武藤昭平による、〈憧れのアーティストたちと酒場でいっしょに酒を飲んだら?〉――という深夜の妄想話
深夜2時。前回の酔っ払いの喧嘩の仲裁で、気を取り直して飲み直す俺。そこに何やらイカツイ軍団が店に入ってきた――マイルス・デイヴィス。バンドのメンバーを引き連れていた。思わず見入ってしまった俺にマイルスが一言、「何ガン飛ばしてんだよ!」「あ、すいません、そういうわけじゃぁ……」と俺。「お前だれだっけ?」「あ、勝手にしやがれというバンドの武藤と言います」。 するとマイルス、「おう、なんか知らないがあまりジロジロ見るなよ」と言い残し、メンバーを引き連れて店の奥へ。そしてこの軍団、結構声がでかい。
マイルス、「おう、ハービー(・ハンコック)、生ビール人数分」「はい! ボス!」「おう、ロン(・カーター)、たばこ買ってきてくれ」「はい! ボス!」「おい、ジョン(・コルトレーン)、お前真面目にやってるか? なぜ俺がお前をクビにしたかわかってるのか?」「……ういっす。ボス」。するとウェイン・ショーターが「ボス、もうその話はいいじゃない。ジョンの奴、すっかり真面目にやってるし、〈至上の愛〉って名盤も作ったし」「フフフ、でもなジョン。フリージャズよりもこれからのジャズはロックとの融合よ。今度、俺はマイケル・ジャクソンとシンディ・ローパーのカヴァーをする」「マ、マジすか!? ボス!」。
そんな調子でしばらく奥は盛り上がっていた。そんな時、一人の黒人が店に入ってきた。チャーリー・パーカーである。するとマイルス、「あっ、パーカーさん! お疲れ様です」
「おお、マイルス。なんばしようとか? おお、勝手にしやがれのムトウもおるやんか」。するとマイルス、「パーカーさん、ムトウ君とお知り合いですか?」「知っとうもなんも可愛がりよる奴やもん。お前知らんとや、ジャズとパンク・ロックをうまく融合させとる奴らたい」「パ、パ、パンク・ロックっすか???」。
そこに、たばこを買いに出ていたロンが慌てて戻ってきた。「ビリー・ホリデイが一升瓶を抱えてこっちに向かってるみたいっすよ」「えっ、マジで!」。するとマイルス軍団は慌て出した。「あのオバさんはやっかいだからなぁ。パーカーさんもいっしょに店変えましょう。おう、ハービー。勘定してこい! あ、領収書はマイルスでな!」「はい! ボス」。
……武藤昭平、あくまでも妄想の話。
PROFILE
武藤昭平
ジャズとパンクを融合させたオリジナルなサウンドで人気を博す伊達男音楽集団、勝手にしやがれのドラマー/ヴォーカリスト。最新作『ブラック・マジック・ブードゥー・カフェ』(エピック)も大好評。12月9日には代官山UNITでバンドが企画するイヴェント〈LET'S GET LOST Vol.0〉を開催するほか、年末年始にかけてライヴ活動を精力的に展開。詳しいスケジュールは、〈www.katteni-shiyagare.com〉をチェック!