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第2回 ─ 30年間、先鋭であり続けるムーンライダーズ

タイムマシ~ンに乗って代表作を聴きに行こう!

連載
Ho!楽探検 タイムマシーン
公開
2006/12/07   22:00
更新
2006/12/07   22:22
テキスト
文/桑原 シロー

『火の玉ボーイ』 ワーナー(1976)
鈴木慶一のソロ第1作と捉えるべき一枚。レコード会社の意向により〈~とムーンライダーズ〉と表記されたことは有名な話だ。はちみつぱいの後期にステージで演っていた曲も吹き込まれており、それまでの集大成とも言える小粋で洒落た慶一流ポップス集。ジャズ心も躍っている。

『ヌーベル・バーグ』 PANAM/クラウン(1978)
ニューウェイヴ夜明け前の一枚。メロディアスでソフトな感触を持つエキゾ風味の曲やモダン・ポップ然とした曲が並ぶ、愛らしい小品集だ。なかでもジョン・サイモンとミルトン・ナシメントのカヴァー曲や、細野晴臣の参加した“いとこ同士”が秀逸。

『マニア・マニエラ』 GT/ソニー(1982)
〈先鋭〉をじっくりと音で描いてみたところ、一時お蔵入りになった一枚。CD→カセットブック→LPという変則的な順でリリースされた本作は、MC-4を駆使した打ち込みビートと歪みを表現するサウンドをグチャっとミックスした、彼ら流のテクノ・ミュージックだ。

『青空百景』 GT/ソニー(1982)
『マニア・マニエラ』のお蔵入り決定直後にレコーディングが開始されたアルバムだが、本作では実験的な要素とポップな要素の掛け合わせが絶妙! “青空のマリー”をはじめ、彼らの代表曲とも言える良品を数多く収録し、ライダーズの入門盤としての評価も定着している。

『DON'T TRUST OVER THIRTY』 T.E.N.T/ポニーキャニオン(1986)
ポップに振り切ろうとする意志が針飛びを起こしたようで、その途切れ具合に得も言われぬ聴後感を与える一枚。闇雲な明るさがハレーションを起こしていて、聴くたびにチカチカしてしまうが、何よりも眩しいのは、名曲“9月の海はクラゲの海”だ。

『最後の晩餐~Christ, Who's gonna die first?』 東芝EMI(1991)
長いブランクを経て発表した90年代の幕開け作。明確な輪郭を持ったキャッチーさがあるというか、理解しやすさが増した楽曲が満載だ。ライダーズ節炸裂の一枚、というか90年代以降の最高傑作と言ってしまって差し支えないだろう。