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第140回 ─ 稀代のポップメイカー、キリンジがメジャー・デビュー10周年を迎えたぞ!

第140回 ─ 稀代のポップメイカー、キリンジがメジャー・デビュー10周年を迎えたぞ!(3)

連載
360°
公開
2008/03/27   15:00
更新
2008/03/27   17:50
ソース
『bounce』 297号(2008/3/25)
テキスト
文/久保田 泰平

キリンジと振り返ろう! キリンジとキリンジの課外活動(の一部)を辿る歴史年表! その2

2003


  5作目『For Beautiful Human Life』(EMI Music Japan)は、どことなくアダルトな仕上がり。
高樹「わりと打ち込みが増えてきてたんで、もう一回バンドっぽいもの、良い意味で揺らぎのあるグルーヴみたいなものを考えて作りましたね」

楽曲提供では、恩師・冨田ラボに贈った高樹作詞の“香りと影”など。

2004

  前年に成功させた初の武道館公演を、『KIRINJI TOUR 2003 LIVE at BUDOKAN』(EMI Music Japan)として翌年にCDとDVDでリリース。


堀込泰行・ハナレグミ・畠山美由紀“真冬物語”(EMI Music Japan)

2005

  禁断の封印を解禁! 9月に泰行のソロ・プロジェクト=馬の骨のデビュー・アルバム『馬の骨』を、11月に高樹のソロ・アルバム『Home Ground』(共にコロムビア)を発表し、各々の個性をより露わに。

泰行「自分たちでプロデュースしたいっていう欲求も強くなってたし、前の年あたりから何とかしたいなあって気分があって。でまあ、お互いソロでやってみて、アルバム単位で自分の好みを反映させるというか、いままで積み上げてきたものを一度ガラガラガラッと崩してもう一度組み直すみたいなことをやってみようってことになって。結果、ソロをやったことで閉塞感がなくなりましたね。とにかく、自分でアルバムを作ってみて、自分のできることもできないこともより明確になりました」

2006

  キリンジとしては実に3年ぶりとなったアルバム『DODECAGON』(コロムビア)。
高樹「それまで散々アナログっぽい音でやってきてたんで、ここではわりと〈時代〉のほうに寄っていくというか、思いっきり振り切ったものにしようって」
泰行「シンセ率が高いんですけど、大体何やってもキリンジになるなって。苦労したけど、結構イイものができたんじゃないかと思ってます」

2007

2008

  「取り掛かる前は、デモっぽいものを出してアルバムで完成形、っていうことも考えてたんですけど、そうもいかないらしいと。単純に(限定盤を除けば)盤にならないだけで、一曲一曲のクォリティーをいつもどおり求められてる感じがわかったんで、まあ、そういうものになりました」(泰行)と振り返る7か月連続配信シングル、さらに続いたCDシングル“朝焼けは雨のきざし”(カップリングには昨年の野音ライヴ音源を10曲収録!)を含む通算7作目のニュー・アルバム『7-seven-』。全12曲中8曲がシングルって、こりゃ25周年記念盤が巷で話題の『Thriller』か!?って話なのですが、それだけにキリンジのチャームが1時間弱でわかるような、キャッチーでありながら聴き応えのある出来映えとなったようで。

「連続でシングルを配信するっていうのもあって、気分的に長い曲とか暗い曲とかを書くモードに2人ともなってなかったんですよね。なので、アルバム用の曲も、配信曲とあんまり変わらない〈シングル感〉というか〈粒揃い感〉のある曲が自然に集まって。実はこういう感じのアルバムは初めてかな?」(泰行)。

「最終的にアルバムを作るために曲を集めたっていうわけじゃないんですよね。それこそオールディーズのアルバムって、シングル曲がいっぱい入ってるじゃないですか。ああいうノリに近いと思います。あと、わりと生音の比率が『DODECAGON』に比べたら増えてる。以前の音に戻ったっていうことなんでしょうけど、生っぽい音を一度置いといて作った『DODECAGON』の後だから、生楽器のアンサンブルなんだけど、ちょっと変わった感じにはなってるんですよね。まあ、それ以上にコンセプチュアルなものは今回のアルバムにはないです。コンセプチュアルって言うと聞こえはいいですけど、わりと言い訳がましいところがあるじゃないですか(笑)。今回は純粋に、質の高いポップソングだっていうこと以上の批評を必要としない音楽がいっぱい集まってるアルバム。だからタイトルもこんな感じでいいんじゃないかと思って」(高樹)。