もう滝行である。水の塊がゴォォォという音を立てて上空から降り注ぎ、アスファルトに当たってバチバチと鳴る。そんな天候をものともせず、アリーナからスタンドの通路までを埋め尽くした大観衆は、全曲シンガロングで応戦。「なかなか今日はいい天気で……爽やかな風が吹いています! この微妙な雨のなか、ビヨンセは来てるんでしょうか? 気がかりです!」という民生のMCの後は“すばらしい日々”“ヒゲとボイン”などヒット曲が目白押しで、観客はずぶ濡れになりながら狂喜乱舞。“大迷惑”では「ダ・イ・メイワク!!」という大合唱がド迫力のサラウンド効果で響き渡り、民生もステージの端から端まで移動しながらさらに観客を煽る。エンディングは“HELLO”。雨はようやく小降りになっていたが、その時〈MARINE STAGE〉にいた誰もが、天候のことはもうどうでもよくなっていた(はず)。幅広い年齢層のオーディエンスが一体となって現場を楽しんでいる様は、本当に壮観。かつ、アッパーでありながら、危険なモッシュなどは起こりそうにないピースフルな空気感もユニコーンならではのものだろう。ん~、また観たい! *土田
17:20~
■RHYMESTER @ DANCE STAGE

まずはDJ JINが雄叫びを上げながら登場すると、“JIN-TRO”をスピン。続いて昂揚感たっぷりのホーンのフレーズとともに宇多丸とMummy-Dがステージ袖から飛び出し“キング オブ ステージ”へと雪崩れ込んだ。磐石のオープニング・チューンで場の空気をがっちり掴んだ彼らは、今度はまっさらな新曲を投入。そのサンバ・ビートに乗ってオーディエンスはジャンプしまくり、〈DANCE STAGE〉のヴォルテージは早くも沸点に。「〈サマソニ〉だけはアウェーだと思ってたんだけど……違いました。ここもホームです!」と宇多丸が満足気に宣言していたけど、実際に、ここまでばっちり息のあったステージとフロアの関係は、3日間を通じて他ではお目にかかれなかったかもしれない。“肉体関係 part 2”では、その阿吽の呼吸でもって「セックス!!」のコール&レスポンスを見事に(?)成立させてみせた。終盤に入ったところで繰り出された“B-BOYイズム”ではゲストにCOMA-CHIを迎え、彼女によるカヴァー・ヴァージョン“B-GIRLイズム”との融合が実現。そして復活第1弾となるニュー・シングル“ONCE AGAIN”が披露されると、その壮大で勇猛なサウンド&リリックに合わせて、会場中の人差し指が天へと掲げられた。本来ならこれにて終了……のはずなのだが、鳴り止まない拍手に応えて、なんとフェスでは異例のアンコールが勃発! ここで締め括り感ゼロの狂騒チューン“けしからん”を持ってくるのもRHYMESTERらしい。その場にいた誰も彼もがグッチャグチャになりながら飛び跳ね続けるという、なんともカオティックな大団円となった。*澤田
19:10~
■GOGOL BORDELLO @ BEACH STAGE


(c)SUMMER SONIC 09 All Rights Reserved
1日目に続いて再び集中豪雨にやられ、30分押しでスタートしたゴーゴル・ボルデロのライヴ。同じステージでひとつ前にやっていたウォーのゆるゆるグルーヴとは対象的に、〈狂騒〉の一言が似合う大お祭り大会となった。〈BEACH STAGE〉史上最高と言っても差し支えないほどお客さんがびっしり埋まり、客席の中ごろに設置されたPAブースの後ろにいた人までが円陣を組んで飛び跳ねまくる。昨年の〈フジロック〉出演時も床が揺れるほど盛り上がったが、今回はそれ以上。休憩所で休んでいた人も、果てはドリンク・バーのお姉さんまで踊らせていた。〈運〉〈康〉〈生〉と漢字で書かれたアコギを掻きむしるように弾き、アジりまくるユージン・ハッツ。言葉の壁も関係なく、どの現場でもタフに熱狂の渦を作り出してきた彼らは、ジプシー・パンクの称号がまさに相応しい。マドンナが惚れ込んだのも納得。手拍子&モッシュ&スクリームが全曲で起こり、3日間でもっとも汗をかかされてしまった。観終わってから、〈去年も観てるし、途中でフレーミング・リップスに行こう〉なんて考えていたのを思い出したのですが、こっちを最後まで観て大正解。ラストに相応しい宴でありました。*ヤング
20:05~
■THE FLAMING LIPS @ SONIC STAGE

ステージ後方に据えられたモニターには、サーモグラフィーのような映像処理を施された女性の姿が映し出され、やがてその局部にズーム・イン。するとモニターの中央が突如パカッと開き、なかからバンド・メンバーが登場! バカバカしくも生命の神秘を称えた演出に大歓声を上げるオーディエンスの頭上を、ヴォーカルのウェイン・コインは巨大バルーンに入ったままフワフワと運ばれ、メンバーは壮大なアンサンブルを奏で出す。そして一撃必殺の名曲“Race For The Prize”のイントロが轟き、無数の風船が飛び交い、紙吹雪とテープが舞い、さまざまな着ぐるみ姿のダンサーがステージ上を飛び跳ね……。感動するより先に涙腺が決壊しちゃうような彼らのライヴの冒頭は「とにかく体感して欲しい!」と言うしかないほどとんでもない。その光景が凄まじすぎて、正直なところ、その後の記憶は吹っ飛びがちなんだが(すいません)、とにかくフレーミング・リップスは終始、過剰にハッピーでサイケデリックな音世界を繰り広げてくれた。“Yeah Yeah Yeah Song”での圧倒的な盛り上がりや、ウェインがフォーキーに弾き語った“Yoshimi Battles The Pink Robots”も忘れ難い。そしてフィナーレを飾ったのは“Do You Realize?”。あの時の絶頂感が永遠に続くような感覚は、いまも胸に焼き付いている。*澤田
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介