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第3回 ─ 〈フジロック〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!

連載
オレらの夏フェス 予習・復習帳 '09
公開
2009/08/05   18:00
テキスト
文/荒木美名、加藤直子、土田真弓、ヤング係長

先週お届けした総括対談に続き、編集部が注目したアクトのステージングを詳細にレポートいたします!

7月24日(金)

15:50~
■LILY ALLEN @ GREEN STAGE

黒×ブルーのワンピースと超厚底のハイヒール、水色のラメで目の周りをぐるりと縁取ったアヴァンギャルドなパンダメイク――と、キュートすぎる出で立ちで登場したリリー嬢(加えて、最初は紙製のお面を頭に装着していた。誰のお面かは残念ながら不明)。ギター、ドラム、ベース、キーボードという編成のバンドを従えたステージは、“Everyone's At It”の仰々しいシンセ音で華々しく幕を開けた。髪の毛をクシャクシャにかきむしったり、「カモン! フジ!!」と観客を煽ったり、ピンクのカオスパッドでスペイシーな電子音を撒き散らしたりしながら舞台上を練り歩く彼女は、とてつもなくラヴリー! 「可愛い~!」という歓声がひっきりなしに上がる。この日は最新作の楽曲を中心に、カラフルなエレ・ポップをシンセ中心のバンド・サウンドに置き換えた内容だったが、煙草を燻らせながらステージに腰かけて“Littelest Things”をしっとりと披露したり、BPMを上げた曲間にエレクトロなノイズを挿入するなど、随所に魅せどころもしっかりと用意。ラスト間際の“F**k You”では夢見心地な表情を浮かべた大群衆がまんま〈F**k You!〉と大合唱し、一斉にステージに向かって中指を立てるといった異常事態(!?)も発生! こんな現象を引き起こすことができるのは、彼女ぐらいのもんでしょう。*土田

17:40~
■ハナレグミ @ WHITE STAGE

 この人が歌いはじめると、天気の悪さも他のステージから聴こえてくる音も気の利いた調味料となって居心地の良い気分にさせてくれるから不思議だ。一新されたバンド・メンバーと共に動物をあしらった(ちょっとカワイイ)ド派手な衣装で登場すると、“あいのわ”でスタート。生命力と包容力に満ちたこのナンバーに引き寄せられ、気付けば〈WHITE STAGE〉には溢れんばかりの人が集まった。立て続けに“音タイム”“家族の風景”と真骨頂を見せると、場内はすっかりしっとり酔いしれムードに。そんな空気を感じ取ってか〈心がむせび泣いてしまいました〉というMCで和ませると、続く“あいまいにあまい愛のまにまに”では打って変わってパーティー・タイム! 後半のニューオーリンズ・ファンクを思わせる陽気な掛け合いパートに入るとゲストにBOSEが登場だ。観客を煽りまくって〈今夜はブギー・バック〉もかますと、ここはやはり“PEACE TREE”! AFRAは不在だったものの、イイ感じのハイライトになっていた。そしてトドメのラスト2曲、弾き語りでの“光と影”“あいのこども”ではさらに深くハナレグミの世界へ――もう良すぎるよ~!と初日から胸いっぱいの感動をもらってしまった。*加藤

18:30~
■TORTOISE @ FIELD OF HEAVEN

 やたらに歪ませたベースと、つんのめった爆音ドラムのせいか、肉体感のある演奏に聴こえたこの日のトータス。まるでファンク・バンドのようにマッシヴな構成で観客を踊らせまくりの序盤から、徐々にトーンを抑えた中盤以降は、ヴィブラフォン&シロフォンを軸にしたミニマルな楽曲を多数披露。曲によって担当楽器を変えながら、淡々と繰り返されるハンマー・ビートに身をゆだねていると、彼らの楽曲に明確なカタルシスがいらない理由がなんとなくわかってくる。長い尺で聴いた時にのみ味わえる快楽が、じわじわと身体に満ちていくのだ。はっきり言うと演奏は上手くはない。でも、そこは彼らも重要視していないのだろう。曲ごとにメンバーがころころと楽器を持ち替え、音のグラデーションをどう変化させていくかに心血を注いでいる様子に、バンドのコンセプトがはっきりと表れていたように思う。アンコールでは、ブラック・サバス“War Pigs”のインスト・カヴァーを披露。ギター・チョーキングの快楽を集約したようなハード・ロックの代表曲を、チョーキング抜きで黙々と演奏する姿に、彼らの批評性が健在であることを改めて感じさせられた。*ヤング

19:10~
■GONG @ ORANGE COURT

ライヴは未見だったため(あたりまえか)、半分怖いもの見たさという意識で参戦したゴング。山の最奥にある〈ORANGE COURT〉は泥土の海と化していて、足を踏み入れるには相当の勇気が必要……であるからして、集まった観客たちのゴング愛はもれなく本物。スティーヴ・ヒレッジをはじめとしたメンバーに少々遅れてトンガリ帽子やら(以下略)でキメたデヴィッド・アレンが姿を現した瞬間の大歓声といったら! まろやかに転がるローズ(たぶん)の響きをよそに刻々と変形し続けるギター・フレーズ、メロディアスに歌いまくるサックスの音色……初っ端はいきなり新曲の“Escape Control Delete”だ。続く“You Can't Kill Me”ではデヴィッドのパートナーであるジリが登場し、呪文を唱える魔女のような謎めいた声音を空間いっぱいに浮遊させる。ファンキーなリズムがいつの間にか煙るようなエコーに取り巻かれ、ハード・ロックばりにマッチョに刻まれていたギター・リフが空中にじわじわと溶け出し、ヴァリエーション豊かな宇宙的シンセ音が壮大に飛び交い……すべての音がぐるぐると混ざり合って、不定形のグルーヴを巻き起こしていく。背後のスクリーンにはティーポットに乗った異星人(『Flying Teapot』のジャケのアレ)や9月に出る新作のタイトル〈2032〉、細胞分裂を繰り返すド派手な陰陽のシンボルなどをモチーフにしたユーモラスなアニメーションも投影され、視覚的にもサイケ感を演出。そして何より、魔法とか呪いとかを普通にかけられそうなデヴィッド&ジリの一挙手一投足にもう目が釘付けで、メモをもとにこのレポートを書いてはいるが、実際ステージが終了した直後は対談で話した通りに〈いろんなことがよくわからない〉というトランス状態に陥っていた。何とも恐るべきお年寄りたちである。*土田

21:30~
■OASIS @ GREEN STAGE


Photo by Mitch Ikeda

  止んでもすぐにまた降り出す雨、悲惨なまでにぬかるんだ地面と、波乱の幕開けとなった初日。ほとんどの人がもうヘトヘト……だったはずですが、それでも8年ぶりに〈フジロック〉に登場する王者の姿を目に焼き付けようと、35,000人もの観客が〈GREEN STAGE〉に集結しました。定刻どおりに現れたオアシス御一行は、“Fuckin' In The Bushes”“Rock 'N' Roll Star”“Lyla”“The Shock Of The Lightning”と初っ端から人気曲を大盤振る舞い! ご自慢のもみあげをすっかり剃り落としてきたリアムは、タンバリンを口に咥えたり頭に乗せたりと終始ゴキゲンな様子! その後も“My Big Mouth”“Live Forever”“Don't Look Back In Anger”、そしてラストの“I Am The Walrus”まで名曲の数々を連発し、貫禄のステージを展開してくれました。相変わらず雨は降ったり止んだりを繰り返していたけれど、そんなことはもうどうでもいい! この後死ぬほど疲れが襲ってきても、オアシスと一緒に大声で歌えりゃそれでいいんだ!!――そんなエネルギーに満ち溢れた1時間半。終演後、ガラガラになった自分の声に、なんとも言えぬ満足感を覚えたのでした。*荒木

00:30~
■GANG GANG DANCE @ RED MARQUEE

 うむー、これはなんなのか。次々に異才が登場するブルックリンの音楽シーンのなかでもっともフリーキーなユニット(であろう)ギャング・ギャング・ダンスのライヴは、なんだか狐につままれたような体験であった。なにより存在感を放っていたのが、時に〈ギャギャギャギャギャ〉と叫び、時に中近東っぽい不穏なメロディーを歌う女性ヴォーカル。このバンドの、数値で解析できない感覚をもっとも体言していた存在であろう。ダブ~トリップホップ~ドラムンベースを行ったり来たりするようなダウナーで重いビートを体に感じながら、「これはなんなんだろう?」という疑問符がずっと頭から離れなかった。キラキラしたシンセ・フレーズが一変して凶暴化した時の興奮、ビートが細かくなった瞬間の昂揚……場面場面での盛り上がりはもちろんあるが、全体としての印象は、一言で〈謎〉。ゴミ袋のような旗を振りながら退屈そうにステージをうろつく謎の呪術師の存在意義も結局はわからずじまいだった。それなのに、悪い印象はまったくない。うむー、これはなんなんですかね。*ヤング

02:50~
■BURAKA SOM SISTEMA

 ギャング・ギャング・ダンス、ディプロと熱すぎるメンツが登場した初日の〈RED MARQUEE〉にもっともデンジャラスな爪痕を残したのがこの方々(のはず!)。バンド・セットということで音も相当パワフル度を増し、下からズンズン身体に響いてくるクドゥル・ビートの波に踊らされるしかない! “Luanda Lisboa”(だったと思う)から誰も彼もが腰をフリフリさせ、〈ここはどこの国だい!?〉てな具合の強烈なゲットー・ダンス・サウンドに乱舞。出番が終了したディプロはステージ上をヴィデオ・カメラはおろか紙製ギターや水鉄砲を手に暴れ回り、さらにはセットによじ登るというまさかのフルスロットルで観客もヒートアップが止まらず。〈おネエちゃん、おネエちゃん〉と前方のギャルズをお立ち台的にステージへ上げる一幕もありながら宴は佳境へ雪崩れ込む。スタジオ盤ではM.I.A.が参加し、いまや彼らのキラー・アンセム(!?)と化した“Sound Of Kuduro”でピークを迎え、正直もう足腰ヤバイっす、でもメチャ楽しいっす、と心と身体が一致しない状態になったところで大団円。こんな夜中にこんな汗かくか!?と笑いながら清々しい夜明けを迎えたとさ。*加藤

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介

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