今年でオープン10周年を迎えるタワーレコード新宿店では、現在〈TOWER RECORDS SHINJUKU 10th ANNIVERSARY〉と題してさまざまなイヴェントやキャンペーンを展開中! オモシロ企画が目白押しのこの1か月間を、bounce.comでは独自の視点で追いかけていきます! その第3回では、10月12日(日)に東京・新宿LOFTで開催された記念ライヴ〈ミラクル☆トゥナイト〉を詳細にレポート! 共にデビュー12年目の同期バンドながら今回が初2マンとなったTRICERATOPSとGRAPEVINEによる貴重なパフォーマンスをたっぷりとお届けします!!
■GRAPEVINE
1997年のデビュー以降、それぞれが独自性を強めながら着々とキャリアを積み重ねてきたTRICERATOPSとGRAPEVINE。盟友とも言えるこの2バンドの対バン・ライヴ、しかも新宿LOFT規模で……となれば、当然会場は飽和状態。期待を膨らませるオーディエンスの前に、まずはGRAPEVINEが姿を現した。
等間隔で刻まれる清澄なピアノから一転、歪んだギターが唸りを上げ、猛々しく牙を剥く。“豚の皿”でヘヴィーに幕を開けたステージは、疾走するベースラインがビンビンと腰にクる“CORE”、粘っこいリズムがリードする“スレドニ・ヴァシュター”へと間髪入れずに突入。不穏なグルーヴに完全包囲されたフロアは、早くも絶頂を迎える。
そんなダークな音世界を構築しながらも、ヴォーカル・田中和将による噺家風のMCは軽妙だ。「タワーレコード新宿10周年おめでとう! 言うても俺らより年下やねん。呼び捨てにさしてもらう! ……前から呼び捨てやけどな(笑)」と、フロアを沸かす。
「トライセラはこの10年を共に生き抜いてきた戦友。当時からいままで〈踊れる楽しいロック〉をブレずにやっていて、非常に誇らしい思いで……なんで俺が誇らしい思いやねん(笑)!? わしらと言えば、人のイヤ~なところを歌にしてまして(笑)、飛んだり跳ねたりはトライセラに任せて、ここからはいろんな現実と対峙する歌にお付き合いいただければ」。
そんな挨拶のあとに披露されたのは、初期の名曲“光について”。深いエコーが施されたヴォーカルが強い意志を持って浮遊する“Two”、祈りにも似た歌がじんわりと染み入る“Wants”と続き、中盤はじっくりと聴かせる展開だ。
そしてラストは、タイトなギター・リフにグイグイと引っ張られる“フラニーと同意”、飛翔感溢れる“FLY”、伸びやかなメロディーが聴き手の意識を果てしない高みへと誘う“超える”と、取り巻く闇を浄化するかのような開かれた楽曲を三連発。「どうしたんやろな? 今日の俺のテンションは(笑)」と田中がみずからを疑問視するほどに(?)、メンバー自身がステージを楽しんでいる様子がありありと窺えたこの日のステージ。その空気は会場全体にも伝播し、大いなる一体感を味わうことのできた60分だった。
GRAPEVINE 〈ミラクル☆トゥナイト〉 セットリスト
1. 豚の皿
2. CORE
3. スレド二ヴァシュター
4. 光について
5. Two
6. Wants
7. フラニーと同意
8. FLY
9. 超える
▼GRAPEVINEの作品
▼関連記事
・GRAPEVINE、ニュー・アルバム『Sing』を6月18日にリリース。(bounce.com ニュース/2008年4月22日付)
・GRAPEVINE、ニュー・シングル“CORE/Wants”を5月21日にリリース。(bounce.com ニュース/2008年4月10日付)
・GRAPEVINE、2008年第1弾シングルと豪華対バンツアーの実施が決定。(bounce.com ニュース/2008年4月10日付)
・月刊太田・ダンディ食堂――ゲスト:GRAPEVINE(連載/bounce.com 2006年9月27日更新)
・GRAPEVINE(インタヴュー/「bounce」誌 238号より転載)