参加した二人のベスト・アクトをレポート!
■22:30~
電気グルーヴ @ MAIN FLOOR
電気、4年ぶりの〈WIRE〉帰還……ということで、前のアクトであるミシェル・デ・ヘイの後半からメイン・フロア人口はどんどん膨れ上がり、ステージ前のエリアは寿司詰め状態。そこに軽やかな足取り&ラフな格好で現れた卓球と瀧の二人は、ごくごく自然体。〈どんな仕掛けを見せてくれるのか?〉と力みきったオーディエンスの肩を揉み解すように、ノン・ヴォーカルの新曲(〈WIRE〉用のスペシャル・トラック?)で30分間のライヴをスタートさせた。そのまっさらなビートで場内のヴォルテージをじわじわと上昇させていくと、“かっこいいジャンパー”“FLASHBACK DISCO”の2連発で一気にピーク・タイムに突入。今夏の様々なフェスで披露された、サイバー・スーツ姿の瀧によるロボット・ダンスもここで炸裂し、オーディエンスのさらなる狂騒を煽る。その後は、“N.O.”や“誰だ!”などの断片を散りばめながらノン・ストップで駆け抜け、“虹”の冒頭をちらりと聴かせたところで締め。「この後も朝まで楽しんでいって下さい!」と卓球が叫び、さらりとステージを後にした。圧倒的なエンターテイナーとしての電気を期待してきた人にとっては、少々物足りなかったかもしれないが、当夜はまだまだ序盤戦。卓球の言葉の通り、レイヴは朝まで続くわけで。〈WIRE〉後半戦へバトンを繋ぐ、丁度いい湯加減のステージングだったと言えるのでは。*澤田
■29:10~
RICARDO VILLALOBOS @ MAIN FLOOR
クリック~ミニマル界の貴公子ことリカルド・ヴィラロボスが、まさか〈WIRE〉のメイン・フロアでトリを務めるとは……。おそらく今年10周年を迎えた同フェスの歴史のなかでも、ある種の転換点を示すであろう今回の抜擢、結論から言うとそのチョイスに間違いはなかった! リカルドの代表曲“Enfants”をラストに持ってきて、粋なバトンタッチを演出した田中フミヤに続いて、彼も序盤はクールでソリッドなミニマル・テックものを中心にスピン。緑色のTシャツでふにゃりと踊り動く姿は、キモイと言われても仕方ない気がするけど、中盤での変態的な飛び道具トラック連打には、別世界の快感を教えられるような感覚に陥り、彼に身の全てを預けるはめに……。特に、イタロボーイズも回していたロナルド・クリストフ“Underground Limbo”は、バルカン風のブラスねたが今も耳にこびりついて離れない。その後も、初期レイヴ~トランスのアンセム・チューンであるエイジ・オブ・ラヴ“The Age Of Love”など、曲の新旧を問わないフリー(キー)な選曲で、2時間近くをジワリジワリと攻め続ける。アンコールでは、リル・ルイス“French Kiss”からデリック・メイ“Kaotic Harmony”に流れる、サービス精神たっぷりの2連発をキメて、めでたく投了。従来の型に縛られない想像力豊かなプレイが、〈WIRE〉にしっかりと新しい風を吹き込んでいたように思う。*北野