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第150回 ─ ワンリパブリックを率いるライアン・テダーって何者なんだよ!?

連載
360°
公開
2008/07/10   20:00
ソース
『bounce』 300号(2008/6/25)
テキスト
文/村上 ひさし


  ティンバランドがリミックスした美メロ佳曲“Apologize”のロング・ロング・ロ~ング・ヒットのおかげで、一躍その名を知られることとなったワンリパブリック。繊細で細やかな感性を携えつつも、気がつけばいつの間にやら壮大なパノラマが目前に広がっているという世界観は、もはや〈ワンリパ体験〉と呼びたいほど。〈USの後継者〉云々といった評価も当然だろうが、いまならあえて〈コールドプレイに対するUSからの回答〉と表現したいところ。無理強いするわけではないが、感動の波に乗せられ、翻弄され、そして忘却の彼方へと誘ってくれるワンリパ体験――昨年リリースされた彼らのアルバム『Dreaming Out Loud』にはそんなジョイライドが待ち受けている。

しかしながら、これがデビュー作とはビックリ。いくらなんでも一朝一夕になせる素人芸じゃないはず……と思っていたら、やはり裏にはライアン・テダーなる人物が潜んでいた(てか、バンドの顔として、実はバリバリ前面に出ているのだけれど)。バンドの歌とピアノと楽曲とを担当するフロントマンであり、またグレッグ・ウェルズと共にアルバムのプロデュースを手掛けているのがこの人。そして以前にはティンバの門下生として多数のプロデュース・ワークをこなしていたというのだから、これは出るべくして出てきた才能と言えそうだ。

『Dreaming Out Loud』のリリースと時を同じくして、レオナ・ルイスの“Bleeding Love”も大ヒット。同曲のソングライティングとプロデュースを担っていたこともあり、テダーは一気に時の人となった。だが、実は彼、これまでにもさまざまなアーティストたちのヒット曲を手掛けてきた、〈知る人ぞ知る〉的な存在だった。それもアイドル・ポップからアーバン、クラブと何でもござれ。ジャンルを問わない柔軟なライター&プロデューサーとして、現在もっとも打率の高いヒットメイカーなのである。ことバラードに関してはダイアン・ウォーレンを彷彿とさせる神通力で、白いソウルを炸裂させてくれるのは、ワンリパの楽曲からも窺えることだろう。