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第148回 ─ 恐るべき傑作を完成させたアル・グリーンは伝説なんかじゃないぞ!

『Lay It Down』を支えた面々と、その背後にある現在進行形のアル・グリーン世界

連載
360°
公開
2008/07/03   00:00
更新
2008/07/03   18:06
ソース
『bounce』 300号(2008/6/25)
テキスト
文/出嶌 孝次


?UESTLUV──彼とやる理由? アイドルだからさ
「いまもって、アル・グリーンほどの声域を持つ人はいないよ」と絶賛するクエストラヴ。ルーツのニュー・アルバムも発表したばかりの彼だが、ジェイムズ・ポイザーと共に全編を統率した今回の『Lay It Down』は、ドラマーとしての高いミュージシャンシップをヴィンテージ・モダンな質感で活かした近年最高の仕事ではないだろうか? なお、彼はBBE発のコンピ『Babies Making Babies 2』にてアルの“How Can You Mend A Broken Heart”をピックアップしていた。同曲の泣き濡れ歌唱を新作でも巧く引き出したのは、クエストラヴのセンスかもしれない。

THE DAP KING HORNS──マジでゾクゾクした
 NYから現代のヴィンテージ・ソウルを送り出すダップトーンのお抱えバンド=ダップ・キングスのホーン隊。シャロン・ジョーンズとの近作では従来のJB's風からスタックス風へと変化し、今回の『Lay It Down』がハイ風とは……流石に器用だ。なお、マーク・ロンソンのお気に入りホーンズでもある彼らだが、「エイミー・ワインハウスのプラチナ・レコードにも関わってきたけど、今回はマジでゾクゾクしたよ」とのこと!


CORINNE BAILEY RAE──ファルセットが凄く美しいのよ
 ティーンの頃からアルの音楽に親しんでいたという彼女は、「70年代初めの〈Soul Train〉に出た時のアルを観たことがあるんだけど、その本人がいまも変わらず音楽を愛して歌っているのを間近に見るのは圧倒的だった」と感銘を受けた様子。今回は“Take Your Time”と“Stay With Me(By The Sea)”を書き、ヴォーカルも担当しているが、「コーラスを私より高い声で歌うんだもの……私も必死だったわ」だって!


JOHN LEGEND──彼の歌を聴くと、特別な時間へと連れていかれるよ
 上掲のコリーヌとは自身のライヴで共演しているジョンは、彼女の書いた“Stay With Me(By The Sea)”を御大とデュエット。彼もまた「アルはゴスペル時代も含めてずっと好き」だと語り、今回の共演でもスムースな歌声の魔力に酔いしれた様子。「やっぱり“Let's Stay Together”がいちばん好きだな。ありきたりだけど……あの曲が流れてくると、とにかくイイ気持ちになるよね。新作でアルのことを知ったら、改めて他のアルバムも入手してくれたら嬉しいな」とレコメン。


ANTHONY HAMILTON──彼はリアルなんだよ
「説教師のようでもあり、カントリー歌手とソウル・シンガーをミックスしたようでもあり、ちょっと口の端で歌うような……とにかく、何を歌ってもリアルなのが良いんだ」と御大の魅力を分析するサザン・ソウルマンは2曲に参加。「ホントは興奮して騒ぎたかったけど、衝動を抑えて接したよ。でも、アルが俺たちを信頼してくれたのが大きかったね」と熱っぽく語る。なお、自作にもたびたびアルの影響を滲ませてくる彼だが、客演したイン・ヤン・トゥインズ“Long Time”がアル使いの名曲だったことも記憶されるところ。

オマケ。リリースされたばかりのサントラ『Sex And The City』(Decca)には、アルによるビー・ジーズのカヴァー“How Can You Mend A Broken Heart”を収録。「アリーmyラブ」や「ノッティングヒルの恋人」でも使われ、もはやアル版のほうが有名な恋愛ドラマの定番曲ですが、ここでは新たにジョス・ストーンの歌パートを追加!