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第149回 ─ ゆるゆる帝国のダンスフロアをめざして、つぎの夜へ……

ゆらゆら帝国のゆらゆらリミックスにゆらゆら共振するゆらゆらディスクがゆらゆら湧いて出てきました その2

連載
360°
公開
2008/07/03   00:00
更新
2008/07/03   18:07
ソース
『bounce』 300号(2008/6/25)
テキスト
文/北爪 啓之、櫻井 誠

MOEBIUS/PLANK/NEUMEIER 『Zero Set』 Sky/CAPTAIN TRIP(1982)
メロディーという概念が薄い〈根っからリズム職人気質〉の3人が集結し、82年にしてテクノを完全に先取りした驚異のクラウト名盤。無機的な電子ビートと野蛮なドラム・ビートのしのぎ合いは、ゆら帝の持つアンビヴァレンスにも共鳴する。
(北爪)

DAVID GILMOUR GIRLS 『Vultures』  Relish(2008)
ピンク・フロイド的な要素はあまりない感じですが、名前が……大丈夫なんでしょうか。シンセだけ抜いたら〈ゆら帝です〉と言ってもいいような曲が結構あったりして、ゆら帝好きには一度聴いてみてほしいです。“あえて抵抗しない”みたいな曲がありますよ。
(櫻井)

CAN 『Future Days』 Spoon/Mute(1973)
妙に掴みどころのないゆら帝の浮遊サウンドは、本作の音響世界の隔世遺伝のようにも聴こえる。現代音楽やジャズ畑出身の猛者たちと音楽素人のヴォーカルによって〈ロックから逸脱したロック〉を創造した確信犯的グループの、複層的に重なる楽器や効果音によって生じる揺らめきのグルーヴに満ちた傑作だ。
(北爪)

A MOUNTAIN OF ONE 『A Mountain Of One』 Ice Dream(2007)
ライヴ時の映像が、アレハンドロ・ホドロフスキー監督映画「ホーリー・マウンテン」なので、知っている人にはビビビッときちゃうのではないでしょうか。〈バレアリックなロック〉的な文脈で語られることが多いですが、プログレッシヴなロックとしても十分ゆら帝と比較できます。
(櫻井)

FAUST 『So Far』 Polydor(1972)
クラウト・ロック勢のなかでもとびきり異端なバンドの2作目。コラージュ地獄のデビュー作に比べるとだいぶロック的な体裁は整えているが、音の隙間から滲む諧謔と嘲笑の毒素が全体をイビツに歪ませて聴き手の脳髄を侵食する様は、“空洞です”の奇妙な毒の味に酷似して、危険。
(北爪)

VARIOUS ARTISTS 『Full Pupp Presents The Greatest Tits Vol. 1』 Full Pupp/Pヴァイン(2008)
プリンス・トーマス主宰レーベルの音源集。自身のミックスCDでもMETALCHICKSやALTZらをチョイスした彼だから、ゆら帝のことも知っているはず。きっと権利関係の問題で収録できなかったのだと思いたい。
(櫻井)

FLYING RHYTHMS 『RHYTHM MEBIUS』 時空(2007)
OOIOOのAYAをはじめ、ゲストが多く参加した3作目。延々と続くグルーヴを追求し続ける、という意味ではゆら帝のリミックス盤との共通項を見い出せるような気もしますが、こちらはもっと肉体的というか、原始的なグルーヴを追求しているスペイシー盤です。
(櫻井)

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