1日目
土田「では、そろそろ一人一人の行動を振り返りましょうか。苗場に着いたのは、全員同じ頃ですよね? 14時くらい」
ヤング「そうですね」
土田「1日目は、みなさんどういうルートで観ました?」
加藤「私は、まずハナレグミ。次にトータスをちょっと観て、ゴングはあまりにも地面がぬかるんでいたので諦めて、ロバート・ランドルフを観ました。その後のポール・ウェラーは最後の曲だけ間に合ったんですけど、ジャムの“The Town Called Malice”を聴けたのが嬉しかった。で、ネヴィル・ブラザーズを観に行こうかなあと思って〈GREEN STAGE〉を歩いていたところ、転んでしまったので、帰ろうかどうしようか悩んで。でも、ここで帰ったらもったいなさすぎると思ったので、ネヴィル・ブラザーズを諦めてオアシスを泥まみれで全部観て、ホテルに帰って。で、ディプロの途中で戻ってきて、ブラカ・ソム・システマを全部観たという感じでございます」
荒木「私はいちばん最初にパティ・スミスを観て、ハナレグミを観たかったので18時ぐらいに〈GREEN STAGE〉を出て、ハナレグミはBOSEが出てるところから観はじめて、最後の2曲を聴いて超感動して。涙をグッとこらえつつゴングに行って、全部観てしまったために観ようと思っていたシミアンを観れず、オアシスに直行して全部観て。その後、一回ホテルに戻ってからまたリリー・アレンを観に出かけたんですけど、DJセットで残念でしたっていう……切ない1日目でした」
ヤング「俺は、ちゃんと観たのはトータスからですね。それからロバート・ランドルフを観て、そこからあまり観てない気がするんですよね(笑)。あっ、ギャング・ギャング・ダンスはちゃんと観ました。で、ディプロもしばらく観て。後は〈CRYSTAL PALACE〉の辺りにある10人ぐらいしか入れないクラブに行ったりとか、〈CRYSTAL PALACE〉のなかのDJを観たりとか、隣のバーで毎年恒例になってるFran-keyのDJを聴いたりとか。。それで、5時になったら音が止まったので帰りました」
土田「毎日、音が止まるまでいたんですか?」
ヤング「そうですね」
土田「そこは公約通りだ(笑)。じゃあ私のルートですけど、まず〈GREEN STAGE〉でリリー・アレンを観て、その後はハナレグミを横目に観ながら、清竜人に行きました。それからトータスをちょっと観て、ゴングに移動して全部観ましたね。その後はオアシスを観てたんですけど、終わり間際にHarp On Mouth Sextetに移動して、そこで終わり。ずっと観たかった〈Harp On ~〉をやっと観れたし、満足感でいっぱいのところで終わろうと思って」
加藤「メジャー・レイザー、観たかったなあ。夜のディプロでは、スウィッチもいたからか1曲だけやったんですけどね。あと、ピーチズとかAFRAとか謎のお姉ちゃんとか、いろんな人がステージで踊ってました。その流れで次のブラカではディプロもだいぶ弾けてて、お客さんのギャルたちをステージに上げたりもして、もうパーティーでしたね。すごい盛り上がってた」
土田「ちなみに、1日目でいちばん印象に残ったアクトは何ですか?」
加藤「ブラカ。こんなに楽しくていいのかなって思うぐらい、楽しかったですよ」
荒木「私はオアシスです。雨のなか声が枯れるほど大声で歌って楽しかったです」
ヤング「俺はギャング・ギャング・ダンスが良かったですね。呪術的な感じというか、胡散臭い感じが。ステージでずっと旗を振ったりしてる女の人がいて、英語で紹介されたんで何言ってるかよくわからなかったんですけど、スピリチュアル面をサポートする人らしい(笑)。ヴォーカルの存在感もめちゃくちゃありましたね。叫ぶんですよね、ギャギャギャギャと。このヴォーカルの存在感がバンドの色を決定付けてる感じがしました。観ておいて良かったですね」
土田「自分は、この日で言えばHarp On Mouth Sextet。でもゴングもすごかった。もう衣装がね……(笑)」
荒木「(ヴォーカルが)魔術師みたいな帽子をかぶって出てきましたよね」
土田「トンガリ具合がハンパない帽子で。あと、シルエットとしてはパジャマみたいな柄物の衣装の上に、キラキラのロング・ベストを着てて(笑)。さらに、途中で衣装替えもしたんですけど、そこからのコスチュームもすごくて。全身パール・ホワイトなんですよ(笑)。頭頂部から前方に向かって渦を巻いているかぶりものに、腕や足にフリンジが付いたツナギを着てるんだけど、背中には何故か天使の羽みたいなのが生えてて(笑)。さらに、その羽の先とかベルトのバックルにCD-Rみたいなのが付いていて、チャンピオン・ベルトみたいなことになってるっていう(笑)。雨だったからはっきりしないけど、お香の匂いとかもしてたと思うし……あと、ステージ前方のお客さんの盛り上がり方が強烈だった。泥の海を乗り越えて集まった人たちだけあって、好きっぷりが本物なんですよ(笑)」
加藤「ゴングだと思って来てる人ばっかりだからね(笑)。行き当たりばったりじゃないから」
土田「で、終わった後は、あまりのサイケデリックぶりにいろんなことがよくわからなくなりました」
加藤「彼ら的には大成功じゃん(笑)」
荒木「ポーッとなって、〈ああ、もう他のステージは観れないや〉と思って(笑)」
加藤「ゴング・マジックですね(笑)」
土田「お年寄りたちだから、動きはスローなんだけどね。でも、手元だけはしっかり動いてるっていう(笑)。あと、Harp On Mouth Sextetも良かったですよ。ルビオラさんは基本プログラミングだろうし、何やるのかなあって思ったら、虹色のペンライトを持って、改造ハーモニカ隊をダンサブルに指揮してました」
加藤「メンバーは何人いるんでしたっけ?」
土田「ハーモニカが5人と、パーカッションの人と、ルビオラさんで、この日は7人だったと思う。あれって平安宮廷風なのかわからないけど、笠をかぶって顔を隠してて、いろんなところに笠のつばをガン!とぶつけては、〈はっ!〉ってなってるのがちょっと微笑ましかったです」
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介