7月25日(土)
14:40~
■ELI“PAPER BOY”REED & THE TRUE LOVES @ ORANGE COURT
だから観なきゃダメって言ったじゃ~ん!(予習編参照)と終了後に心のなかで叫んでしまうほど、もっとたくさんの人に観てほしかった! だってスピーカーからでしか聴いたことがない、錚々たる60'sのソウルマンにも引けを取らない最上級ヴォイスを生で聴けちゃったんだもの。バック・バンドのトゥルー・ラヴズの招きによって、思っていた以上に貫禄のあるイーライくんが颯爽と登場。タンタンタンタンという初っ端のドラムですでにカッコ良さ全開な“Stake Your Claim”の第一声でさっそく鳥肌が……。3人のホーン隊ももの凄い存在感だし、主役を引き立てるだけでなく、ステージ上の全員がそれぞれに旨味をしっかり見せているのが実にニクイわけで。〈I've been loving you~〉なんてオーティス・レディングかよ!な甘いバラード“It's Easier”ではフニャフニャにさせられ、“The Satisfier”ではサクッとシャープなファンクネスに魅せられたりと、〈ソウルフル〉とはこういう人に使うべき言葉さ!という濃厚なナンバーを畳み掛けていく。特に最後の力を振り絞るようにJBばりのシャウトを聴かせまくるラスト“(Doin' The)Boom Boom”は本当に最高だった! *加藤
15:10~
■筋肉少女帯 @ WHITE STAGE
まず目を引いたのが、ギターの橘高のマイケル・シェンカー譲りの白黒反転全身スーツ姿&マーシャル・アンプ10台がズラっと並んだステージ・セット。前時代的すぎる……けど、否定する気はまったくない。この日の筋少は、とにかくエンターテイメントに徹した内容だった。大槻の「苗プリのトイレでSPにノックされ、返答に困って〈In My House〉」と答えたといったMCでドッカンドッカン笑いを取りながら、“踊るダメ人間”“日本印度化計画”“元祖高木ブー伝説”といったヒット曲(?)ではアウェイであることを逆手にコール&レスポンスしまくる。刺繍入りロングジャケットを着込んだ往年の熱血ファンはもちろん、彼らをまったく知らない若者も完全にロックするほどステージ運びがとにかく上手い。高速ツーバス連打でグラインド化する瞬間も何度か見られ、彼らのメタル魂がズレずにいまに至ることを思い知らされたりもして。最後は橘高がマーシャル2台を蹴り落として終了。笑えて上手いんだから〈WHITE STAGE〉通路の半分までびっしり集客したのも納得です。*ヤング
18:10~
■ZAZEN BOYS @ WHITE STAGE
たくさん来場していた外国の人たちもぜひ観てくれたらな、と思える日本人バンド代表だったりする。そんな勝手な期待に間違いなく応えてくれた凄まじいステージだった。〈2週間くらいガマンした下のほうから湧き出る性的衝動〉とその場でイメージを決めたお馴染みの〈MATSURI SESSION〉からスタート! 向井秀徳指揮による緊張感たっぷりのプレイでグッと手に汗握り、続く“COLD BEAT”ではマス・ロック並みの変拍子にクラクラ、また“RIFF MAN”の詩吟風に発せられる〈昇り龍~〉には外国の方々もビックリだっただろう。そして〈本能寺で待ってる!〉のリフレインが鬼気迫る“Honnnoji”の呪術的なサウンドにヤラれた後は、苗場が都会の空気に包まれる。80'sを意識してか(!?)オレンジ縁サングラスでメガネonメガネも見せた“Weekend”、焼酎〈ビッグマン〉のペットボトルを利用した手作りマラカスが大活躍する“Asobi”とアーバンな最新ナンバーを繰り出すのだ。イビツという形容以外はない楽曲、しかしその完璧なまでの整合性はライヴでより驚かされる。そんな凄いことやっているのに、ちょいちょいチャルメラのフレーズを織り込んでくる向井の飄々としたユルさに、やはり惚れてしまうのよね。*加藤
19:10~
■忌野清志郎 スペシャル・メッセージ・オーケストラ NICE MIDDLE with New Blue Day Horns @ GREEN STAGE
今年、入場ゲートですべてのフジロッカーを迎えてくれたのが、巨大なバルーン人形と化した清志郎さんデザインのキャラクター〈一旗ウサギ〉。そして誰もが胸を高鳴らせながら臨んだこのステージには、間違いなく清志郎さん本人が〈凱旋〉していました! 元気いっぱいに“JUMP”を歌う彼がスクリーンに映し出されると、オーディエンスは大きな大きな歓声で応え、みんな一緒にジャ~ンプ! それが2005年の〈フジロック〉での映像だとは到底思えないほどNICE MIDDLE with New Blue Day Hornsとの息もピッタリで、いままさにこのステージで歌っているかのよう! そして、彼が愛してやまないブッカーTやスティーヴ・クロッパー、盟友の泉谷しげるやCHABOをはじめ、Char、浜崎貴司、YO-KING、UA、トータス松本、ヒロト&マーシー、Layona、Charaの歌はみな清志郎さんのロック魂と同じくらいの熱さを放ち、じんわりと心を温めてくれました。ラストは“雨あがりの夜空に”を全員で大合唱! すると、泣いてばかりいた苗場の空がすっかりそれを止め、翌日には晴れやかな表情を見せたことを付け加えて、最後にもう一度、清志郎さんに感謝の言葉を。清志郎さん、本当に、本当に、ありがとう!! *荒木
19:40~
■BAD BRAINS @ WHITE STAGE
真裏でやっていた清志郎オーケストラを諦めてでも観たかった。だってオリジナル・メンバーで来るという〈事件〉なんだから。開演直前まで〈やっぱり来ませんでした!〉とかないよね?という不安もあったが、ラスタ・カラーのジャージの上にグレーのジャケット&スラックスという人並み外れたファッションでH.R.は(もちろん他のメンバーも)現れた。まずはその姿を見て、生きてて良かった~(もちろん自分が)!と感動。まだ出てきただけなのに前方ではモッシュが起きるなか、始まったのは“Attitude”! 演奏は失礼ながら予想以上に巧いし、キレッキレ。H.R.はかつての振り乱し系は卒業し、ほぼ直立不動で腕をフンフンと控えめに振ったりしてゆったりと歌っている。“Right Brigade”など初期のナンバーのインパクトはもちろんだけど、“Give Thanks And Praises”など新しめな楽曲のソリッド感はなかでも抜群だったように思う。そしてこれがないと本当にBBを観た気がしないと思っていた“Pay To Cum”もバッチリやってくれた! H.R.は曲が終わるごとに手を合わせてお辞儀をし、メンバー全員が終始にこやか。そんな様子にアレ!?と拍子抜けした人もいただろう。けど私はそれで良かったと思う。*加藤
21:30~
■FRANZ FERDINAND @ GREEN STAGE
Photo by Yasuyuki Kasagi
今日の〈GREEN STAGE〉はこれでおしまい?なんて錯覚してしまうくらい大盛況だった清志郎さんのステージ。いやいや、トリを務めたのはフランツ・フェルディナンドですよ! というわけで、黒シャツの襟をビシッと立て、チェックのパンツでクールにキメたアレックスを筆頭に颯爽と現れた彼らは、“Do You Want To”と〈アメヤンダ~!〉のひと言でいきなりオーディエンスのハートをキャッチ! 最新作『Tonight』の収録曲を中心に、“The Dark Of The Matinee”や“Take Me Out”などのファースト・アルバム『Franz Ferdinand』からの楽曲もガンガン投下! 随所でセクシーな視線を放つアレックス、ステージ上を駆け回ったりアンプの上に乗っかったりとハシャギまくりのメンバーたちが〈GREEN STAGE〉一帯を巨大なダンスフロアに変えてしまったことは想像に難くないでしょう。本編ラストではわらわらとドラム・セットに集まり、4人それぞれがひたすら各パーツを叩くという謎の光景も。その姿から妙な迫力が漂ってきて、〈踊れるロック〉なフランツとはまた違った一面を見た気がしました。意外にインストなんかもイケんじゃないの!? *荒木
23:30~
■吾妻光良トリオ+1 @ CRISTAL PALACE TENT
〈GREEN STAGE〉でフランツ・フェルディナンドを観終わった後、急いで向かった〈THE PALACE OF WONDER〉。辿り着いたらなんと入場規制中! 〈ROOKIE A GO-GO〉の観覧エリアにまで届く勢いの長~い列に並び、ようやく突入した〈CRYSTAL PALACE TENT〉内もスシ詰め状態! 吾妻さんの御姿は頭と頭の間でチラチラとしか確認できなかったので、音に身を委ねることに専念しました。ユル~く紡がれるメロウ・チューンから、思わずステップを踏みたくなるスウィンギンなナンバーまで、心地良い温度で心と体を温めてくれます。年季の入った吾妻さんの歌声、爆笑を誘うコミカルな歌詞もやっぱり最高! しかもさすがはブルース・ギターの名手、ギター・ヒーローばり(!?)のテクニカルなソロまで聴かせてくれちゃって! ラストではLeyonaが登場し、ナット・キング・コールの“Love”をカヴァー。こちらも実に芳醇でございました。吾妻さんの小気味良いMCを聴き取れなかったのが心残りですが、ハァ~と幸せな溜め息が漏れてしまう、とっても素敵なステージでした。*荒木
00:15~
■80kidz @ RED MARQUEE
〈なんじゃこりゃ!?〉的な人の溢れ具合に驚愕した深夜の〈RED MARQUEE〉。フェイク・ブラッドからバトンを渡されて〈TRIBAL CIRCUS〉の2番手として走り出したのは80kidzだ。予想を上回る盛況ぶりに度肝を抜かれながら無理矢理会場に突入すると、途端にファースト・アルバム『THIS IS MY SHIT』の冒頭を飾った“intro”のド派手なシンセ音が轟いて、場内の熱気は一気に急騰! 内臓をブルブルと震わせるファットなビートとメロディアスに暴れ回るノイズはほぼ音源どおり。だけど、ただでさえギラギラしたロッキン・エレクトロを生のギターとベースを擁するバンド・セットで、しかもノンストップで畳み掛けられたとあっちゃあ、命がいくつあっても足りないよ……。後半の“Frankie”では後のタイムテーブルに控えているシューズの2人も呼び込まれ、ステージ上を軽快に歩き回りながら観客とシャウト&シンガロング。あまりにも楽しすぎて、笑い死にしそうな昂揚感にまみれながらあっという間に経過した45分だった。最初から最後まで怒号が上がりっぱなしのライヴも久しぶりだった気がする。*土田
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介