2. それでは実際に聴いてみよう! その1
DELANEY & BONNIE 『Home』 Stax(1969)
本物の黒さを持つ2人の声が絶品。黒人音楽の名門=スタックスからリリースされた本作は、まったりとしたサザン・ソウルやハートウォームなカントリーなどが混在する南部音楽標本といった趣の名作だ。彼らの活躍によって、音楽シーンの目はルーツの方角へとシフトしていった。
CREEDENCE CLEARWATER RE-VIVAL 『Bayou Country』 Fantasy(1969)
揺らめくようなギターの響きに導かれて、鬱蒼とした森の中へ……。冒頭曲“Born On The Bayou”の響きはいつ聴いてもサイケデリックだ。夜空を見上げながら南部幻想を大きく膨らませつつ、青白い電気を放出する4人の若者たちの記録。傑作!
LEON RUSSELL 『Leon Russell』 Shel-ter/EMI(1970)
名曲“A Song For You”が終わると、畳み掛けるように泥臭いサウンドの攻撃がはじまる。LAスワンプのドンによる初のソロ作は、熱い南部サウンドとキャッチーなメロディーを融合させるテクが見事に発揮されていて、彼の才人ぶりを伝えるに十分な仕上がりだ。
JOE COCKER 『Mad Dogs & English-men』 A&M(1970)
レオン・ラッセル率いる11人バンド+コーラス隊をバックにしゃがれ声で吼えまくる若き日のコッカー。映画にもなったこの伝説のレヴューは、レオンによる一大スワンプ・キャンペーンである。レイ・チャールズやビートルズなどの名曲がどれも汗まみれに。
GEORGE HARRISON 『All Things Must Pass』 Apple/EMI(1970)
ビートルズ解散後に発表したLP3枚組のソロ作。この時期デラニー&ボニーらとの交流を通じて南部ロックに傾倒していた彼は、ここでフィル・スペクターの音の壁とアーシーなサウンドの折衷を実践。パワフルでスケールのデカイ世界を描くことに成功した。
ERIC CLAPTON 『Eric Clapton』 Polydor(1970)
クリーム~ブラインド・フェイスといったスーパー・グループでの活動後、彼は〈南部が俺を呼んでいる!〉と言わんばかりの勢いでそちら方面の要人たちに接近。この初ソロ作やデレク&ザ・ドミノスの作品では、心地良さげにアーシーでルーツ色の濃い音作りに励んでいる。