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第3回 ─ 〈フジロック〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!

第3回 ─ 〈フジロック〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!(3)

連載
オレらの夏フェス 予習・復習帳 '09
公開
2009/08/05   18:00
テキスト
文/荒木美名、加藤直子、土田真弓、ヤング係長

7月26日(日)

16:00~
■サニーデイ・サービス @ FIELD OF HEAVEN

 「雨降ってきちゃったけど、サニーデイ・サービスです」。そんな曽我部の言葉どおり、ライヴ前に突然振り出した雨。一斉にカッパを着込む客の光景ももう見慣れたもので、自分もカッパを羽織りステージ前方へと向かう。現在は3人のみの〈エコ体制〉で稼動しているとのことで、音の作りが往時とはガラッと変わっていたのが新鮮だった。音数の少なさを補うためであろうディストーションを効かせたギターと、ほぼ全曲で入る田中のコーラス。いまの曽我部の衝動モードと、メロウでウェルメイドな楽曲の融合は、当時とはもちろん違うしソカバンのあり方とも違う。“スロウライダー”のような、上モノが多い曲になるとやや物足りなさを感じたが、グランジ化したニール・ヤングが乗り移った“ここで逢いましょう”の長いギター・ソロには昔観たライヴがフラッシュバックしてしまった。復活に感激する感傷的なムードではなく、ハッピーな雰囲気が会場に漂っていたのも好印象。2曲披露された新曲のうち、“ふたつのハート(表記わからず)”は、シャッフルの2ビート曲。曽我部のセカンド収録曲“瞬間と永遠”をサニーデイ・フォーマットに直したような……と言えばわかるだろうか。ともかく当日アナウンスされた新作が早く聴きたい!とあの場所にいた誰もが思ったはず。*ヤング

17:30~
■BRAHMAN @ GREEN STAGE

 かねてから評判は耳にしていたものの、今回初めて体験することとなったBRAHMANのライヴ。オープニングSEが鳴り響くなり、合掌した両手を天高く突き上げるオーディエンスたち。ゆったりとした足取りでステージに現れたTOSHI-LOWは、センターまで歩みを進めるとストン、とそこから降り、ファンの群れに半身を沈ませて1曲目“PLACEBO”を力強く伸びやかに歌い上げる。2曲目以降はほぼ全編に渡って爆裂ナンバーの連続、ダイヴァー続出、モッシュも発生! メンバー4人は〈まさに縦横無尽!〉ってな具合に見事な暴れっぷりなのだが、何が凄いってそれでも演奏がまったく乱れないこと。そして、全身から汗を噴き出し、体の奥底から声を押し出すTOSHI-LOWの、一瞬も枯らすことのない歌唱にはただただ圧倒されるばかり。実は“PLACEBO”の最中、ふと感極まった表情を見せていた彼。MCなどなくたって、狂気さえも滲み出るようなこのパフォーマンスを目の当たりにすると、内に秘めた思いも痛いくらいに伝わってくるよう。金縛りに遭ったみたいにその場から動けなくなった1時間。〈フジロック〉という特別な舞台で確認した〈BRAHMANのライヴは凄い!〉という噂は間違いなく本物。観ておいてよかったぜ! *荒木

17:10~
■CLAP YOUR HANDS SAY YEAH! @ WHITE STAGE

 「大きくなったなぁ~」。なんて、知り合いのおじさんみたいな感想をつい口にしてしまった。客席後ろの通路半分までびっしり埋まったステージを前に、実に堂々としたステージングを見せたクラップに、同じような印象を抱いた人は少なくないはず。ヴォーカル、アレックスの神経質そうな佇まいは、いつの間にか貫禄すら帯びて見えたし、バンドもそれに合わせて演奏力が上がっているのがわかる。ヘロヘロが持ち味のバンドが上手くなっていいのか?なんて天邪鬼な気持ちもあったのだが、エンターテイメントとしての完成度の高さを前にそんな質問は無用。時折荒っぽくシャウトするアレックスの姿に、ボブ・ディランの姿が重なって見えてきたほどだった。きっと大きな会場で場数を踏んだ結果なのだろう。“In This Home On Ice”“Heavy Metal”といったファーストの曲もさることながら、新曲でもバッチリ盛り上げてくれました。*ヤング

19:20~
■FALL OUT BOY @ GREEN STAGE


Photo by Yasuyuki Kasagi

  朝からコブラ・スターシップ、ジミー・イート・ワールドとFOBファミリー的なバンドが続いた3日目、ついに真打ち登場。本国では黄色い声援にまみれる、いわばアイドル的な人気を得ているわけだが、流石に〈フジロック〉はアウェイかな……と思いきや、いやいや前方にはやはり女の子がいっぱい。冒頭の“Thriller”からシンガロングだ。最近ますます逞しさを増す彼らのステージだが、演奏の重量感やアンサンブルのタイトさには貫禄すら漂わせる。1曲ごとにMCを挿んでいたピート・ウェンツも〈カメラ持ってる人は俺らの写真撮ってもいいよ!〉と撮影タイムを設けるなど、スターの余裕(!?)を見せつけた。“I Don't Care”をはじめ最新作からの楽曲を中心としたセットリストで、口ずさまずにはいられないメロディーを伴ったドラマティックなナンバーを次々と繰り出す。ちょっと痩せたパトリック・スタンプのノドも絶好調だ。ラスト“Saturday”ではピートがベースを放り出し、中央のマイクで猛烈シャウト! 客席にも飛び込むと、やはり黄色い歓声を一身に集めていた。本来の彼らのパフォーマンスからすると若干淡々としていたかな?という印象だけど、やっぱりパトリックがカワイイので良し!というのはダメ? *加藤

20:00~
■THE DISCO BISCUITS @ FIELD OF HEAVEN

 〈まったく知らないんだけど、観たらよかった〉――ステージ間をブラブラしている人のなかには、そういう出会いを求めながらも、素敵なサムシングにはそうそうめぐり合えないことにちょっとさみしい思いを抱いている人も多いのではないでしょうか。自分もその一人なんですが、ありましたよ今年は! 渋さ知らズに詰め掛けた大量のお客さんから逃げるように〈ORANGE COURT〉を脱出し、〈FIELD OF HEAVEN〉でボーッと座ってたら始まったディスコ・ビスケッツがそれ。「スペイシーなジャム・バンドの演奏が始まったな。お客さん入ってないな」くらいの距離感で観ていたら、徐々にBPMが速くなり、どんどんステージ前の熱気が高まっていくのがわかる。「アレ? なにこれ?」と、戸惑いながらも磁力でひきつけられるようにどんどん前に足が動き、気付いたら踊らされておりました。ストーナーとマニュエル・ゲッチングとエレクトロニカとハウスが4畳半で融合したような、チープなんだけど快楽原則の元素を詰め込んだ音楽性はジャンクにして中毒性高し! 〈わかってる〉ファンが事前に用意した蛍光ライトやビーチボールといった演出にも昂揚させられました。*ヤング

20:30~
■ANIMAL COLLECTIVE @ WHITE STAGE

精霊を祀る儀式のような(見たことはないのであくまでイメージ)トライバルな歌声が夜の山中に木霊すると、〈WHITE STAGE〉を埋め尽くした大観衆は一斉に黙り込んだ。風で揺れるウインドベルのような、薄いガラスが砕ける音のような――繊細な音のレイヤーがノンビートのなかでループされ、いつの間にか音の洪水となってステージ下へと押し寄せてくる。その流れに身を任せて10分以上経過。頭が真っ白になってきた頃にようやくイーヴン・キックのリズムが彼方から近付いてきて……そのまま滑らかに“Summertime Clothes”へ移行。時々発されるシャウトに反応して歓声が上がるが、それも一瞬のことで、観客たちはふたたび半覚醒状態へと沈んでいく。中盤あたりで繰り出された“My Girls”では高音域をキープするシンセのアルペジオと祝祭的に飛び交う歌声がどんどん昂揚感を増していき、振り切れる!……と思った瞬間に収束するという寸止めのリフレインで観客を翻弄。プレイはじわじわと熱を帯び、やがてクライマックスへ。後半は一転して肉体的なリズムの乱打。思考力を奪い取られたままひたすら踊っていると、ラストに投入されたのは最新作と同じく“Brother Sport”。声も音の一部として取り込まれ、ひたすらミニマルにアゲていく3人の手捌きにこらえきれず、会場からは奇声やら嬌声やらが沸き上がる。スピリチュアルな空気に包まれた〈WHITE STAGE〉は最終的にほぼテクノ・イヴェントのような様相を呈し、それもパンダ・ベアの「アリガト」というひと言であっけなく終了。異空間にふと迷い込んで知らぬ間に帰還したかのような、圧巻のステージングだった。*土田

21:30~
■SEUN KUTI & EGYPT 80 @ ORANGE COURT

個人的ハイライトはまさにコレ。99年に兄のフェミ・クティが出演しているが、今回ここで〈燃える男〉の遺伝子を受け継ぐ人のステージが観られるとは! 2日目のお昼に演った〈GREEN STAGE〉での最終曲を観て相当熱いことを予感したが、2ステージ目となる最終日〈ORANGE COURT〉の大トリは熱いどころじゃなかった。オープニングはエジプト80のバリトン・サックス担当がMCを務め、肩慣らしにシェウン不在のまま“Don't Give That Shit To Me”(だったと思う)を一発(この時点で、知らない人はこのMCがシェウンだと思っていたかも)。そしてようやく主役が爽やかに登場すると、それまでの倍の歓声が起こる。彼が魂の叫びのように〈アフリカの誇り〉を歌い、汗を飛び散らしながら独特のくねくねダンスで魅せ、たぎるようなエジプト80の演奏は迫力たっぷりだ。とにかく足はステップを踏みっぱなしだから、ちょっとしたフィットネスなんちゃら。さらに“Na Oil”のコール&レスポンス(それは何語!?という疑問も)で、すっかり気分はアフリカの地へトリップ――要所要所で頭のてっぺんからパカッと何かが解放されるような感覚、それはこのアクトだからこそ味わえた貴重な瞬間だった。*加藤

22:20~
■ROYKSOPP @ WHITE STAGE

  シンセとドラムパッドが据えられたステージの背後には、巨大なラジカセのセットが……これから体験できるであろう、めくるめくファンタジー・ワールド(妄想)に思いを馳せていると、サポート・ベーシストと共に〈WHITE STAGE〉の大トリを務める2人がにこやかに現れた。オープニングは“Royksopp Forever”。メランコリックなベースラインの上に壮麗なシンセが幾重にも折り重なり、ステージを取り囲む暗黒の森を神秘的な空気が包み込んでいく。サイレンの音を合図に突入した“You Don't Have A Clue”では女性ヴォーカルが登場し、たおやかなソプラノ・ヴォイスを空中に解放。うっとり聴き惚れていると、「ドウモアリガト! Thank You So Much!! (なぜか急にダミ声&早口になって)ホントニハイ、アリガトウゴザイマス!!」と、せっかく築き上げた世界観を若干ぶち壊し気味にトルビョルンの挨拶が。王子様みたいなルックスに似合わず、ハイテンションで「ハイハイハイ!」と連発する彼に対してスヴェインは謎の衣装替えを繰り広げ(こちらを参照)、しまいには赤と黒のボディースーツにフルフェイスのヘルメットという完全に悪の手先と戦いそうな出で立ちでポージング。ドリーミーなエレクトリック・エンターテイメントに合ってるんだかどうか判別不明のキャラ作りに、彼らのキュートな人間味が反映されている(たぶん)。

  後半では女性ヴォーカルが(おそらく)フクロウをモチーフにした仮面とマントを身に付けてステージ上を飛び回り、サウンドをさらにミステリアスに増幅。煌めくビートに身体を揺らしながら誰も彼もが笑顔を浮かべて叫び、歌う様はさながらユートピアのようだ。そのままラストでは“Only This Moment”“Poor Leno”といった鉄板2曲をロボ声で連打し、その後のアンコールではビキビキのロッキン・エレクトロでピークタイムを完璧にコントロールしきったところで本当のフィナーレ。文句なく、今年の個人的ベスト・アクトでありました! *土田

23:40~
■BASEMENT JAXX @ GREEN STAGE

  今年はホントに雨がしんどかったな~とか、それにしても自分のグダグダっぷりには呆れるぜ!とか、ベースメント・ジャックスの登場を待ちながらそんなことを考えていたのですが、いよいよスタートした〈GREEN STAGE〉最後のパフォーマンスはあまりにハイテンションで、反省会モードもどこへやら! 豪華なバンド・セットでヴォリュームはマックス、グラマラスな女性ヴォーカルたちの素晴らしい歌声にウットリ、体にズンズン迫ってくるビートに昇天! もうどうにでもなれ~!的なパーティー・ムードが全開だ!

  キラー・チューン“Where's Your Head At”で最高潮を迎えると、挙句の果てにはカーニヴァルに出てきそうなザリガニ&足長のコスチュームに身を包んだ方まで登場して、もはやすっかりエンターテイメント・ショウと化していました。個人的にはトランペット1本で奏でられたホワイト・ストライプス“Seven Nation Army”のイントロにアガりつつ、まだこんなに踊れる体力があったのか!なんてことにビックリ。今年の〈悔い〉をすべてこの場で消化&昇華させていただきました。昨年のエイジアン・ダブ・ファウンデーションに続き、最高のクロージング・アクトでした! *荒木

23:50~
■neco眠る @ 苗場食堂

 始まる前からどんどん人が集まりだし、最終的には苗場食堂の周りに1,000人以上(目測)もの人だかりができる状況を見て、業界的に言うところの〈キテる〉感じを漂わせていたneco眠る。朴訥とした風貌のメンバーに混じって異物感をバリバリに放つベーシスト、伊藤コーポレーション(株)が上半身裸&金の極太ネックレス姿で登場し、ライヴはスタートした。定番になっている1曲目“UMMA”のイントロでいきなりピークタイムを迎えたかのような声援&怒号が飛び交い、ラストのズンドコ4つ打ち“ENGAWA DE DANCEHALL”までノンストップでモッシュの嵐状態に。三三七拍子やら阿波踊りやら、フリ付きで客を煽る伊藤と、ハイテンションでそれに応える観客。楽しくてしょうがない、そんな声がどこから漏れてもおかしくないほど会場は笑顔で埋め尽くされていた。鳴り止まないアンコールの声に応えて登場し、「持ち曲が少ないんで……」と“ENGAWA DE DANCEHALL”を高速ヴァージョンで再度披露して宴は終焉。いつの日か「2009年の苗場食堂はヤバかったよね~」なんて語り草になってもおかしくない内容でありました。*ヤング

02:30~
■RAFVEN @ CRYSTAL PALACE TENT

 今年の〈フジロック〉最多ステージ数をこなしたのがこのスウェーデンのジプシー・パンク・バンド。前夜祭から〈木道亭〉や〈苗場食堂〉〈Gypsy Avalon〉などなど、時に神出鬼没的に8人の男たちが現場を盛り上げてきたわけだ。そして苗場における最後のパフォーマンスとなった最終日の〈CRYSTAL PALACE TENT〉(キャバレー風のステージもバンドのカラーにベスト・マッチ!)は、観客の集まり具合からいってもまさにそれまでの集大成のような内容だったのではないか。初っ端からクレズマーな高速チューンで専制パンチをお見舞いすると、さっそく興奮は頂点へ。ヴァイオリン、アコーディオン、ギター、サックス、トロンボーンといったフロント勢が右へ左へと動き回って煽る煽る! たまに聴かせる歌も、パブに入り浸ってるオッサンが歌い出したら物凄く上手かった、みたいな痛快さが魅力だ。滲み出る底抜けに〈陽〉なヴァイブ、その一方でそこはかとなく漂わせる哀愁も味で、親しみやすさ抜群。本編終了後は酔いどれ風なバンドのスタッフ、ジェイソンがいきなり登場し、後ろのアクトも考えず2回もアンコールを(勝手&強引に)促してくれるなど、行き当たりばったり(!?)なノリもまた最高だった! *加藤

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介

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