#7 怒髪天
『LIFE BOWL』インペリアル(2007)
老若男女を問わず、みんなを笑顔に変える神秘のパワーを持つジャパニーズR&E(リズム&演歌)バンド、怒髪天。男の心意気と馬鹿さ加減が滲む怒髪節が本作でも冴え渡る一方、ギターウルフのセイジやBEAT CRUSADERSのケイタイモ、クラムボンのmitoら強力なゲストの後押しによる幅広いサウンド・アプローチも随所に窺える。先行シングルだった名曲 “酒燃料爆心曲”のアルバム・ヴァージョンは必聴! (国広克典/bounce 2007年12月号掲載)
#8 V∞REDOMS
『SUPERROOTS 9』commmons(2007)
常に変化し続ける音楽生命体による約8年ぶりとなる〈SUPERROOTS〉シリーズの最新作は、2004年に行われたパフォーマンスを編集し直した、バンド史上初のライヴ盤。24人のコーラス隊による歌声が雨のように降り注ぐ幕開けを経て、延々と繰り返されるトリプル・ドラムのリズム、そしてEY の狂声が唸りを上げる40分28秒の組曲“LIVWE”のみを収録し、オーディエンスを現世から無限のトランス空間へと引きずり込む!(望月慎之輔/bounce 2007年04月号掲載)
#9 凛として時雨
『Inspiration is DEAD』中野(2007)
何かとんでもないことが起こっている!――凛として時雨の〈激情〉と〈轟音〉にまみれたサディスティックなギター・サウンドを耳にし、思わずそう呟いてしまう。一昨年秋の『♯4』、昨年のミニ・アルバム『Feeling your UFO』で、確実にそのチャームをリスナーに焼き付けてきた彼らのセカンド・アルバムとなる本作だが、〈とんでもない〉印象は、より強烈に。激烈なオープニング“nakano kill you”、狂乱ダンスを誘う“DISCO FLIGHT”、耽美なギターが浮遊感を演出する“knife vacation”、男女ツイン・ヴォーカルがもたらす〈ヒート&クール〉の質感が特に絶品な“赤い誘惑”、ファンタスティックな“1/fの感触”など、あらゆる手口で彼らの〈とんでもない〉演者っぷりを体感させられる。(ヨロイ騎士/bounce 2007年09月号掲載)
#10 大野雄二
『THE BEST COMPILATION of LUPIN THE THIRD「DIVA FROM LUPIN THE THIRD」』バップ(2007)
TVスペシャルのエンディング・テーマ曲や〈LUPIN THE THIRD JAZZ〉シリーズで披露された、女性シンガーたちによるルパン・ナンバーを一枚にパッケージ。お馴染みのソニア・ローザによるボッサ・ナンバーから、カヒミ・カリィやakikoによるジャズ/スウィング曲、DOUBLEや加藤ミリヤ、サリナ・ジョーンズによるアダルトでムーディーなAORまで。女性ヴォーカルを映えさせる、クールでセクシーな大野雄二サウンドが満載です!!(散珠/bounce 2007年09月号掲載)
#11 pupa
『floating pupa』EMI Music Japan(2008)
高橋幸宏の呼びかけで集まった仲間たち――高野寛、権藤知彦、堀江博久、高田蓮、そして原田知世による新バンド・pupaのデビュー・アルバムが完成。繊細なエレクトロニカ・サウンドをベースにしつつ、そこにペダル・スティールやホーンなど生楽器の音色が心地良く絡んでいく。それぞれが曲を持ち寄り、アイデアを出し合って完成させていくという風通しの良い関係がそのまま曲に表れているようだ。さらにメンバーにシンガーが多いこともあって、多彩なコーラス・アレンジも楽しめるという実に贅沢なアルバムに仕上がった。そして何より、バンドとしてのダイナミズムが息づいているのが頼もしく、ちゃんと外に向かって開かれた音作りになっている。なんてしなやかなポップ・ミュージック!(村尾泰郎/bounce 2008年07月号掲載)
#12 クレイジーケンバンド
『SOUL電波』Almond Eyes(2007)
日本の夏の新たな風物詩となった(?)CKBのニュー・アルバム。今作も全21曲!という大サーヴィスぶりだが、ここ数作で見せていた音楽的振り幅の広さよりも、タイトなアレンジによるメロウなソウル~ファンク・ナンバーが並んでいるのが特徴か。また、〈夏〉という明確なコンセプトに統一されているので、スムースかつ一気に聴き通すことができる。お馴染みのアジアなネタも数曲あるが、夏のさまざまなシチュエーションでの大人の男女が繰り広げる〈Summer Madness〉な色情物語が今回も秀逸でたまらない。中盤の快適なラヴァーズ・ナンバーも良いし、さんざん悪ノリした後のソウルフルな歌い上げ正統派ラヴ・ソング~昭和&父親賛歌と続くラストも感動的で泣ける。またしても大傑作。(ダイサク・ジョビン/bounce 2007年08月号掲載)
#13 Mr.Children
『HOME』トイズファクトリー(2007)
デビュー15年目に届けられた通算14枚目となるニュー・アルバムは、バンド史上でも別格のリラクシンでピースフルなムードが素晴らしい大傑作! AOR 風味も印象的な“ANOTHER STORY”、ジャズってる“PIANO MAN”、そしてアンビエント+オーケストラな“ポケット・カスタネット”も新鮮です。さらに、近年屈指の大名曲“しるし”からラストまでの3曲には泣き笑いっぱなし。ジャケも含めてホントに最高!(須藤丈博/bounce 2007年04月号掲載)
#14 東京事変
『娯楽(バラエティ) 』EMI Music Japan(2007)
椎名林檎が曲を書かず、作詞と歌唱に徹するという予告もさることながら、先行シングル“OSCA”“キラーチューン”そのものを聴いて、あきらかに〈今回はなにか違う!?〉と勘ぐっていたが……アルバムの全貌に触れ、その期待は確信に変わった。〈椎名林檎の歌+破天荒なバンド・アンサンブル〉的なデフォルトを一気にアップデートさせ、ここからがいよいよ〈娯楽〉=お楽しみの時間とばかりに斬新な手の内を次々と披露していく本作は、まさに〈バラエティ〉。演者に徹した姫のキャラクターも変幻自在で、それこそ〈13人の椎名林檎〉が泣き、笑い、これまで聴き手が勝手に作り上げてきた〈かくあるべき姿〉を根本的に覆している。東京事変は(良い意味で)さらに奇っ怪なバンドへと進化したようだ。(久保田泰平/bounce 2007年10月号掲載)
#15 椎名林檎
『私と放電』EMI Music Japan(2008)
オンナっぷりも音楽も、キャリアを積み重ねるごとに艶を増していく林檎姫のデビュー10周年記念企画・其の壱が、2枚組で届けられた本盤。シングルのカップリング(“あおぞら”ってイイ曲ね)など、アルバム未収録の楽曲をコンパイルしたものだが、過去4枚の個性的なオリジナル・アルバムにも収めきれなかった創造性が百花繚乱です。これを聴くだけでも彼女の懐深さを強烈に感じることができましょう。(久保田泰平/bounce 2008年07月号掲載)
#16 EL-MALO
『Noface Butt 2 Eyes』Traffic(2008)
TOKYO No.1 SOUL SET、THE HELLO WORKS、電気グルーヴなどなど、90年代の意匠たちが破格のポテンシャルを持った作品を送り続けているなか、4年ぶりに再降臨したエルマロ。野性と知性を孕んだその手の内から繰り出されるのは時に狂おしく、時にうっとりくるようなナンバーの数々。復活作としては活きの良すぎるこのフル・アルバムは、テクノもロックもイケちゃう雑食人にはたまらん一撃だ。(ヨロイ騎士/bounce 2008年04月号掲載)
#17 EGO-WRAPPIN'
『ON THE ROCKS!』トイズファクトリー(2006)
国籍も時空も越えた独創的な調べは新境地へ。前作『merry merry』のチャレンジングな姿勢はそのままに、約2年ぶりの新作はニューウェイヴ、プログレ、サイケをまぶしたメロディーとアレンジがタイトルどおりに迸る勢い。厚いコーラスを配して高みへと昇っていく数曲を含め、複雑な展開をスムースに聴かせるメロディーの素晴らしさは過去最高だ。暴れ回る森雅樹のギターと中納良恵のヴォーカルは結成10年選手のものではない。(内田暁男/bounce 2006年06月号掲載)
#18 ゆらゆら帝国
『REMIX 2005-2008 』ソニー(2008)
ハーヴィーや瀧見憲司といった異端DJたちから思わぬ(?)賞賛を浴びた、ゆら帝のセルフ・リミックス群。それらのコンパイルでは飽き足らず、ほぼ同量の未発表リミックス曲まで投入した2枚組が登場した。クラウト・ロックから出発し、カルトなディスコの重力場をくぐり抜け、かろうじてダンスフロアに到達……といった具合のフリーク・アウトしまくったトラックが大集合。以前コンピに収録されたスーサイドのカヴァーも! (澤田大輔/bounce 2008年07月号掲載)
#19 サカナクション
『GO TO THE FUTURE』BabeStar(2007)
昨年は〈RISING SUN〉に出演し、自主音源がカレッジ・チャートにランクインするなど、北海道内で注目を集める5人組のファースト・アルバム。テクノやエレクトロニカをまぶしたバンド・サウンドと、愁いを帯びた文学的な歌詞――その調和がもたらす洗練されたグルーヴが、彼らの特異性を露わにしている。白眉は“白波トップウォーター”で、バウンシーなシンセと流麗なギターが螺旋を描きつつ飛翔する様は溜め息モノの美しさだ。(土田真弓/bounce 2007年05月号掲載)
#20 東京スカパラダイスオーケストラ
『Perfect Future』cutting edge(2008)
〈ホントに40代?〉と思わず呟いてしまうくらい濃ゆくてパワフルなライヴを世界各地で繰り広げている彼らの新作は、肉感的なサウンドではなく意外にも硬質でメタリックな手触りだ。あえてコーネリアスやくるりなども手掛けるエンジニアの高山徹を迎え、クリック音やオーヴァーダブを多用し、幾重にも仕掛けを施して彼らなりの〈完璧な未来〉を体現。また、元KEMURIの伊藤ふみおが歌う“Pride Of Lions”にももちろん注目! (斉藤ジョゼ/bounce 2008年04月号掲載)
#21 OKI DUB AINU BAND
『OKI DUB AINU BAND』Chikaru Studio(2006)
アイヌの伝統楽器=トンコリの継承者、OKI。JAPANESE SYNCHRO SYSTEMの作品にも参加するなど、多岐に渡って活動している彼がついにバンド名義での初アルバムをリリース。日本よりも海外のイヴェントで活躍していることもあってか、彼らは世界規模で進行しつつある〈ルーツ・ミュージックmeetsクラブ・サウンド〉の流れを見事に体現している。レゲエ~ダブを基調としてトンコリやアイヌ語といった独自の世界観を織り交ぜた、OKIのこれまでの活動の集大成とも言えるサウンド。だけど、なかにはトンコリにこだわらずギターを弾く曲や初の日本語詞もあるなど、より奔放にバンド・スタイルを楽しんでいる感じだ。OKIと同じくアイヌの血を引く居壁太や、名ドラマーの沼澤尚といったメンバーによる強力なグルーヴと内田直之によるブッ飛んだミックスで、より多くの音楽ファンに受け入れられるであろう快作に仕上がっている。(タカラダミチノブ/bounce 2006年12月号掲載)