とてもじゃないけど文字数が足りない! 今年4月の30周年記念企画〈Vintage April Show〉では、4日間のライヴのうち2日がメンバー個々の別ユニットで構成されていたことも象徴するように、ムーンライダーズのメンバーによる課外活動は実に膨大で、多岐に渡っています。まず鈴木慶一は、80年代に入るとポータブル・ロック時代から交流の深かった野宮真貴の81年作『ピンクの心』(Flying Dog/SS)をプロデュースしたり、高橋幸宏とTHE BEATNIKSを結成したりと精力的に活動を展開。今年に入って久々となるライヴ盤『THE SUZUKI PRESENTATION SOCIETY:LIVE AT BOXX』(メトロトロン)を発表した鈴木博文との兄弟ユニット=The SUZUKIや、テクノ/アンビエントを指向したソロ・ユニットのsuzuki k1 7.5cc、さらに『座頭市』(Dreamusic)をはじめサントラも数多く手掛けるなど、貪欲に音楽性を拡散していきます。
一方、弟の鈴木博文は、87年の『Wan-Gan King』を皮切りに、2003年の『bonyari bonyari』(AGENT CONSIPIO)まで、ソロ名義のアルバムを多数発表。さらに、前述のライヴ企画にて久々に演奏を披露した、美尾洋乃と組んだアコギとピアノ主体のユニットであるMio Fouや、白井良明とかしぶち哲郎が参加したART PORTによる作品を、自身が主宰するレーベル、メトロトロンより発表していきます。
また、白井良明は80年代からプロデューサー/アレンジャーとしてもその手腕を発揮。井上陽水が全曲の歌詞を提供した沢田研二のアルバム『MIS CAST.』(ユニバーサル)でほぼ全曲のアレンジを手掛け、他にもthe PILLOWSなど仕事量は膨大です。そんななか、82年のソロ作『カオスで行こう!』(ソニー)ではロボットに変身したり、はたまた武川雅寛とのデュオ=ガカンとリョウメイ名義で発表した2001年作『東海道五次』(メトロトロン)では、フォークやケルト音楽風味のアコースティックなサウンドを披露するなど、鈴木慶一に劣らぬ多才さを見せています。
さらに、岡田徹はアコーディオン・ユニット=LIFE GOES ONや、山本精一や伊藤忠治と組んだya-to-iなどでの活動が印象的。ya-to-iの2002年作『MENU』(Flavour)ではポスト・ロック/エレクトロニカを独自に解釈した先鋭的なアプローチを披露と、もうこんなところまで……。やっぱり文字数が足りません!