■DODDODO
ゴス・メイクさえもキュートな関西ブレイクコア界の看板娘、DODDODO嬢。ロックもヒップホップも民族音楽もサンプリングし、摩訶不思議に繋ぎ合わせたトラックに合わせてデス声で歌う(叫ぶ)彼女の姿は、何だか暴れん坊の猫みたいだなぁ、という印象。途中、サンプラーの電源が落ちるというハプニングに見舞われたが、まったく動じることなく「ワン! ツー! ワン、ツー、スリー、フォー! でーんーげーんー、おーちーたー!!」と三歳児クラスのアピールをしてみたりと、微笑ましいほどのマイペースぶりだ。どこか凶暴なムードを漂わせつつ、あくまでもポップかつキャッチーに響くビートに包まれていると、いつの間にか牧歌的な気分に……。このカラフルな音世界は、女子の特権なのではないでしょうか。
■neco眠る
ラストはいよいよ本日の主役、neco眠る。恒例のオープニング曲とも言える“UMMA”の分厚いギター・フレーズが鳴り響いた瞬間、会場からは大喝采が沸き起こる。続く鍵盤ハーモニカのファニーなフレーズに合わせて、観客は思い思いのスタイルで踊り出す。
お囃子ビートに彩られたフロアは、異様にアッパーなお祭り広場に様変わり。ぐるぐる回転しながら踊り狂う観客たちの頭上を、ダイヴァーたちは浮いたり沈んだりしながら豪快に泳いでゆく。パンク、ハードコア、スカ、サンバ、ダブ、エキゾなどが盆踊りを囲んで仲良く手を繋ぎ合う――そんな和製ダンス・ミュージックがもたらす興奮は、日本人であれば決して抗うことができないもの。加えて、音源よりも強烈に施されたダブ・ミックスがフロア全体を覆うグルーヴをより立体的に押し広げ、集まった老若男女(本当に層が幅広かった)たちをグイグイとモッシュ・ピットのなかへと引き込んでいく。
本編の最後は、カーニヴァル感満載のコミカルなダンス・ナンバー“OBA TUNE”で締め。止むことのないアンコールの声に、メンバーは再び登場……したはいいものの、ギターの森が、毎度のことながらすでに曲を出し切ってしまったと恥ずかしそうに告白。結局は、BPMを上げた“ENGAWA DE DANCEHALL”を披露し、リズミカルな高速ビートで観客全員の意識を忘我の境地に送り届けてこの日のパフォーマンスは終了した。集まったお客さんのエキセントリックな雰囲気も含め、濃厚な関西シーンの一端を垣間見ることのできた一夜だった。
▼文中に登場したアーティストの作品