
音楽性の枠を囲む線が、いつになくデコボコしている。だがそれは、彼がいままで以上に自由に手足を伸ばした結果であり、野心とは無縁の姿勢が作り上げた自然の形状なのだ。バランスとか面倒なことを考えず、シリアスさやコミカルさをグチャっと混ぜ合わせ、なんとも微妙な泣き笑いの表情を浮かべる高田漣のニュー・アルバム『12 no-tes』。乾いた世界が続くのかと思いきや、突如しっとりとした世界が広がる展開があったり、ストレンジな要素とファンタスティックな要素が螺旋状に絡み合って、どこに着地するか見当もつかない曲が出てきたり……と、耳に引っ掛かる要素が随所に散りばめられまくりで、いやはやイージーにリスニングし難い一枚なのだ。ということで、ここではそんなユニークな彼と、その新作を読み解くために12の項目を用意し、語っていこうと思います。