完全無欠のソウルフルな名盤が誕生! ケロ・ワンのブランニューはアノ前作どころじゃないぞ!!

飽和状態にあるジャジー・ヒップホップ……なんてことがよく言われる。確かに一定レヴェル以上の心地良さが約束されている高水準な作品は多いのだが、それが約束どころかある種のお約束になってしまうと、その心地良さが退屈に思えてきたりすることもあろうものだ。しかしながら、そんな不安はこのケロ・ワンには当てはまらない。いや、仮に何らかのお約束があったとしても、クォリティーがここまでズバ抜けていると、その質の高さ自体が十分驚きになりうるのだ。ケロ・ワンが決してハイペースではない歩みのなかで送り出してきた作品はいずれもそういったものだし、このたび登場するセカンド・アルバム『Early Believers』は、聴き手に予想以上のグッド・フィーリングを約束してくれるはずだ。
ケロ・ワンはサンフランシスコ在住のコリアン・アメリカンで、MCであり、DJであり、トラックメイカーであり、レーベルも運営するというDIY的なスタンスで成功を手にしてきた。前作『Windmills Of The Soul』(2005年)の頃はウェブ・デザイナーを〈本業〉にしていた彼だが、その後の活躍で現在は音楽に専念できるようになったという。その帰結として自主レーベルのプラグ・レーベルも活発な動きを見せてきたが、音楽的なヴィジョンの広がりは今回の『Early Believers』に見事に反映されている。まず注目なのは、ジャイルズ・ピーターソン肝煎りのベン・ウェストビーチ、さらには〈フィンランドのスティーヴィー・ワンダー〉と評されたトゥオモという海外のシンガーを迎えている点だろう。特に後者とはアル・グリーン“Love And Happiness”のカヴァーも披露していて、これがまたマッシヴなソウル感に満ち溢れていて素晴らしいのだ。他にもカット・オゥアノやオメガ・ワッツの参加にも注目だろう。そのような外因的なトピックのみならず、ケロ自身の作るビートの振り幅もいっそう多彩になっていて、ボッサ・ブレイクスの“Bossa Soundcheck”、加工ヴォイスと4つ打ちの導入をサラリと行った“Keep Pushin'”など、シンセも効果的に用いたパーティー・チューンの数々は、勝手な〈ジャジー〉というイメージまでも楽しい形であっさり覆してしまうに違いない。何というか……とにかくズバ抜けている。最高だ。
▼『Early Believers』に参加したアーティストの作品。