いやあ、僕が言うのもなんですけど、メジャー・デビュー10周年とは早いもので。思えばキリンジっていうポップメイカーは、稀なセンスとプレイヤビリティーを備えているにも関わらず、メジャー・フィールドの〈ど真ん中〉からビミョーに道を外しながら輝きを放っていた存在だったように思います。そのセンスをもってすれば、新曲を出すたびにタモさんの横で苦笑トークもできるほど国民的知名度も獲得できたはずなんでしょうけど。
「〈狙い〉がないからでしょうね。次はコレ!だとか、いまはコレだけど来年はコッチだ!とか、いまコレをやるのはどうかと思うけどカッコイイよね、みたいなのもなかったですからね」(堀込高樹)。
「キリンジが辿ってきた場所っていうのは〈結果〉でしかないというか、アルバムの内容とかも、ピンポイントでこういうものを作ろうっていってそこに落とし込むっていうより、その時の僕と兄の〈気分〉っていうのがあって、それで出来ていくっていう感じでしかないから」(堀込泰行)。
大波には乗らなくとも、10年という決して短くはないキャリアのなかで、数多くの〈素敵〉をリスナーに焼き付けてきたキリンジ。では、彼らの10年間をざっとおさらいしてみましょうか。