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第40回 ─ CALYPSO

第40回 ─ CALYPSO(3)

連載
Di(s)ctionary
公開
2009/08/12   18:00
更新
2009/08/12   19:08
ソース
『bounce』 312号(2009/7/25)
テキスト
文/ワダ マコト

II それでは実際に聴いてみよう! (その2)

LORD KICHENER 『Klassic Kitchener Volume Three』 Ice
マイティ・スパロウの先輩格、ロード・キチナーの70年代ベスト。バンドも絶好調で、スティールパンを加えた大所帯での演奏が味わえます。疾走感溢れるダンス曲でのパンチ力、メロウ曲での不器用な優しさ、共に文句なし。アーリー・ソカの古典としても重要です。

VARIOUS ARTISTS 『London Is The Place For Me -Trinidadian Calypso In London 1950-1956』 Honest Jons
ロンドンに渡ったキチナーの重要録音であるタイトル曲をはじめ、50年代にUKで作られたカリプソ集。メロディスク所蔵の名曲群は、地元ジャズメンも含み、カリプソにおけるバンド編成を一歩前進させました。

MIGHTY SPARROW 『Hot & Sweet』 Warner Bros./Wounded Bird(1974)
当時のカリプソ再評価に乗って、往年の名曲を蘇らせた歴史的傑作。ヴァン・ダイク・パークスの愛情溢れるプロデュースも効いたUS録音です。自身のバンド=トルバドールズの勢いある名演を背に、脂の乗りまくった歌声を聴かせてくれます。

CALYPSO ROSE 『Calypso Rose』 Maturity/Pヴァイン(2009)
女性歌手として初めてロード・マーチ(毎年行われるカーニヴァルでもっとも人気を集めたアーティスト)に輝いたカリプソの女王。68歳にして、この力漲る歌声は何でしょう。カリプソもスカもアフリカ音楽も呑み込んだ、温かくてダイナミックな一枚。

ANDY NARELL & RELATOR 『University Of Calypso』 Heads Up(2009)
〈カリプソ版ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ〉ともいえる映画「Calypso @ Dirty Jim's」で大役を任されたロード・リレイターの最新作。スティールパンの名手と共に、オーセンティックなカリプソへの愛情がたっぷり。エスプリの効いた味わいが絶妙です。

Wada Mambo 『home made~monaural delux~』 basis(2007)
手前味噌ながら私の作品です。カリプソ、アフリカ音楽、ラテンなど、ルーツ・ミュージックへの愛情をギターで紡いだ超ローファイ宅録音源10曲。カセットMTRで完全モノラル録音です。細々とロングセラー中。ヴィンテージ・カリプソの合間にどうぞ。