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第5回 ─ 〈フジロック〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!

第5回 ─ 〈フジロック〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!(3)

連載
オレら の 夏 フェス 予習・復習帳 '08
公開
2008/08/07   14:00
更新
2008/08/22   18:32
テキスト
文/ダイサク・ジョビン、山西 絵美、加藤 直子、土田 真弓、澤田 大輔

7月27日(日)

14:10~
■MYSTERY JETS @ WHITE STAGE

サイレンが鳴り響くと、キュートな傘を掲げ、ピンクや水色のカラフルなジャケットに身を包んだメンバーたちが飛び出してきた。ヴォーカルのヘアースタイル&メイクなんて、まるでニューロマ。ふと回りを見ると、潤んだ瞳をステージに注いでいる女の子たちでいっぱいだ。テムズ・ビート旋風を牽引したファースト『Making Dens』から一転、ニュー・アルバム『Twenty One』ではキラメキ80'sな世界観に飛び込んだ彼ら。冒頭の“Hideaway”から、ネオアコでファンカラティーナでMTV感覚あふれるサウンドを一気に展開し、筆者の乙女心をわし掴む。アコギのカッティングが降り注ぎ、甘酸っぱいコーラスが炸裂する“Two Doors Down”では会場中がうっとりと夢心地ダンスに興じた。途中で雨が降り出すと、冒頭で持っていた傘をオーディエンスにプレゼントするというジェントルな一幕も。さらに中盤では、ヴォーカルの父親にして元メンバー(!)のヘンリー・ハドソンがゲスト登場。フツーにお父さんなルックスでタンバリンを打ち鳴らし、ほんわかとした空気を醸し出していた。瑞々しいチャームを振りまきまくるアイドル然としたステージングに、終始胸キュンしっぱなしの45分だった。*澤田

15:00~
■友部正人 @ ORANGE COURT

ステージ終盤に、「好きな曲をゆっくりやろうと思っていたんですけど、予想外に一生懸命やってしまいました。フジロックの雰囲気と、一緒にやってくれた三宅君のおかげです」と言った後、「できることならまた来たいです」と友部正人。〈大ベテランのフォーク詩人〉という一般的イメージを大きく覆すフィジカルで緊張感のあるステージとなったのは、途中から本格的に降り出した雨も相まってフジロックならではのマジックが働いた証だろう。盟友・三宅伸治と二人で、ギター&ハーモニカといったオーソドックなスタイルだけでなく、リズムボックスやその場で声のサンプリングを重ねて作り上げたリズムをバックに、全身の筋肉を使って発せられるソウルフルな歌声など見応えのあるライヴだった。そして何よりもトーキング・ブルースやスポークン・ワード・スタイルで機関銃のように放たれる真実の言葉の数々に、彼の名前しか知らなかったであろう多くの観客たちは激しく胸を打ち抜かれたのだった。個人的には、物騒で不安で混沌とした現在にこそもっともっと彼の強い言葉が広がるべきだ、と感動に胸を震わせながら強く思った。*ジョビン

16:40~
■THE GO!TEAM @ RED MARQUEE

どんどん雨脚が強まる天候とは対象的に、集まった観客で飽和状態の〈RED MARQUEE〉は、湯気が立ち上るほどの熱気に包まれている。そんななか、白のタンクトップ+赤のミニ・スカートを纏ったニンジャを筆頭に、ブルー、オレンジ、イエローなどの原色系Tシャツを纏ったメンバーが華やかに登場した。ド派手なパーティー・チューン“Titanic Vandalism”で幕を開けたショウは、ラップ交じりのリズミックなメロディーにファンキーなグルーヴ、フィジカルなバンド・サウンドで観客の意識を瞬時にダンス天国へと連れ去っていく。終盤では「オンナノコ~?」「イェー!」「オトコノコ~?」「イェー!」といった悶絶したくなるほどに可愛らしい(そして、イイお返事をせずにはいられない)コール&レスポンスを展開し、その後はサビで大合唱が巻き起こった“Doing It Right”や、ニンジャの「トベ! トベ! トベ! トベ!」攻撃で大ジャンプ大会が勃発した“Keys To The City”などを連打。豪快に盛り上ったパーティーは、ハッピー&チャーミングな空気に包まれてフィニッシュした。「また会いに来まーす!」という言葉を残してステージ袖へ消えていくメンバーたち。その後ろ姿を見送りながら、フロアでは誰もがピースフルな笑顔を浮かべていた。*土田

18:00~
■MICHAEL FRANTI AND SPEARHEAD @ FIELD OF HEAVEN

過去に何度かマイケル・フランティのショウをライヴハウスで体験しているけど、やはり裸足の反逆児は山の緑によく映える。しかも空からは天の恵みがしきりに降り注ぎ、これ以上ないくらい野外にいることを実感できるシチュエーションだ。サッカーボールを蹴りながら笑顔で登場したマイケルは、簡単なワードで並べられたフレーズを繰り返しながらこちらにマイクを向け、各楽器のソロ・パートではメンバーを煽りに煽り、ソカ・アレンジで観客全員をジャンプさせ、大自然の中でパフォームすることを全身全霊で楽しんでいるように見える。このステージを一語で表現するならば、〈生命力〉という言葉がピッタリなんじゃない? 曲に込められたメッセージは痛烈ながらも、ポジティヴなヴァイブで社会の悪と立ち向かおうとする彼の姿に観客一人一人が共感し、徐々にその輪が広がっていく。ロックであろうが、レゲエであろうが、ヒップホップであろうが、カテゴリーなんてどうでもいい。ただこの瞬間を謳歌したい――会場にはいつしかそんなムードが充満していた。ライヴが終わって照明が落ちた後、舞台から降りて観客と握手を交わし、ショウの成功をいつまでも讃え合っていたマイケル・フランティ。バックに流れるのはボブ・マーリーの“Could You Be Loved”。すべてが完璧だ。*山西

20:00~
■LEE "SCRATCH" PERRY @ FIELD OF HEAVEN

さっきまでの雨が嘘のように止み、上空にはいくつかの星も確認できるほど。準備は整った。あとは神様(リー“スクラッチ”ペリー)が〈FIELD OF HEAVEN〉に舞い降りるのを待つのみだ。まずバンド(メンバーを確認することはできなかったが、ヨーロッパでのツアーはこの顔ぶれで行っているらしい)が出てきてチルなルーツ・レゲエ・サウンドを鳴らし、それらに導かれるようにしてリーの味のあるトースティングが山の中をこだまする。姿はまだ見えない。で、オーディエンスの歓声が沸点に到達した時、お香の煙に包まれた御大がいよいよ登場するのである。序盤から最新作『The Mighty Upsetter』収録曲を次々と披露し、ディープなダブ・ゾーンにみんなを引き込んでいく。天才の良き理解者であるエイドリアン・シャーウッドのミキシングも最高だ。がんばって聴き取ろうとしたのに支離滅裂だったMC然り、「ニュー・スモーク!」と呟いて帽子に挿したお香をしきりに気にする姿然り、やることなすことすべてがスピリチュアルでズルイくらいにリーらしい。とはいえ、そこに近寄り難い雰囲気はなく、観客といっしょにジャンプしたり、手を左右に大きく振ってみせたり、想像以上に一体感のあるライヴを披露してくれたのもまた事実。その極めつけは、アンコールでプレイしたボブ・マーリー“Exodus”じゃないか、と。レゲエ/ダブの神様はこちらに歩み寄りながら、お腹いっぱいその魅力を伝えてくれた。そして私はますますレゲエが大好きになってしまったのである。*山西 

20:30~
■CSS @ RED MARQUEE


(C)Masanori Naruse

  バンド名を象った巨大ロゴ(稲妻風)と、機材に括りつけられた夥しい数の白い風船。そんなエッジーかつキュートな装飾にぴったりのパフォーマンスで満員の〈RED MARQUEE〉を沸騰させたのは、ブラジルからやってきたおきゃんな4人娘+髭オヤジ=CSSだ。ディスコでパンクなサウンドにライヴ・バンドとしてのタフさを増強したセカンド・アルバム『Donkey』と同様“Jager Yoga”で幕を開けたセットは、〈あたしたちとクレイジーになろうよ〉という歌詞そのままに、のっけから激ホットなプレイで会場全体を悩殺(オヤジは別だけど)! なかでも強烈な存在感を放っていたのは、花柄のレオタードも麗しいヴォーカリスト・ラヴフォックス嬢。ステージ上を飛び回るどころか曲間では前転してみたり、口に含んだ水を噴き出してみたりと、自由奔放に振る舞う彼女の姿を目で追いながら、観客たちは5人が繰り出すビートによって完全にコントロールされていた。そしてラストは、メンバー全員がバズーカ型のクラッカーを鳴らすという華やかな演出で大団円。彼女たちの明るいキャラクターが前面に押し出された、ひたすらに楽しいステージだった。*土田

20:30~
■ゆらゆら帝国 @ WHITE STAGE

  前週の日比谷野音と二週連続でのゆら帝ライヴ体験でした。野音でのライヴが長いバンド史上でも伝説となりそうな物凄い出来映えだったので前列をキープ。爆音フィードバック・ノイズ・ガレージ・バンドというイメージから、得体の知れないストレンジ・ミニマル・プリミティヴ・ソウル・バンド(?)といった音の変化を経ているので、1曲目からヴォーカル&ギターの坂本慎太郎が何かに憑かれたようにマラカスを振りまくりながらマイク片手に奇妙な動きで歌ったり、タンバリンを小さな子供が遊ぶように叩いたり、安易にノレない、踊れないイビツなリズムの曲を並べたりと、恐怖と笑いと驚きが入り混じったようなステージングで奇妙な世界観に観客を引き擦り込んでいく。そんなヘンテコ・リズムにリヴァーブやディレイをかけたヴォーカル、トレモロやエコーのかかったギターなどさまざまな変化球を浴び続けるうちに、その場の時間軸と空間軸がギュインと捻じ曲げられて、中盤に差し掛かると観客はみんなボーッと立ち尽くしたまま目も虚ろに頭をゆらゆらと左右に力なく振るだけというトリップ=魔法に掛けられてしまう。そんな無防備な状態に覚醒しきった凶暴な爆音ギターを突如浴びせかけてきたりするもんだから、もう参りました、と中毒者が増えるばかりといった見どころ、聴きどころだらけのライヴでした。*ジョビン

25:00~
■でぶコーネリアス、YOLZ IN THE SKY @ ROOKIE A GO-GO


でぶコーネリアス (C)Yasuyuki Kasagi

  インパクト大なバンド名を持つ彼らは、そのパフォーマンスも衝(笑)撃的。ジャム風のインストでやたら昂揚感を煽るオープニングに〈あれ? こんなバンドだっけ??〉と首をかしげていると、そんな疑問を断ち切るようにベース・たっぴーの絶叫が。「皆さん、おっぱいは一体何のためにあるのでしょうか(その後、延々とおっぱい論が続くため割愛)!?  ……今日は、皆さんのおっぱいを揺らしに来ました! でぶコーネリアスです!!」――そんな軽く失笑を誘う挨拶と共に、セットは“BOYS TOWN YOUNG”へと雪崩れ込む。そこからは、ヴォーカル・千秋(男)が客席に飛び込んではモミクチャ(というかボコボコ)にされたり、ギター・鈴木が消えたと思ったら何故か観客をおんぶして帰還したりと、シャウト~ノイズ~ポップなリフが入り乱れるファストコアをハチャメチャなプレイで大展開。約30分間で19曲を演り切った(かつMCも多め)彼らはいち早く退散し、筆者は呆気に取られつつも大爆笑という事態に……。〈何だかよくわからないけど、最高!!〉と思わせる、小憎らしいステージだった。

それから約1時間半後、ほろ酔い気分で戻った〈ROOKIE A GO-GO〉。「踊りませんか? YOLZ IN THE SKYです」というシンプルなMCを合図に、いよいよ〈新人枠〉大トリのパフォーマンスがスタートした。マイナー・コードを猛スピードで滑落する金属質のギター&ベースと、ヴォーカル・萩原の金切り系ハイトーン・ヴォイス。その不穏なグルーヴとエマージェンシーなリフに覆われたニューウェイヴィーでノーウェイヴィーな暗黒ハードコア・サウンドは、激しく踊れるものでありながら、同時に得体の知れない不安感をも呼び寄せる。さらには〈無表情で暴れ狂うプレイヤー陣と、痙攣のように細かくリズムを取りながら不敵な笑いを浮かべるヴォーカリスト〉という絵的な異様さも加わって、会場はまるで悪魔に魅入られたかのようなアブナイ恍惚感と肌を刺すような緊張感に蹂躙されてゆく。一気に酔いが醒めて食い入るようにステージを見つめる筆者をよそに、持ち時間の30分はあっという間に終了。〈鬼気迫る〉っていう表現は、彼らのパフォーマンスを形容するためにあるようなもの。いやぁ、文句なしにカッコイイっス! *土田

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介