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第5回 ─ 〈フジロック〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!

第5回 ─ 〈フジロック〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!(2)

連載
オレら の 夏 フェス 予習・復習帳 '08
公開
2008/08/07   14:00
更新
2008/08/22   18:32
テキスト
文/ダイサク・ジョビン、山西 絵美、加藤 直子、土田 真弓、澤田 大輔

7月26日(土)

14:00~
■GOTYE @ RED MARQUEE

ステージのド真ん中にはドラム・セットが配置され、向かって左側にパーカッション、右側にはPCとキーボードが一列に並んでいる。そんな見慣れない光景に、開演前から何かが起こりそうな予感を私は肌で感じた。で、登場したのが一人のイケメン。しかもビックリするほど日本語が達者ときたもんだ。〈ゴティエって何者?〉――きっと会場に詰め掛けた多くの観客がそう思ったに違いない。自己紹介と簡単な曲解説をした後(もちろん日本語で)、PCを操作して曲のベースとなるリズム・パターンをループさせ、その隙にドラム・セットに移動。次はパーカッション、たまにPCに戻って、今度は鍵盤をいじる……といった具合で忙しなく舞台の上を動き回り、次から次へと音を重ねていく。まさかアルバム『Like Drawing Blood』で聴かせたオーケストラル・ポップの世界観をそのまま再現してしまうなんて! いろんな楽器を使いこなせて、ルックスも良くて、語学も堪能。でも、仮にここで終わっていたら〈パーフェクトすぎて嫌味な男だわ〉の一言で済んだかもしれないのに、うっかり移動が間に合わずに歌い出しが遅れたり、「ワスレラレナイヒトヲオモッテツクッタキョクデス」と言い放って直視できないくらい情感たっぷり激メランコリックなナンバーを歌い上げたり、彼ったらトホホな場面も多数見せつけるんだもの、まんまとグッときちゃったじゃない! 〈新世代のベック〉どころか、もしかしたらそれ以上に大化けしちゃうかも!? *山西

14:00~
■鈴木慶一/Captain HATE and The Seasick Sailors feat.曽我部恵一 @ ORANGE COURT

上野洋子、Pすけ、伊賀航という布陣のバンドに、曽我部恵一を迎えて登場した鈴木慶一は〈ヘイト船長〉らしいボーダー・シャツ姿。“自動販売機のオフィーリア”など、アルバム『ヘイト船長とラヴ航海士』の楽曲を中心に、勇ましいロックンロールの数々をザクザクと繰り出し、オーディエンスをサイケデリックな航海へと誘っていく。寄せては返す波のように、時折降り注ぐ雨も心地よい。はちみつぱい時代のナンバーであり、前述のアルバムでセルフ・カバーされた“すかんぴん”では大きな歓声が上がった。中盤、「プロデューサーの曽我部恵一が歌います!」と鈴木。曽我部は、自身のレパートリーの中から“浜辺”を披露。そのとろけるようなメロウネスが、曽我部の甘い歌声と共に〈ORANGE COURT〉いっぱいに広がって行く。さらに終盤では、ひとつ前の時間に出演していたPARAのギタリストである山本精一がゲストで登場! そして、鈴木、曽我部、山本のトリプル・ギターがフィードバック・ノイズを放出していくフリーキーなサウンドを展開。前日のマイブラに匹敵するサイケデリックな音の渦にオーディエンスをズブズブと沈み込ませた。*澤田

15:15~
■ROGER JOSEPH MANNING JR. @ RED MARQUEE

エンジ色のジャケット+柄シャツ+ベルボトムといういでたちで姿を現したロジャーは、まずは折り目正しく「コニチハ」とご挨拶。ステージはピアノの弾き語りによる“The Land Of Pure Imagination”でスタートした。流麗なメロディーにゆったりと身を預けていると、ギター・ドラム・ベースのサポート陣も加わって……サウンドは一転、ド派手なパワー・ポップへと様変わり! ハード・ロックばりの音圧で押しまくるギター・リフ、4人全員参加の完璧なコーラスワークなど、彼らはキャッチーなフックが散りばめられた楽曲によって、シンプルな作りの〈RED MARQUEE〉をカラフルなポップ・ワールドへと塗り替えていく。終盤では、前日の〈FIELD OF HEAVEN〉に出演していた盟友・ジェイソン・フォークナーがフレンドリーに飛び入り。そして聴こえてきたのは……なんと、ジェリーフィッシュ時代の名曲“That Is Why”!! 大ファンである筆者は感涙のため視界が曇って何も見えず(実話)、観客も一同揃って大合唱。ジェイソンは1曲だけでステージを去ったが、ラストではさらに“King Is Half Undressed”も披露され、会場は異様な興奮に包まれたままエンディングを迎えた。なんでも、ふたりがジェリーフィッシュの曲を演奏したのは17年ぶりとのこと。この日、この場所にいたオーディエンスは、図らずも伝説のライヴに立ち会うこととなったわけだ。*土田

18:00~
■JANET KLEIN @ ORANGE COURT

マイブラで燃え尽きて、キーー!という耳鳴りと共にボロボロになりながらホテルへ歩いて帰っているとき、ふとちっちゃな場所で彼女たちが演奏していて、そのマイブラとは対極にあるスモールでプリティでジェントルなサウンドに、ああ、いい音楽だなあ、とホッとしたこともあって、二日目は〈ORANGE COURT〉へ(彼女は毎日いろんなところで演奏していたので通算4回も観てしまいました)。1930年代の小粋なハワイアンやジャズ、カントリー、ブルース(いわゆる戦前ジャズ)を現代に甦らせる代表格ともいえる彼女。笑顔を浮かべたままキュートな動きで小鳥のさえずりのような歌声を聞かせる彼女と、これまたいい笑顔を浮かべて小粋にスウィングするアコースティック・ギター、ウッドベース、ヴァイオリンのオジサマたち。上品でユーモラスで軽快なウキウキ・サウンドと、グッド・メロディーの数々に、彼女の音楽に触れたことがなかったであろうほとんんどの観客たちは、リラックスして満面の笑顔を浮かべながら、口々に「いいねえ~」「可愛いねえ~」と言っていたのが印象的でした。*ジョビン

19:20~
■PRIMAL SCREAM @ GREEN STAGE

トリ前で登場した世界最高峰のロックンロール・バンドは、最新作『Beatiful Future』からの数曲を交えつつも、今回初めて彼らの音に触れたオーディエンスも一発で持っていかれるに違いない〈ダーティー・ヒッツ〉なセットリストを展開。黒と茶のストライプ・シャツをルーズに着こなしたボビーと赤白の水玉シャツ姿でキメたマニをはじめ、メンバーの年齢不詳ぶり(若い!)に驚愕しながら“Can't Go Back”“Dolls”“Jailbird”などのロッキンなグルーヴに身体を揺らす。中盤の“I Love To Hurt (You Love To Be Hurt)”では、アルバムでもデュエットしたラヴフォックスが飛び入り。グレーのワンピースを纏った彼女もある意味で見モノだが、ステージ上を跳ね回る彼女に感化されてか、急に茶目っ気を見せ始めたボビーもまた見モノ。それまでは気だるげだった彼が、ラヴフォックスと向かいあって両手を顔の前でクロスさせてみたり、おどけたポーズを取ってみたりと、何だか微笑ましい。以降は、この日のセットでは唯一エレクトロな“Shoot Speed/Kill Light”や“Rocks”“Country Girl”などの拳を上げずにはいられないド定番ナンバーが惜しみなく繰り出され、ラストを飾った“Movin' On Up”では昂揚感を抑えきれず誇張なしで昇天。大トリだけにアンコールもあった(+セットリストも若干違っていた)という翌日も、本当に観たかった!! *土田

20:10~
■MARK STEWART + THE MAFFIA @ ORANGE COURT

そもそも来てくれること自体が奇跡。しかもタッグヘッドのメンバーで構成されたバンドを引き連れて、だ。プライマル・スクリームのボビーも“Beautiful Future”を演奏する際に「マーク・スチュワートに捧げます」って言ってたらしいし、とにかく今年の〈フジロック〉で絶対に観なきゃいけないアクトの一人がこのマーク・スチュワートだったと思う。だから予定どおり登場してくれただけでOKみたいな気持ちが、正直どこかにあった。でもフタを開けてみたらそんな生ヌルイものじゃなく……。マフィアと名乗るだけあって、演奏も超極悪。全身がビリビリするくらい強烈な重低音をブッ放し、そこにダメ押しでエイドリアン・シャーウッドが深~いエコーをかけていく。これだけで立っているのもやっとといった状態なのに、巨体を揺らしながらステージ上を徘徊し、喧しく怒声を上げる怪獣、じゃなかった、マーク様が怖いのなんのって! くしゃみをしようが、演奏途中に座り込んで靴ヒモを結び直そうが、何をやってもその世界観が崩れないのは流石という他ない。途中で何気なくポップ・グループ曲のフレーズを挿み込むなどフェスならではのサプライズも用意されていたが、そんな時だって観客に媚びる様子は皆無。だけど、それでこそパンクってもんでしょ! ロックは不良の音楽であるという事実を、思いっきり突き付けられた気がした。*山西

21:30~
■UNDERWORLD @ GREEN STAGE

  マーク・スチュワートのヴァイオレントなダブ音響に耐え切れず、ヘロヘロになって〈GREEN STAGE〉へと退避すると……あの広い会場が人、人、人で埋めつくされている。リック・スミスとカール・ハイドが最高の祝祭空間を作り上げるのを、集結したオーディエンスが、いまや遅しと待ち構えていた。ニューウェイヴ出身ならではの湿り気を帯びたヴォーカル・トラックでスタートさせた二人は、ミニマルな展開でゆっくりとビルド・アップ。“Shudder/King Of Snake”の、ドナ・サマーから拝借したベースラインが腰を直撃する。巧みな音さばきで、じわじわと増幅してきた場のテンションは、“Two Months Off”で一気に爆発。ステージにそびえ立つバルーンの柱がカラフルに光る様子が美しい。そして、狂喜して踊り続けるオーディエンスを待ち構えていたのは、“Rez”~“Born Slippy”という圧巻の大団円。ステージからは巨大なバルーン・ボールが異様なくらい大量に(30個くらい?)飛び出して来ており、ほとんど前が見えない! その超現実的な光景にもクラクラさせられた。特に新機軸を打ち出したわけでもなく、(巨大バルーンを除けば)大掛かりな演出があったわけでもないのだけど、それでも天にも昇るような浄化感と、泣きたくなるほどのカタルシスを味わった90分だった。*澤田

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介

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