普段の柔らかな物腰からは想像できないほどのパワー・プレイで観客を魅了していたのは、ドラムの山本。テクニカル面も含め、その男気溢れるステージングからはある種の〈凄み〉すら感じられる。
フロントの3人が一斉に山本の方に体を向けてタイミングを計る。“Contra”以上に緊迫したユニゾンから始まる“Phantasia”は、目まぐるしい転調と超速のビート、タフなリズムがカオティックなグルーヴを巻き起こす、激烈かつダンサブルなナンバーだ。フロアは否応なしに大きく揺れる。
シューゲイザー的なホワイト・ノイズが会場を舐めるように覆い尽くす。嵐のような轟音で観客を支配したかと思えば、一方ではセンシティヴなエフェクトを身に纏い、儚く浮遊する2本のギター。空間を暴力的に歪ませ、激しさを増すサウンドに比例するようにカタルシスを解放する“Fade”は、静と動のあいだを滑らかに行き来しながら、聴き手に得も言われぬ昂揚感を運んでくる。その劇的な音世界にシンクロするかの如く、キレッキレのパフォーマンスを見せるのがベースの井澤だ。彼が全力で紡ぐベースラインは、LITEのサウンドに宿る〈ドラマ性〉の一端を担っている。