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第91回 ─ ROSE

第91回 ─ ROSE(3)

連載
Discographic  
公開
2009/06/24   18:00
更新
2009/06/24   18:01
ソース
『bounce』 311号(2009/6/25)
テキスト
文/一ノ木裕之、宮本英夫、ヤング係長

LANTERN PARADE 『Melodies & Memories』 (2009)
速いペースで数多くの作品を生み続ける清水民尋のソロ・ユニットによる最新ミニ・アルバム。リスナーとすれ違いざまに放つ余白だらけの言葉たち。それが見飽きたものを思わぬところでふと掴まえる鮮やかさは、彼のトレードマークだ。*一ノ木

LANTERN PARADE 『ファンクがファンクであったときから』 (2009)
↑と共に発表したフル・アルバム。そちらに対して、本作は4つ打ち的なビートなどでより猥雑に展開。その音に、みずからを客観視するように表現者としての我が身の在り方もちらつかせ、ラップとも歌ともつかぬヴォーカルで弧を描いた。*一ノ木

豊田道倫 『ギター』 (2009)
パラダイス・ガラージを含めて15年以上のキャリアのなかで、重要な節目ごとに現れる単独弾き語りスタイルの最新作。どんな経済危機よりも身近な愛を失うことのほうが絶望的だという真実を、消え入りそうなギターの爪弾きとぼそぼそとした歌い方で強烈に突き付ける。歌=人生である稀有な人。*宮本

中村ジョー 『Sweet Heat』 (2009)
90年代にザ・ハッピーズのヴォーカルとして登場し、2003年よりソロ活動を開始。この2作目はアコースティック中心のバンドをバックに、独特の翳りを持つブルース・ヴォイスがたっぷり聴ける。テーマは〈恋〉一色で、一瞬にして心が揺れるニュアンスを詩的に描く歌詞も秀逸。*宮本

ワッツーシ・ゾンビ 『ZOMBIE FROM EARTH』 (2009)
ポスト関西ゼロ世代を担うベースレス・トリオの移籍作。滑り出しこそしおらしいが、闇雲&ヤケクソなロケンロールたるグループの本懐が徐々にとぐろを巻く展開に。圧巻はモンモン♀トゥナイトとの“からっぽだから”。間もなくフル・アルバムも完成予定。*一ノ木

神さま 『神さま登場』 (2009)
JUNとELLYの男女ジャンク・オルタナ・デュオによるファースト・アルバム。ドタンバタンと踏み鳴らすドラムに、ありったけの叫びとなけなしのギターを掻き鳴らし、2人のドーパミンは出っぱなし。書き割りの歌詞でなぎ倒す無邪気さの裏に、誰はばかることなくはっきり立てた中指が。*一ノ木