3 その後の流れと、現在の音楽シーンに見るニューミュージックの影響力
80年代に入るとニューミュージックという言葉は徐々に使われなくなっていって、その筋の新人もめっきり減っていくわけだが、その影響は当時全盛だったアイドル・ポップにしっかり落とし込まれていった。象徴的なのは松田聖子で、ユーミン、財津和夫、細野晴臣、大瀧詠一などニューミュージック時代から活躍していたソングライターが彼女に楽曲を提供し、他のアイドルとは一線を画した魅力の原動力となったんだ。また、時期的にはニューミュージックに括られなかったが、陽水チルドレンの安全地帯や尾崎亜美チルドレンの杏里などは、こうした流れを汲むアーティストかな。
さて、最近はどうだろう? ニューミュージック、というか70~80年代の日本のポップスが持っていたメロウ感やグルーヴ感、その魅力をかいつまんで、新鮮に響かせてくれるアーティストもちらほら現れているようだね。例えば、ミドル・テンポ主体のメロディアスなサウンドがニューミュージック感を醸し出している安藤裕子や、〈あの時代〉の洋楽のエッセンスと日本語の響きを匠の技で編み上げる冨田ラボとか。そういえば、つい先日、渡辺真知子が17年ぶりにニュー・アルバムを出したんだよね。77年のデビュー曲“迷い道”などのセルフ・カヴァーも良かったけど、新曲の“それでも I lo-ve you”が素晴らしい出来だったよ!
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